連載
#34 #やさしい日本語
「国が家賃を払います」外国人もフリーランスも使える制度を解説
もっとたくさんの人が「住居確保給付金」を使うことができるようになりました
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#34 #やさしい日本語
もっとたくさんの人が「住居確保給付金」を使うことができるようになりました
岩橋誠 NPO法人POSSE
共同編集記者
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◆「国が家賃を払ってくれます」外国人もフリーランスも使える制度を解説
こんにちは。NPO法人POSSEの岩橋誠です。今日は、コロナウイルス(Covid-19)のせいで仕事がなくなって、家賃を払うことができない人からの相談です。国があなたの代わりに家賃を払う制度について、紹介します。
【悩み】 ネパール人、男性、30歳代
レストランでコックとして働いていました。毎日毎日、朝から夜遅くまで働きました。たくさん働いたのに、給料は月18万円だけでした。もっといい仕事があるとおもって、その会社を今年1月にやめました。
2月から、別の仕事を探しています。でも、コロナウイルスのせいで、なかなか仕事を見つけることができません。貯金はもうありません。家族と一緒に暮らしています。妻は妊娠中で、働くことができません。家賃も払うことができません。どうすればいいですか。
■国が代わりに家賃を払ってくれます
コロナウイルスのせいで、いま、仕事を見つけることはとても難しくなりました。もう貯金がなくなって、困っている人は多いと思います。
家賃を払うことができないときは、国があなたの代わりに家賃を払ってくれます。
この制度は「住居確保給付金」といいます。 この制度を使うと、国があなたの家賃を3カ月分(一番長いと9カ月分まで)払います。外国人でも使うことができます。留学生でも使うことができます。また、個人事業主(フリーランス)の人も使うことができます。
「住居確保給付金」を使うために、あなたの給料や、貯金がいくらあるか調べます。町が決めている金額よりも給料や家賃が少ない人は使うことができます。住んでいる町で、決めている金額が違います。また、一緒に住んでいる人の数でも、金額が違います。
例えば、東京都世田谷区では、1人で暮らしている人は、1カ月の給料が13万8000円より安い人です。2人で暮らしている人は、1カ月の給料が合わせて19万4000円より低い人が使うことができます。 いまの貯金の金額も調べます。1人で暮らしている人は、50万4000円より少ないとき、2人で暮らしている人は、合わせて78万円より少ないときです。
■新しいルールができました
コロナウイルスで困っている人が増えたので、国はもっとたくさんの人が「住居確保給付金」を使うことができるように、新しい特別なルールを作りました。
これまでは、国が家賃を払うのは、仕事をやめた人だけでした。でも、新しい特別なルールでは、仕事を休んでいて、給料が減った人の家賃も、払うことにしました。
また、これまでは、国が家賃を払うのは、ハローワークに通って、仕事を探す人だけでした。でも、新しい特別なルールでは、ハローワークに行かなくても、国が家賃を払うことになりました。
そして、いまは給料がまだ減っていない人も、次の月から減ることがわかっているなら、使うことができるようになりました。 ・手続きをするために まず、住んでいる町の「自立相談支援機関」に電話をしてください。こちらのページで、調べることができます。わからないときは、役所に聞いてください。https://www.mhlw.go.jp/content/000614516.pdf そして、電話で「住居確保給付金を申請したいです」と話してください。あなたと話しをする(面談をする)ための時間を決めます。また、郵便でも申請を受け付けている町もあります。
面談のときに持っていくもの
・ID(在留カード、パスポート、など)
・仕事をしていない人は、離職票など、仕事をやめたことがわかるもの
※「離職票」とは、あなたが仕事をやめたときに会社が作る書類です。
※他には、例えば、仕事をやめたあとにハローワークからもらう書類などです。
・仕事をしている人は、給料明細やシフト表など、給料が減ったことがわかるもの
・銀行の通帳
・はんこ (持っていない人は、窓口で聞いてください)
・住んでいる家の契約書(賃貸借契約書)
※他に、窓口で持ってきてくださいと言われた書類など
国があなたの家賃を払うことができるか分かるまでに、役所によっては、1カ月ぐらいかかります。国があなたの家賃を払うことが決まると、国があなたの住む家の大家さん(不動産屋)にお金を振り込みます。
■ほかにも制度があります 仕事がなくて困っている人は、これまでの給料の50%~80%を、国からもらうことができる「失業給付」もあります。
働いていた会社が、あなたにまだ払っていない残業代を、払うこともあります。でも、もらうためには、法律に詳しい人に相談したり、裁判を起こしたりすることも必要です。分からないことは、POSSEに相談してください。
■使いづらい制度は改善を
日本人なら使うことができる社会保障制度の多くが、同じ日本で生活している外国人では使うことができません。生活に困窮している外国人が使える数少ない制度の一つが、今回紹介した「生活確保給付金」です。
この支援策はもともと、2013年に施行した「生活困窮者自立支援法」のもとで作られた制度です。ただこれまでは基本的に、失業して仕事を探そうとすることが条件であったため、一時的に仕事が減るフリーランスの方や、会社に在籍はしているが休業となり給料が払われないという人は対象外となり、非常に使いづらい制度となっていました。
しかし、労働・福祉に取り組む弁護士やNPOなどが、生活に困窮している人を支援するなかで確認された現場の実態を踏まえて制度改善を要求したことで、この間、国は制度改変を立て続けに発表しています。外国人の方も利用できると、政府のホームページ上で明確にしています。
国籍を問わず、実際に生活に困窮し、支援が必要な状況に置かれている人がたくさんいます。POSSEでは生活相談も受け付けていますが、生活保護を利用するために窓口に足を運んでも、行政が申請書を渡さずに追い返すという「水際作戦」を何度も経験しています。最近では、品川区がネットカフェで生活していた所持金2万円の男性に対して、「実家に帰れ」と生活保護の申請を拒否していたことがわかりました。
日本で暮らす外国人には、生活保護を受ける権利すら与えられていません。現場での支援活動を通じて「生存権」を保障していくとともに、より多くの人の命を守るために国に必要な新しい制度を求めていきたいと思います。
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