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ネプチューン、今もコント続ける理由 「3人の理想は…笑って泣く」
司会や役者など幅広く活躍している、人気お笑いトリオのネプチューン。そんな3人が結成以来、ずっと続けているのがコントです。今も3カ月に1回は舞台に立ちます。『ボキャブラ天国』に始まり『ハモネプ』、最近の『空想大河ドラマ小田信夫』まで、新ジャンルに挑んできた3人。原点として大切にしているコントへの思いを聞きました。
『空想大河ドラマ小田信夫』(NHK)は、ネプチューンと、劇団「五反田団」主宰で作家の前田司郎さんが作り上げた、シチュエーションコメディーです。
小田信夫(堀内健さん)、柴田勝夫(原田泰造さん)、明智充(名倉潤さん)という、聞いたことがあるようなないような名前の武将たちが、とぼけた会話を交わしながら話が進んでいきます。
武将なのに「城なんか攻めてどうするの?」と悩み。「人間50年」の舞を家臣に見せたいと言って駄々をこねる……。戦国時代なのに、どこか現代社会にも通じる笑いのつぼが随所にちりばめられています。
堀内さんは「前からやりたかったんです。ネプチューンで、シチュエーションコメディーを。ぼんやりと、ずっと思っていました」と語ります。
前田さんの本は、現代語の会話の中に突然「ござる」がまざるという斬新なものでした。
原田さんは作品の新しさについて「これはドラマなのかコントなのか、そこはギリギリのところで……」と言います。「コントはちょっと違うかな? でも、何が違うんだと言われるとよくわからないかも(笑)」。
「今回は前田さんの本の面白さのままで。そのまま崩さずやっています」と名倉さん。アドリブは一切、ないそうです。
前からやりたかったというシチュエーションコメディー。その源流には、コントがあります。
今もコントの舞台に立ち続ける3人。堀内さんは「やっぱりコントからはじまったので。そこが出発点なんで」と話します。「コントをやっていなきゃダメだっていう感じじゃないですけど。でもまあ、やっていた方がいいかなって。何がゴールかわからない。だから、『小田信夫』みたいな番組が生まれるのは、自分たちにとって、すごくいいことだなあって思います」
原田さんは「お客さんの前で3カ月に一回やる。正直、言うと恥ずかしい」と明かします。「照れちゃうところもある。懐かしいというか。コントをやるたびに、どんどん進化していきたいな、と思う」
名倉さんは、コントの積み重ねが『小田信夫』にも生かされていると言います。「間合いとか、コントをやっているから何となくわかる。こういうのをやりたいんだなっていう気持ちは芽生えてきます。舞台に立つのは、すごく楽しいです」
お笑いのコントで一般的だった「ボケは1人」という常識に挑戦したのも、ネプチューンでした。『ボキャブラ天国』では、堀内さんと原田さんがボケ役に、名倉さんがツッコミを入れるという、これまでにないスタイルで人気を集めました。
『ハモネプ』は、番組の一つのコーナーだったのが、アカペラコーラスの歌唱力とライブ感が人気となり、全国的なブームになりました。番組からは「RAG FAIR」などの人気グループも生まれています。
そして今回の『小田信夫』は、NHKのスタッフが大河ドラマ並みのクオリティーで作り上げたセットや衣装で、コメディーを繰り広げるというギャップで話題に。最終回前に総集編が企画されるなど、予想を上回る反響になっているそうです。
本物の大河ドラマに出演経験もある原田さんは「平和じゃないですか。あの戦国の時代でも、もしかしたら、本当にこういうのがあったんじゃないかって思わせる。現代的な穏やかさが、逆にリアルなのかなって思っています」と話します。
頼りないけど憎めない主君を演じる堀内さん。「昔から攻撃的ではない。そこは3人ともそうじゃないですかね」というメンバーの人柄は、今回の『小田信夫』にも現れているようです。「理想は笑って泣くみたいな。そこは、やっぱり、昔から3人とも好きだと思いますし、今後も変わらないですね。うまくやれるかわからないけど」。
今は、デビュー当時にはなかったスマホが浸透し、ネットでテレビを見る人も少なくありません。エンターテインメントの世界は急激に変わっています。
そんな中、名倉さんはテレビの魅力は「世代をまたぐ力」にあると見ています。「若い人からお年寄りまで。コントの舞台では出会えない人も、色んな世代から反響がきます」。
2月25日放送の最終回は「『ラ・ラ・ランド』に匹敵するくらいのエンディングを期待してほしい」(堀内さん)という『小田信夫』。原田さんも「こんなにふざけたことを、こんだけ真剣にやれば、色んなことが起こるんだって。そう思える回になっています」と話しています。
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