2017年01月16日

つるの剛士さん、育休宣言に「もうねえな。帰ってくる場所」

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5人の子どものパパのつるの剛士さん

5人の子どものパパのつるの剛士さん

 2回目の育休を経験したつるの剛士さん。最初の育休は、事務所にも知らせず突然、イベント会場で宣言しました。知り合いからは「もうねえな。帰ってくる場所」と脅されたという、つるのさん。しかし「取ってみたらマイナスなんてなかった」と振り返ります。「『スーパー親』なんてあり得ない」と断言する、つるのさんに話を聞きました。(聞き手 朝日新聞文化くらし報道部記者・長富由希子)

家族7人で食事=本人提供

家族7人で食事=本人提供

「育休中」、いいね欲しくなる

 5人目の子どもとなる次男が生まれたので、芸能界の仕事を全て休む「育休」を昨年6月から1カ月間取りました。

 最初の1週間は、ママが築き上げた城を僕の城にする作業。台所の食器や鍋の位置を知る。ボウルとか、大小あるでしょ。ひとつずれると、引き出しがしまんないんですよ。

 その作業が終わったぐらいから、「うわあ、仕事戻りてえ」っていう苦痛がやってきた。なんでこんなに毎日同じことが、同じ時間にやってくるんだ、というストレスです。

 毎朝5時半に起き、小中学生の子ども4人の弁当と、朝ご飯を作る。娘3人の髪を今風にふわっと結う。7時半に子どもたちは学校へ。ゴミ出しと皿洗いと洗濯をして、子どもが帰ったら習い事や塾の送り迎えをし、買い物をして、夕ご飯を作る。もう毎日同じ。

 1カ月間、家族以外ほとんど誰とも会わず、エプロンは着けっぱなし。コンタクトレンズは1回もつけず、髪のセットもしなかった。

 赤ちゃんに必死なママに、僕の気持ちははき出せないからノートに書いた。「プリント早く出せ」「早く弁当箱出せ。洗えねえから」「卵焼きの味の好みが子どもによって違うのが困る」とか、気づいたことを毎日びっしりと。

ムスコ、開けたらすぐグッチャグチャにするんだろ〜なぁ。 いってらっしゃい。

つるの剛士🇯🇵さん(@takeshi__tsuruno)が投稿した写真 -


 弁当の写真を写真共有アプリのインスタグラムにあげたくなる気持ちもわかった。誰からも家事を評価されないから「いいね」が欲しくなるんです。

 育休の一番の目的は、育児じゃなくて、奥さんの気持ちがわかるようになることだと思う。1カ月間やってみて、めっちゃくちゃしんどくて、奥さんを見る目が全然変わった。

 今までも「お疲れ様」って言ってたつもりだったけど、「まだまだ足らねーな」って、思いましたから。

妻に「ふられる」怖さから

 芸能界を休む「育休」を取るのは、実は今回が2回目です。最初は6年前。4番目の子どもとなる3女が0歳の時でした。

 当時はイクメンという言葉がまだ広がっていなくて、仕事もめちゃめちゃ忙しい時期。「絶対反対される」と思い、事務所に相談せず、「ベスト・ファーザー賞」の授賞式で育休を取ると宣言した。

 育休を思いついたのは、授賞式当日の朝。「仕事ばっかりやってもだめだ。家庭が崩壊したら仕事も出来なくなる」という、銀行マンだったおやじの言葉がパッとおりてきた。

 2番目の子どもまでは子育てしながら仕事ができたのに、3番目が生まれた頃から仕事が忙しくなり、奥さんに任せっぱなしに。当時は、自分の靴下がどこにあるかも、近所の人がどんな人かもわからない。奥さんも大変そうだったんです。

 「育休」宣言に事務所はひっくりこけて、「絶対許さん」と。半年取るつもりが押し問答の末、2カ月に。芸能界の知り合いには「もうねえな。帰ってくる場所」と脅された。でも、もう言っちゃったから、どうしようもないし。

 僕は「もし消えかかってもゼロからやり直そう」と思っていた。でも、取ってみたらマイナスなんてなかった。奥さんの気持ちがわかるようになり、毎日機嫌のいい奥さんに会えるようになった。


 僕は最初からイクメンだったわけじゃありません。育児のきっかけは、最初の子が生まれた後、育児をしながらどんどん成長するママを見て、怖くなったから。自分が子どものままでいたら、ステキになっていく奥さんに「ふられる」と思った。それで、子育てしないと、男としてまずいな、と。

 でも最初は、おむつ替えの方法が分からず、奥さんに聞くと「自分で考えて」とツンケンされ、「二度とやんねえ」と。

 いっぱいケンカして、「ごめんね」とか「言い過ぎたね」とか、1人目、2人目、3人目と続けてきて、夫婦で切磋琢磨(せっさたくま)しながら、紆余曲折(うよきょくせつ)、壁にぶつかりながら丸くなっていったんです。

「スーパー親」あり得ない

 次男が今年生まれて子どもが5人になりましたけど、育児書とか、全然読まないですね。僕の育児マニュアルはうちの両親です。普通の親だけど、僕を含めて4人も育ててくれたので。

 両親は完全な放任主義でした。中学3年生の三者面談で先生に「行ける高校がない」と言われた時に、初めて父ちゃんに「お前どうすんだ。手に職つけんのか、高校いくのか。どっちだ?」と心配されたぐらいです。

 僕も、自分自身が夢を追って幸せに生きていて、夫婦の関係さえしっかりしていたら、子どもは放っておいても育つと思っています。

 そんな両親ですが、小さい頃から「父ちゃんと母ちゃんの子どもだからお前は大丈夫だ」って、ことあるごとに言ってたんです。親は軽く言ってたと思うけど、「じゃあ、大丈夫なんだな」と子どもながらに結構真に受けて、根拠のない自信が育った。

 この前もテレビ収録でちょっとうまくいかなくてへこんだけど、「大丈夫だ。父ちゃんと母ちゃんの子だし」と思って寝たらなおりました。だから、自分の子どもにも「パパとママの子どもだから大丈夫」と言っとけば何とかなる、くらいに思っていて、そこだけはしっかりと言っています。

子どもたちと山登り=本人提供

子どもたちと山登り=本人提供

 そもそも5人も子どもがいると、一人一人にじっくり向き合う時間なんてない。さすがに1人目の時は、転んだら「うわあ! 大変!」となっていました。でも、2人目は「うわあ」、3人目「ああ」、4人目、無視です。「なんとかなるっしょ」みたいな。

 絵本を何冊読むとか、それが出来なくて反省、とかも全くありません。子育て中の人たちはみんな、肩に力が入りすぎだと思う。全てを完璧にこなす「スーパー親」なんてあり得ない。自分の両親だって尊敬はしているけど、完璧だとは思っていないですしね。

 子どもには早く夢を見つけて、ちゃっちゃと出て行って欲しいですね。それで早く夫婦2人になりたい。ぼく絶対、結婚した時より今の奥さんの方が好きですよ。2人で言い合っています。「今の方がすてきだよ」と。


     ◇

つるの剛士(つるの・たけし) 1975年、福岡県生まれ。「ウルトラマンダイナ」に出演後、08年結成のアイドルユニット「羞恥心」などで活躍

漫画「スーパー親」=作・吉谷光平さん
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漫画「スーパー親」(1)
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出典:作・吉谷光平
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