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女優「のん」さん、名前への思いは… 「少しずつ広がってうれしい」
名前をめぐっては、「のん」以外にも候補が。
7月に芸名を「のん」に改め、芸能活動を再開させた女優の能年玲奈さん。新しい名前でアニメ映画「この世界の片隅に」の声優に初挑戦しました。名前をめぐっては、フルネーム案、アルファベット案など、「のん」以外にもいくつか候補があったそうです。芸名誕生の裏話や、映画への思いを語ってもらいました。
映画「この世界の片隅に」は、太平洋戦争当時の広島県呉市などを舞台にした漫画家こうの史代さんによる同名の漫画が原作です。
終戦の1年前に広島から呉へ嫁いだ18歳の主人公・すずが、厳しい生活のなかで戦時を生き抜く姿を描いています。
「戦時下の話なので、つらいシーンはありますが、その中でも毎日は巡る。普通に暮らしていくことが、素晴らしいことなんだと感じられる映画です」と話す、のんさん。終戦へ向かう時代でもすずは、食事を工夫したり、着る服を作り直したりして、日常を丁寧に積み重ねていきます。
「すずさんが目の前の生活を大事にしている様子を大切にしました。『普通に生きる』ということに、涙があふれてくる作品になっています」
監督・脚本の片渕須直さんとは、すずの心情などを確認し合いながら役を作り上げていったそうです。「すずさんは『ぼーっとしている』と言われるんですけど、すごく力強くて、芯があるので、そこは大切にしました。あとは監督と話して、すずさんの『大人になりきれない、子どもっぽいところ』が面白いなと思って、その部分もしっかりと演じました」。
映画の公開に合わせて広島を訪れたり、NHKの朝ドラ「あまちゃん」の舞台となった岩手県久慈市を訪れたりするなど、世間の人たちと触れ合う機会も増えています。
「子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで、『のんちゃん』と呼んでくれて、『わー、名前を知ってくれているんだ』とうれしい気持ちになります」
のんさん自身、新しい名前が少しずつ浸透しているのを実感しているようです。
改名については、契約していた事務所との関係で本名の「能年玲奈」が使えなくなった時に、「何がいいかなと考えて、友達に呼ばれていた『のん』っていいなと思った」と話します。
アルファベットやカタカナ、名字をつけてフルネームにするなど、色々な候補があったそうですが、ひらがな2文字に落ち着いたそうです。
「前の本名だと読み方が分からない人もいたので、『のん』にしてよかったと思っています。誰でも読めるので(笑)」
改名後は、インスタグラムやLINEブログなどで近況を積極的に発信することもしています。
「自分が表現できる場なので、大切にしています。見る人が笑顔になってくれたらうれしい」
今月からは、映画コラムの連載を朝日新聞で始める予定です。
「『こんな素敵な映画に出たい』とか、普段は照れて口に出さないことも書きました。感じたことを言葉にするのが恥ずかしい性格なので、すごい緊張しました」
「どういう風に活動をしていけば、私を知ってくれている人に、楽しんでもらえるのかは、常に考えています」
ネットニュースやSNSを見て、ファンの反応なども読んでいるそうです。
最近では、片渕監督のツイッターに試写会を見た人たちから反応が寄せられているのを見て、「観客のみなさんがいて、作品は成立する。何かを感じてもらえたことがSNSの感想で分かるのはうれしい」と語る、のんさん。
「『普通』でいることがすごく幸せなんだと気づかされる映画です。家族や友達のような大切な人とぜひ見に行ってほしいです」
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のん 女優・創作あーちすと。1993年兵庫県生まれ。「この世界の片隅に」は11月12日からテアトル新宿・ユーロスペースほか、全国で公開。11月11日から朝日新聞(東京本社版夕刊)で映画コラムをスタートする予定。
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