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2019年01月01日

元日生放送でリアル「家、ついて行ってイイですか?」 番組Pの決断


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「家、ついて行ってイイですか?」が生まれるスタッフルーム。後ろは高橋弘樹プロデューサー=いずれも河原夏季撮影

「家、ついて行ってイイですか?」が生まれるスタッフルーム。後ろは高橋弘樹プロデューサー=いずれも河原夏季撮影

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 終電を逃した人に「タクシー代をお支払いするので」と声をかけ、家までついて行けるかをその場で交渉するテレビ東京系の人気番組「家、ついて行ってイイですか?」。家について行った人が一見普通でも、その裏に隠された人生ドラマがSNSなどで毎回話題になります。2019年は、元日から3時間半のスペシャルを番組初の生放送。「1月1日に特番をするなら、リアルな1月1日を映したい」。そう意気込むのは高橋弘樹・プロデューサー(37)です。近著の『1秒でつかむ』でも「見たことないおもしろさ」にこだわったテレ東の職人系テレビマンに、番組への思いを聞きました。

インタビューに答える高橋弘樹プロデューサー

インタビューに答える高橋弘樹プロデューサー

「リアルな1月1日」映したい

〈1月1日午後9時からの特番は二部構成。第1部は終電後に出会った、「パソコンが光りまくる部屋に住む夫婦」や「深夜ベロベロで歩いてた『CanCam』の美人スタイリスト」「やたら明るい淑女」「賞味期限切れの大豆とっておく男」などのVTRを紹介。第2部は、1部に登場した人たちの「平成最後の大みそか」をMCのビビる大木さんやおぎやはぎの矢作兼さんが生放送で見届けるという内容です〉
 
――元日の特番で番組初の生放送。どうしてやろうと思ったのですか
 
 「昨年の秋ごろ、社内のやや偉めな人から、おもむろに『1月1日に特番をやってくれ』と言われたんですよ。話が来た時、まず凹みました」
 
 「やっぱり年末年始は休みたいじゃないですか。大掃除もしたいし、家で『紅白』…じゃない『年忘れにっぽんの歌』(昨年12月31日・テレ東系列)も見たいし。でも、やるからには、『見たことないものをやりたい』と思いました。だから『1月1日ってどんな番組をやる日だっけ?』と考えたんです」
 
――どういう日なんですか?
 
 「まずは一つ目には、1年で1番テレビが『超ハッピー』モードになる日ですね。どの番組もとても楽しそう! 二つ目には、でも、1年で1番テレビがフェイクだらけになる日ですね。全部が全部、年内に収録して、着物きて『あけましておめでとう〜』って!」
 
 「なんかちょっと、フェイクなハッピーというのも、嫌いじゃないけど、よくよく考えると、ちょっと悲しくなるじゃないですか。よくよく考えなきゃいいっていう説もありますけど」
 
 「1日は、年内に撮った大型特番を流して『休もう』という日なんですよ。僕もそういうの、嫌いではないですが…でも、せっかく1月1日に、本来なら元日くらい停波しても差し支えないと個人的には思っているテレビ東京で番組をやるんだったら、『ちょっと違うものやりたいな』と思いました。いま言った二つの『逆』ができないかなぁって」

スタッフにアドバイスをする高橋プロデューサー(写真の一部を加工しています)

スタッフにアドバイスをする高橋プロデューサー(写真の一部を加工しています)

――どういうことですか?
 
 「まずは、『超ハッピー』とは違うもの。『しみじみハッピーニューイヤー』もいいんじゃないかなぁ、と。特に今年は平成の終わりですから…元号が変わる年くらい、来し方30年を思って、普段と違う正月というのも悪くないと思います」
 
 「でも、やっぱり暗すぎると、きつい(笑)から、番組は『ハッピー&しんみり』的な感じになっています(笑)! 帰省して家族みんなでも見て欲しいし、家族と離れていたり、1人で生きると決めたりした人にも、見て欲しいな、って思います。平成31年を生きる『フツー』の人が描き出す人生劇場が醸し出す『ハッピー&しんみり』です」
 
 「二つ目は、生放送をしようかなと思って。せっかく1月1日のゴールデンを張るんだったら、リアルな日本の大みそかと元日を映そうじゃないかと。もう少し言うと、『リアルな平成最後の大みそかと元日』

――リアルな元日?
 
 「僕も今まで作ってきましたけど、正月『気分』ってテレビはいくらでも醸し出せるんですよ。でも、12月に晴れ着で収録する番組ってやっぱり、うそっぱちじゃないですか。『家、ついて行ってイイですか』は、『超リアル』を目指して作っているので、だったら1月1日もリアルなのを映そうと。2日からがっつり休めばいいやと思って生放送はすぐ決めました。巻き込んだスタッフは、本当に申し訳ない…(笑)。心からお礼を言いたいです」

インタビューに答える高橋弘樹プロデューサー

インタビューに答える高橋弘樹プロデューサー

「平成最後の年越し」も撮影

〈第2部のVTRを見る場所も、1日の放送中に探すという「ガチ」な企画に。家探しにはMCも加わります〉
 
――VTRを見る場所も生放送中に探すと聞きました
 
 「生放送をするんだったら、一番何が見たいか。ハラハラさせるのは何だろうって考えたら、やっぱり『ついていけるか、いけないか』だと思ったんです」
 
 「VTRでいつも描いていますけど、生放送ならそれを極限まで出せるなと思ったんですよね。断られた時のディレクターのがっかり具合とか、ついて行けたとしても着くまではどんな現場か分からない不安とか。視聴者には、がっかりはがっかりで味わって欲しいし、ついて行けたらその喜びも味わってほしい。せっかく生放送をするなら、一緒に楽しみたいじゃないですか」
 
 「あと理由がもう一つ。生放送では大みそかに撮影したVTRを流そうと思っていて、1部で登場した人たちの『平成最後の年越し』も予定しています。その映像を見る収録は去年のうちにできないので、1日に見るしかない。だったら放送中に、出演者たちにも家探しからしてもらおうと思って」

スタッフルームにはこれまで取材したテープの山々(写真の一部を加工しています)

スタッフルームにはこれまで取材したテープの山々(写真の一部を加工しています)

大木さん・矢作さんのすごさ

――大木さんや矢作さんも「家、ついて行っていいですか?」をやるんですか

 「どちらかまだ決めていないですけど(取材は昨年12月24日)、番組がスタートしたら『今から探してください』と丸投げしようかと。スタッフだけでやるよりは、タレントさんなので確率が上がると思うんですけど、成功するかは五分五分でしょうね。僕も現場から見届けます」

 「番組はフツーの人にもある、全然フツーじゃない人生ドラマを描いたVTRにこだわっていますが、その中で2人の存在はすごく大きいんです。例えば、誰かが亡くなってしまった回や闘病中の人がいる回では、登場する人たちに寄り添いながら、30秒後にはそれを笑いに変えてくれます。悲しい話から笑いへの転換が本当に上手で、次に流すVTRに向けて視聴者の気持ちを切り替えてくれる。その技術はすごいです」

元日で放送する第1部の収録風景=テレビ東京提供

元日で放送する第1部の収録風景=テレビ東京提供

「すべてガチ」支える70人のディレクター

〈今や突っ込むのを楽しみにしているゲストもいるほど、お約束となった「家」での収録。ここにも高橋さんのこだわりが〉
 
――どうしてスタジオで収録しないのですか
 
 「一つは予算をロケに集中させたいからです。視聴者から『ついて行く人がよく見つかりますね』『ヤラセだろ』などと言った反応が来ることがありますが、すべてガチで取材をしています。ベテランのディレクターでさえ、まったくついて行けず空振りする方が多いですが、毎週のVTRを放送するため、番組に関わっているディレクターは約70人。たぶん世界で1番ディレクターの多い番組です」
 
 「スタジオを使っていないので、スタジオ代はもちろんゼロ。美術やスタジオのカメラなども必要ありませんので、その分の予算は全部、番組の人件費にかけることができます。こうして、ディレクターたちが取材し続けられる態勢をつくっています。もう一つは、スタジオでやることの『予定調和』が嫌いだったんです」


スタッフルームには今後のラインナップ候補も

スタッフルームには今後のラインナップ候補も

人の家で収録する理由

――予定調和?
 
 「タレントさん同士ってどこかで仕事したことがあると、『こう言ったら、こう返してくるだろうな。そうしたら、こう返そう』と慣れのような関係性で仕事をしがちなんですよね。僕から見たらそれが、なあなあに見えて面白くなくて。だから予測不可能な人を出演者に入れたかった。一番予測不可能なのは一般の方だなと思ったんです」
 
 「だって、テレビにおもねった発言をする必要ないですから。その中でも、おばあちゃんおじいちゃんなら、何を言っても許されると思ったんですよ。80歳ぐらいまで生きた人生経験に基づいて言うから、それなりに重みがあるという発想が僕は強くて。矢作さんに上からいったり、僕らがいいと思って流したVTRを『こりゃないね』って言ったりしても許せると思うんですね。あとは逆に20代の方とか。彼らには、若さゆえの、何を言っても許される無敵さがあると思います」
 
 「人気のタレントさんは、スタッフも味方になるし、スタジオだと自分のフィールドで勝負できるんですよ。『ここ、笑わせようとしているんだな』と気づけばスタッフが笑うし。でも、一般の方はそうじゃない。矢作さんや大木さんが面白いことを言っても、笑わない時は笑わない。本気を出してもらうためにも、そういうアウェーのような緊張感は作りたいというのはありましたね。今でも人の家に行くのは、緊張しますから」

スタッフルームには過去の番組で使った金魚も

スタッフルームには過去の番組で使った金魚も

成功パターンを崩す、生放送も挑戦

〈深夜番組として2014年に始まった「家、ついて行ってイイですか?」。ゴールデンタイムに昇格してから、今年の春で3年になります。昨年は海外ロケやオンエアが不可能だったVTRをトークで紹介するなど、新しい試みにも挑戦しています〉
 
――今の番組は高橋さんの中で完成形ですか
 
 「完成形はなくて、常に変わっていきたいなと思っています。木梨憲武さんがゲストだった年末の特番は、色々な事情でオンエアできないVTRをディレクター裏話として放送しましたが、時を経て、今なら差し支えないというVTRもあるんですよ。この番組も始まって5年になるので、そうした『時効V』も当時と今を比べながら放送してみたいですね」

木梨憲武さんがゲストだった昨年末のスペシャル番組=テレビ東京提供

木梨憲武さんがゲストだった昨年末のスペシャル番組=テレビ東京提供

 「もちろん、生放送も挑戦です。家について行けるかもそうですが、怖いのは中継。生放送って、普通はすごい下見するんです。中継電波の飛び具合確かめるために」
 
 「でも、この番組はどこに行くかわからないから、下見ができない(笑)。すると、行った先で中継電波が飛ばないこともあるんです。どこに行くか決めない中継って、ほんと怖すぎて…やったことないから(笑)。なので、プロフェッショナルの技術さんたちは、本当にイヤがってました(笑)」
 
 「でも最後は、『電波飛ばなかったら、収録したものは後日放送するから、いいですよ』と言ってくれてOKをもらいました。中継切れたらごめんなさい(笑)。でも、だからこそ描ける『リアル』があるんだと思います。本当に放送事故にはならないよう、電波が切れた時のためには、何か考えておきます!」
 
 「番組って、成功してきたパターンを崩すところが作り手の醍醐味。どんどん変わることで、視聴者の皆さんも飽きないで見られるでしょうし。ただ基本的には、楽しんで見てもらえれば僕たちはうれしいです。今回もワクワクしてもらえるようスタッフ一同、体当たりでお送りしていきます!」
 (弁当発注したら80個でした…80人のスタッフのご家族のみなさん、本当にごめんなさい)

    ◇
 
 『「家、ついて行ってイイですか?」~元日(ワケあって)生放送3時間半スペシャル~』は2019年1月1日21時~24時30分、テレビ東京ほか系列5局などで生放送の予定。

「家、ついて行ってイイですか?」など、これまでの番組作りで培ったコンテンツ論を『1秒でつかむ』(ダイヤモンド社)にまとめた高橋弘樹プロデューサー

「家、ついて行ってイイですか?」など、これまでの番組作りで培ったコンテンツ論を『1秒でつかむ』(ダイヤモンド社)にまとめた高橋弘樹プロデューサー

たかはし・ひろき 1981年東京生まれ。2005年テレビ東京入社。入社以来13年、制作局でドキュメント・バラエティーなどを制作する。プロデューサー・演出を担当する『家、ついて行ってイイですか?』では、これまでに600人以上の「人生ドラマ」を放送。カメラマン、脚本、編集などを手がけ、書いた脚本は約2000ページ、ロケ本数300回以上、編集500本以上。近著に『1秒でつかむ「見たことないおもしろさ」で最後まで飽きさせない32の技術』(ダイヤモンド社)がある。

『家つい』はここで作られる! テレ東スタッフ部屋にまさかのアレが
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