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連載

#9 夜廻り猫

自由がない、もう十年も奥さんの看病で…涙を誘う猫マンガが描く介護

目次

 1年ぶりに偶然再会した2人。お互いに介護や看病で、なかなか自由な時間がありません。「立ち話だけだったけど、これでしばらくもつ」。「ハガネの女」「エデンの東北」などで知られ、ツイッターでも作品を発表している漫画家の深谷かほるさんが、「介護の息抜き」をテーマに描きました。

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1年ぶりに再会した2人「これでしばらくもつ」

 「泣く子はいねが~」
 夜廻り中の猫の遠藤平蔵。きょうは、再会を喜ぶ心の涙をかぎつけました。

 ある街のスーパー。
 高齢の男性2人が「いや~久しぶり!」「よかった。変わりない?」と偶然の再会を喜びます。

 1人は、もう十年も妻の介護を続けています。
 男性は「以前はよく会いに行けたけど うちの家内も弱って お互い自由がなくてね」と振り返ります。

 ほんの少しの立ち話でしたが、
 「でも、会えた。これで しばらくもつ」
 そう言って、顔を上げる男性。
 遠藤は「明日も2人が会えないものだろうか 安心して いっとき笑い合えないものだろうか」と願うのでした。

大変な介護の日々 短時間でも笑い合えたら

 介護や看病は、男女どちらにとっても大変なこと。

 作者の深谷かほるさんは「特に高齢の男性にとっては、家庭内の問題を話す習慣がない、様々なサービスを知るネットワークがない、といった理由から、よりハードルが高いのではないかと思っていました」と話します。

 介護を担う人たちが、毎日、短時間でも笑い合える時間があったら――。
 漫画には、そんな願いがこもっています。

【マンガ「夜廻り猫」】
 猫の遠藤平蔵が、心で泣いている人や動物たちの匂いをキャッチし、話を聞くマンガ「夜廻(まわ)り猫」。
 泣いているひとたちは、病気を抱えていたり、離婚したばかりだったり、新しい家族にどう溶け込んでいいか分からなかったり、幸せを分けてあげられないと悩んでいたり…。
 そんな悩みに、遠藤たちはそっと寄り添います。
 遠藤とともに夜廻りするのは、片目の子猫「重郎」。姑獲鳥(こかくちょう)に襲われ、けがをしていたところを遠藤たちが助けました。
 ツイッター上では、「遠藤、自分のところにも来てほしい」といった声が寄せられ、人気が広がっています。

     ◇

深谷かほる(ふかや・かほる) 漫画家。1962年、福島生まれ。代表作に「ハガネの女」「エデンの東北」など。2015年10月から、ツイッター(@fukaya91)で漫画「夜廻り猫」を発表し始めた。3月23日、講談社から単行本1、2を発売した。自身も愛猫家で、黒猫のマリとともに暮らす。

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