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#16 #カミサマに満ちたセカイ

「リツイート数だけお釈迦様に甘茶を…」想定外の事態に叫ぶ住職

「甘茶かけ」をめぐる、甘くない展開

お釈迦様の誕生日「花まつり」の習わし、仏像への「甘茶かけ」。この行事に関する、とある僧侶のツイートが、大きな反響を呼んでいます
お釈迦様の誕生日「花まつり」の習わし、仏像への「甘茶かけ」。この行事に関する、とある僧侶のツイートが、大きな反響を呼んでいます 出典: 松崎智海さんのツイッター(@matsuzakichikai)

目次

4月8日は、お釈迦(しゃか)様(ブッダ)の誕生日とされています。「花まつり」とも呼ばれ、各地の寺院などでは言い伝えに基づき、仏像に甘茶をかけるのが習わしです。この日投稿された、とある僧侶のツイートが、大きな反響を呼んでいます。「リツイート数だけ住職が甘茶をかけます」と呼びかけたところ……。コロナウイルスの影響で、外出が難しい昨今。沈みがちな心を、ぱっと明るくしてくれる取り組みの背景について、取材しました。(withnews記者・神戸郁人)

予想外にツイートが拡散、叫ぶ僧侶

「このツイートのリツイート数だけ住職が代わりにお釈迦様に甘茶をかけます」

今月8日午前3時過ぎ、そんなツイートが投稿されました。寺の本堂で撮ったとみられる、5秒ほどの動画が添付されています。金色の仏像に、ひしゃくですくった甘茶をかけ続ける内容です。

つぶやいたのは、浄土真宗本願寺派の寺院「永明寺」(北九州市)住職、松崎智海さん(@matsuzakichikai)。同日正午を締めきりとした上で、拡散を呼びかけました。

ツイートは瞬く間に広まります。午前9時時点で、リツイート数が1万回を突破し、午前11時過ぎには、2万回を超えました。

「ちょ、ちょ、、、ま、、、ちょおおぉぉぉ!!!」

「い、い、ぃぃいちぃぃまぁぁぁぁん!」

「に、にまん、、、ぬぬぬ、やってやるぅ、、、」

すさまじい反応に、魂の叫びをあげる松崎さん。最終結果は、実に32551回。「この後は苦行ですね!」「湿布を送りましょうか……」。ツイートには、期待と不安に満ちたコメントが数多く寄せられ、「いいね」も4万を超えています。

コロナでイベント中止「責任感じる」

全日本仏教会によると、ブッダは約2500年前、ネパールで生まれました。生を受けて間もなく、7歩進んだ後、右手を天に、左手を地に向け「天上天下唯我独尊(天にも地にもただ独り私として尊い)」と宣言。天からは甘露の雨が降り注いだとされます。

この伝承から、日本でも行われるようになった甘茶かけ。縁日を開くなどして祝う寺院も少なくありません。永明寺も毎年、地域のカレー屋を招いたり、アーティストによるライブを開いたりする「シャカフェス」を主催しています。

しかし、今年はコロナウイルスが流行。寺がある福岡県では、6日に緊急事態宣言が発令され、外出が困難になりました。そこで、松崎さんはツイートを発案したといいます。

「地元紙に仏教に関する寄稿をしているのですが、その中で『花まつりには、ぜひお寺を訪ねて欲しい』と書いたんです。でも、イベントの開催が難しくなってしまった。楽しみにしてくれていた方々に対し、責任を感じたこともあり、つぶやいてみようと思いました」

法話に臨む永明寺の松崎智海住職
法話に臨む永明寺の松崎智海住職 出典: 永明寺のFacebookページ

「あるべきお寺の姿に近づけた」

爆発的に拡散された、今回のつぶやき。松崎さんにとって、人々の目に触れるスピードは、予想をはるかに超えていたといいます。

「当初は『5千回くらいリツイート』されればいいかな』という、軽い気持ちだったんです。しかし、あっという間にとんでもない数になってしまって……。さすがに『どうしよう』と焦りましたね(笑)」

コメントの中には、幼少期に甘茶かけを経験したという人のものが、ちらほら見受けられます。その一方で、アイデア自体を面白がって、ツイートを広めたとみられるケースも。こうした動きを、松崎さんは好意的に捉えています。

「お寺に来るのって、お葬式を行うときくらい。でもお坊さんの面白い説法が聞けるなど、元々もっと楽しい場所だったはずなんです。生死について考える場所でもあるから、本来は日常と隣り合っていないといけない。近寄りがたくしたのは私たち僧侶自身だと思います」

「つぶやきが受け入れられたのは、『何だかばかげたことをやっている人がいる』と思ってもらえたからかもしれません。その意味で、自分なりに考えている、あるべきお寺の姿に少し近づけたのかな、と感じています」

松崎さんによると、コロナウイルスの影響で、葬儀を取りやめる人が増えているといいます。こうした状況を受け、法要の様子をネット上で中継するなど、新たな取り組みを始めました。苦しい時こそ、人々に寄り添いたい。そんな気持ちに裏打ちされた行動です。

松崎さんは8日午後2時から、甘茶かけの様子をYouTube上で生配信。8時間半ほどで、2万回に到達しました。家族総出で取り組む姿に、動画には応援の声が続々と寄せられています。9日も午後2時から、映像を流す予定です。

僧侶ならではのやり方で、人々の心に明かりを灯(とも)そうとする活動。リツイートした私も、住職の動画を静かに見守りたいと思います。

YouTube上で行われた、甘茶かけ生配信の一幕。家族と協力し、ひたすら作業に没頭した。右下のタブレット端末には、回数が表示されている。8日は20000回に到達した
YouTube上で行われた、甘茶かけ生配信の一幕。家族と協力し、ひたすら作業に没頭した。右下のタブレット端末には、回数が表示されている。8日は20000回に到達した 出典: 永明寺のYouTubeチャンネル
※松崎智海さんに生配信の感想について尋ねたインタビューを、後日配信します

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