連載
#20 コミチ漫画コラボ
マラソン周回遅れ、1人「扇」 忘れるものか…漫画で描く「運動会」
わかりみが深すぎるぞ!!
運動会を楽しめるのは、本気になれた人だけ。仲良しグループに溶け込めず、はしゃいでいる友人たちを遠目に見ていた高校時代。もっと思いきり、怒ったり、泣いたりできたら、きっと楽しめるのにと思うけど、できない自分を責めてしまう。
「私を置いて 世界が感動している――」。この言葉にすべてが詰まっています。素直になれない私たちに、そっと寄り添ってくれる漫画です。
※大賞の小柳かおりさんのインタビュー記事を明日23日(木)に公開します。
マラソン大会のラストで訪れる、謎のサライ感。長距離走で周回遅れになったことがある人であれば、痛いほどわかるはず。応援してくれているのは理解しているけど、無数の視線によるストレス……わかりみが深すぎるぞ!!
つらい思いをしてまで短所を減らすよりも、得意なものに打ち込み個性や長所を伸ばす。大切な視点だと思います。そして、最後のコマ「まんがかけてホントよかった」にほっこりしました。
長く日本の青少年には、足の速さによってクラスの役割が決められるルールが課せられていました。しかし、令和という時代を迎えた今、多様性を認める社会は、個人の幸せだけでなく組織の活力にもつながる大事な考え方になっています。漫画に登場したように、「へなちょこ」「ひょろ」でも活躍できる運動会の姿を描いた本作には、他者との違いを認め、それぞれが最高のパフォーマンスを発揮できる環境作りの大切さを訴えたい作者の熱意が伝わってきます。その価値観は、運動会の枠におさまらない普遍的なメッセージとなり読者の心を揺さぶります。
とにかく絵がめちゃくちゃうまいですね。
運動会あるあるとしてのネタの温度にベストマッチしています。デフォルメされているのにリアルな描線、破綻なく密度の濃い構図、カメラワークとすべてがハイレベルだと思いました。特に応援団の後ろ姿に力量を感じました。
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