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2017年12月31日

「ソロ当たり前」時代、独身者が備えるべきこと 2035年には半数

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3年間で計2万人以上の独身男女の意識を調べた博報堂の荒川和久さん

3年間で計2万人以上の独身男女の意識を調べた博報堂の荒川和久さん

 男性23.37%、女性14.06%――。50歳まで1回も結婚したことがない人の割合を示す「生涯未婚率」の上昇が止まりません。今年発表された2015年の調査では、平成が始まった頃の1990年と比べて男性が4倍、女性が3倍となりました。2035年に独身者が5割近く、一人暮らしの世帯が4割近くに達するという推計が、現実のものになりつつあります。単身でいることが珍しくない時代に、ソロとして生きることとは。

 

上がり続ける未婚率「何で結婚しないんだろう」

 博報堂・ソロもんLABO(ソロ生活者研究ラボ)リーダー・荒川和久さんが、独身者のデータやライフスタイルを研究するようになったのは、2010年の国勢調査がきっかけでした。調査を基に発表された男女の生涯未婚率は、男性20.14%、女性10.61%。生涯未婚率は、50歳時点で未婚の人はその後も結婚する可能性が低いという考えに基づいており、生涯独身を貫く人の割合をはかる物差しです。

 さらに2013年。「一人暮らしの世帯が2035年には4割近くに達する」という将来推計が、国立社会保障・人口問題研究所(社人研)から発表されました。荒川さんは博報堂入社後、マーケッターとして自動車、食品、化粧品、映画、住宅など幅広い業種を担当。増え続けるコンビニの売り上げと単身世帯の増加の推移がリンクするように、配偶関係や婚姻状況、雇用環境などの社会構造と合わせ鏡にある消費の移り変わりを見つめ続けてきました。

 「何で独身が結婚しないんだろう」「どういう人が結婚しないのか」

 未婚や非婚、離婚や死別など理由は様々ですが、消費ボリュームとして無視できなくなっている20~50代の独身者。その生活意識や消費意識を研究しようと、まずは独身男性に焦点をあて、2014年8月にソロもんLABOの前身、ソロ男(ソロ活動系男子)プロジェクトを立ち上げました。

社人研が2013年に発表した将来推計。「一人暮らしの世帯が2035年には4割近くに達する」という結果だった

社人研が2013年に発表した将来推計。「一人暮らしの世帯が2035年には4割近くに達する」という結果だった

出典: 朝日新聞

「一人が好き」でも未婚への後ろめたさ

 プロジェクトでは国などが公開しているデータの分析や、対象を女性にも広げ、3年間で計2万人以上の独身男女の意識を調べました。すると独身の中でも、「一人が好きだし、結婚する必要を感じない」と考える人と「結婚をしたいけどできない」と考える人に分かれていました。

 「一人が好き」という人は、「束縛されず自由でいたい」「一人の時間を大切にしたい」「問題があっても自分で解決する」という「自由・自立・自給」の価値観が共通してありました。自由でありたい、自立していたい、自給でいきたい。プロジェクトの調査では20~50代独身男女の4割がそれに該当します。

 一方、海外との比較や、独身者へのインタビューで改めて気が付いたのが、「結婚しないことが悪」という社会規範がいまだ根強く残っていることでした。

 「言った側はあいさつ程度にしか思っていない『結婚しないの?』が、『苦痛なんです』と答える人が想像以上に多かった。『結婚するつもりがない』と公言している人でも、深く調査をすると未婚への後ろめたさや自己否定が入っているんです」

「『結婚しないことが悪』という社会規範が残っている」と語る荒川さん

「『結婚しないことが悪』という社会規範が残っている」と語る荒川さん

「9割が結婚したい」というデータの落とし穴

 国勢調査が始まった1920年(大正9年)から見ても、1980年代までの日本は生涯未婚率が男女ともに5%以下の『皆婚社会』でした。高度経済成長期が過ぎ、女性の社会進出の機運が高まると、結婚にとらわれない人生設計の選択肢が増えましたが、「『結婚をして子ども産み、一人前にするのが人としての務め』という価値観を譲らない人は依然として残っています。こうした空気は、メディアも作ってきました」。

 その例が、「独身の9割が『結婚したい』と考えている」というデータの落とし穴です。社人研が5年に1度実施している出生動向基本調査の一つで、2015年は「いずれ結婚するつもり」と答えた18~34歳の未婚男性が85.7%、女性が89.3%いました。

 このデータは、「いずれ結婚するつもり」か「一生結婚するつもりはない」の二択で構成されています。「いずれ結婚するつもり」と答えた人には続きがあって、調査時点での結婚意思を尋ねると男女の半数近くが「まだ結婚するつもりはない」と答えています。

 こうした未婚男女の結婚観は、荒川さんたちが2016年に実施した20~50代の男女1万人への調査でも同じ傾向でした。平均初婚年齢の30代で見ると、男性の5割、女性の4割は結婚に対して後ろ向き――。「『結婚するかもしれないと思いつつも、今のところはない』という意識が大半なのに、調査の一部を切り取って『9割の人に結婚願望があるのに、未婚のままでいるのはおかしい』という論調が作られ、婚活が推進される。それが独身者の生きづらさにつながっています」。

 

「ソロで生きる力」が必要

 そもそも2035年には、独身者が人口の48%を占めると推計され(社人研「日本の世帯数の将来推計(2013年1月推計)」)、「ひとり」がマジョリティーになる日も遠くありません。さらに独身の中には未婚だけでなく、結婚後の離婚や配偶者の死別による「独身化」が増えています。

 「人口の半分が独身になる時代に、結婚か未婚かという二項対立的な議論は時間の無駄でしかない。むしろ、結婚後にも離婚やパートナーとの死別などがあることを考えると、既婚や未婚に関わらず、一人でも生き抜いていけるような精神的自立を誰もがすることが必要なんです」

 こうしてたどり着いたのが、「ソロで生きる力」でした。

 

ソロで生きる力とは「つながる」こと

 荒川さんが強調するのは、「人とつながることこそがソロで生きる力」だということです。

 「矛盾するように聞こえるかもしれませんが、『周りとうまくやれないから』『コミュニケーションが取れないから』と、他者との関わりを避ける人は、ソロで生きる力があるとは言えません。逆説的ですが、一人で生きるということは、周りとつながっていることなんです」

 「そのためには『自分の中の多様性』を持つことが大切です。『自分のアイデンティティーはこれだけだ』と頑固に守っている人ほど他人とはつながれません。そういう人は孤立や依存を深めてしまいがちです」

 多様性を持つためには、「色々な人と話をすることから」とアドバイスします。「話をするだけでも、相手への共感や違和感など様々な感情が生まれ、新たな自分を生みだすことができます。外部の人と知り合うきっかけがない人や直接会うのが苦手な人でも、今はオンラインサロンなどネットの入り口がいくらでもあります」。

「人とつながることこそがソロで生きる力」と語る荒川さん(写真はイメージです)

「人とつながることこそがソロで生きる力」と語る荒川さん(写真はイメージです)

出典:pixta

選択肢があれば、決めるのは自由

 自分の中の多様性を広げれば、そこが社会との接点となり、また新たなつながりが生まれます。「そのつながりは異性でも同性でも、年代を超えていても構いません」。そうしたつながり増えれば、人生の選択肢も増えます。

 「ソロで生きる力があれば、結婚するか未婚でいるかも選択肢の一つにしかすぎません。それを決めるのは本人の自由です。選択肢があれば、『こっちがダメでもあっちにすればいい』と思うことができる。そうすれば、独身の人が感じているかもしれない生きづらさも少しずつなくなっていくと思います」


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