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阪神の糸原、母に送ったLINE 入団3年目でキャプテン 海外挑戦は?
プロ野球・阪神の新キャプテンに入団3年目でばってきされた糸原健斗選手(26)。これまで鳥谷敬選手(37)や福留孝介選手(41)といった日本を代表する選手が務めてきた重責を担います。選手たちを間近で見る球団関係者から「先輩にも後輩にも愛されている」と評価される糸原選手。インタビューからその原点を探りました。(朝日新聞松江総局記者・内田快)
――今年の目標は。
「全試合フルイニング出場です」
――キャプテンとしての意気込みを。
「キャプテンだからっていう意識は別になくて、しっかり自分のことをやって、それでチームも自分もいいシーズンにできればいいかなと思います」
――プレッシャーはありませんか。
「すごくあります。プレッシャーしかないです。言葉にならないくらいです」
――野球を嫌いになりはしませんか。
「いや、大好きです。それは始めたころから変わりません。その野球を仕事にできてるんで、幸せだなと思います」
――どんなプレーを見てほしいですか。
「がむしゃらに一生懸命やっている姿を見てほしいです」
――高校までは初球から打つことが多かったと聞きますが、プロになってからは四球を選ぶことが増えています。
「プロ野球はでかい選手がいるし、遠くに飛ばす選手めちゃくちゃいるんで。ぼくは初球からどんどんいって、がんがんホームラン打てるバッターじゃないんで、相手の嫌がることをするのが今の仕事だと思っています。その違いです」
――身長175センチはプロとしては小さい方ですが、意識しますか。
「はい、むちゃくちゃ。でも、ちっちゃくてもできるんだと、小さい子どもたちに夢を与えられるようにっていうのは意識しています」
――10年後は?海外挑戦はありますか。
「海外は全然考えていません。鳥谷さんや糸井(嘉男)さんのように球界を代表するような選手になってたいなと思います」
糸原選手には1学年上のいとこがいました。春木良太さんです。2人は兄弟のように育てられ、開星高校では糸原選手が三塁手、春木さんが投手としてレギュラーで活躍しました。
2人は互いに「一緒にプロに」と無言で思い合っていました。その後、糸原選手は阪神に入団しますが、春木さんは大学時代のけががもとでプロには進めませんでした。
ご両親も含め、糸原選手をよく知る人に話を聞くと「春木くん」という名前が必ずといっていいほどでてきました。糸原選手に自身の性格を尋ねると、「ちょっとわかんないです。良太が言うように書いてもらって大丈夫です」という返答でした。
春木さんは糸原選手にとってかけがえのない理解者なのだと思いました。
それだけに、春木さんがプロに入ることができなかった話を聞いていたときの「まあこればっかしはしょうがない」と言ったときの糸原選手は、「これ以上聞いてくれるな」というように感じさせる厳しい表情でした。
糸原選手は春木さんだけでなく、周りの人を大切にしていることも取材で感じました。母の日にタイムリーを打ったときは、母親の洋子さんに「母の日タイムリー」とLINEで送ったり、糸原選手が悪口を言っているところを聞いたことがないという証言もあったり。そんな糸原選手だからこそチームから信頼を集め、キャプテンにも任命されるのだと思います。
この冬、地元雲南市で開かれた糸原選手の子ども野球教室では、子どもだけでなく老若男女が体育館いっぱいに押し寄せました。阪神のキャプテンになった糸原選手の活躍に期待して、地元は大きく盛り上がっています。
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