お金と仕事
ルンバに脅威現る? ライバルのマキタが業務用「マキタルンバ」投入
電動工具メーカーのマキタがシャープと開発した業務用ロボット掃除機。圧倒的なシェアを持つと言われるルンバにはどのような影響があるのでしょうか?
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電動工具メーカーのマキタがシャープと開発した業務用ロボット掃除機。圧倒的なシェアを持つと言われるルンバにはどのような影響があるのでしょうか?
電動工具メーカーのマキタがシャープと共同開発した業務用ロボット掃除機を発売し、話題になっています。ネット上では、「マキタルンバ」と呼ばれ、「強そう」、「威圧感がすごい」、「かっこいい」などと好意的なコメントが並んでいます(「ルンバ」はアメリカのアイロボット社の登録商標です)。国内の家庭用ロボット掃除機市場で圧倒的なシェアを持つと言われるルンバにはどのような影響があるのでしょうか?
話題になっている「マキタルンバ」は、ロボット掃除機「RC200DZ」。標準小売価格は税別で115,000円。マキタブルーと呼ばれるブルーグレー系の色合いがいかにも「工具」を感じさせます。
家庭用ロボット掃除機より一回り大きく、しかも分厚くて存在感は十分。ガムテープの切れ端や段ボールくずをかき込むため、裏側には大型のサイドブラシとパワーブラシがあり、家庭用のおよそ5倍のゴミを吸い込む容量があります。大型のバッテリーを2本装着することで、テニスコート約2.5面分(カバー率80%)を掃除することもできます。
一方、最新型のルンバでは、カメラとセンサーが組み込まれ、部屋全体を効率よく、より短い時間で掃除できる機能が強化されており、ルンバはユーザーのニーズを着実にすくい上げることで「ロボット掃除機と言えばルンバ」というポジションを築いてきました。 アイロボット社のコリン・アングル社長は先月、朝日新聞デジタルのインタビューのなかで、「(最新のルンバ980は)動き回りながら(室内の)地図も作れる。ここで集めた情報を使い、将来的には、たとえば部屋を出たら電気が消えたり、別の部屋に行くとさっきまで聴いていたラジオが流れ始めたり。そんな仕組みもできるだろう」「利用者は外にいてもルンバがどう掃除するかをスマートフォンで確認できるなどメリットがある。」とユーザー視点での開発を語っています。
オフィスや店舗、倉庫、工場での利用に適した「RC200DZ」ですが、ネット上には「(うちに)欲しい」の声も。実際家庭で使うとどうなるのか、株式会社マキタ総務部の高橋健太郎さんに聞いてみました。
―家庭で使うとどうなりますか?
「上部パネルにあるボタンを押すだけなので誰でも使えます。家庭でももちろん使えますが、見た目、サイズ感が家庭用ロボット掃除機と全然違いますので、部屋で使うとまずそこに違和感を感じると思います。あと、音が全然違います。業務用ですので、音を静かにという優先度は低く、家庭用ロボット掃除機に比べるとかなり大きい音がします」
家庭で使う掃除機を選ぶ時に「静音性」は見逃すことのできないポイントです。業務用と家庭用では優先する機能が違うのは当然のことでしょう。
金物屋に化物みたいなルンバが置いてあった。工場用マキタルンバ…
比較用にカード置いてみた。デカイ。ムダにカッコイイ。超欲しい pic.twitter.com/eLrbzfiXTj
— 猛烈 [ Tony ] ぐ (@gumrrs) 2015, 11月 24
ところで、「マキタの掃除機」といえば、充電式のスティック型掃除機を思い浮かべる人もいるかもしれません。業務用として新幹線の車内清掃にも使われていることで有名です。シンプルを超えて、武骨とも見える外見ですが、コードレスで取り回しがよく、吸引力が強いということで熱狂的なファンがいます。
掃除はルンバとマキタの充電式の二刀流(併用)で、という主婦のコメントもネットでよく見かけます。毎日の掃除はルンバで、スポットのゴミはマキタで、という使い分けで部屋が常にきれいに保てるという具合です。
これまでこうした蜜月(?)関係にあったルンバとマキタですが、マキタが業務用ロボット掃除機を発売したことを、日本でルンバを販売するセールス・オンデマンド株式会社はどのように受け取っているのでしょうか?マーケティンググループで広報を担当する坂井奈央さんに聞いてみました。
―ルンバとマキタの充電式掃除機の組み合わせで部屋掃除という家庭、多いですね
「ルンバで掃除が手軽になりましたが、まだ完全ではありません。残りをどうするか、という時に大きなキャニスター型ではなくスティック型で、という家庭は多いですね。その時にマキタさんを選ぶという話はよく聞きます」
―マキタの業務用ロボット掃除機がネットで話題になっているのをご存じですか?
「シャープさんと開発したものですね。もちろん知ってます」
―盟友ともいえるマキタのロボット掃除機参入をどう思いますか?
「マキタさんのロボット掃除機は業務用なので、カテゴリーが違います。全然大丈夫ですよ(笑)」
現在のところは棲み分けができるというルンバとマキタのロボット掃除機。しかし、近い将来には、業務用の「力強さ」や「容量」に魅力を感じるユーザーが現れ、ルンバとマキタ、ロボット掃除機の「二刀流」家庭も登場するかもしれません。
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