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ろくでなし子さん保釈 「なぜわいせつなのか」「法廷マンガ描く」

 保釈されて記者会見した、ろくでなし子さん。自分の作品がわいせつかどうか、今後の刑事裁判で「戦うつもりです」と主張しました。被告人の立場で「法廷マンガを描きたいと」とも。会見の詳報をお伝えします。

記者会見するろくでなし子さん(中央)、弁護士の山口貴士氏(左)、南和行氏(右)=12月26日夜、都内
記者会見するろくでなし子さん(中央)、弁護士の山口貴士氏(左)、南和行氏(右)=12月26日夜、都内 出典: 朝日新聞

目次

 12月26日夜、保釈され記者会見を開いたろくでなし子さん(42、本名・五十嵐恵)。わいせつ物頒布やわいせつ物陳列の罪による起訴について「戦うつもりです」と主張しました。また、刑事裁判の被告人となったことから「法廷マンガを描きたいと」とも。会見の詳報をお伝えします。

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ろくでなし子さん会見の冒頭コメント

 今回、保釈されるまでの間、たくさんの方が応援してくださったことにあらためて感謝申しあげます。ありがとうございます。

 私は、証拠隠滅したり、逃亡するつもりもないのに、12月3日に逮捕されてからきょうまで勾留されたことについてはいまでも納得いきません。

 これから裁判が始まりますが、頑張って闘いたいと思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

「私の体はわいせつではありません」

 会見での記者との質疑応答の要旨は次の通り。

 ――1度目の逮捕でも、世の中で多くの疑問の声が上がったのに、2度目の逮捕となった。北原みのりさんも逮捕された。どう受け止めているか。

 今回は私だけじゃなく、北原さんまでも逮捕されてご迷惑をかけ申し訳ないし、とても納得いきません。ですが、私は自分のやってることがけっしてわいせつだと思っていないので、戦うつもりです。

 ――北原さんはわいせつ性を認めて、略式命令で終わらせるようだが、わいせつ性について北原さんと議論したようなことは?

 議論は一切ありません。北原さんがそのように判断したことは、北原さんのことですので私には分かりません。

 ――あらためて、作品がわいせつではないと主張する理由は?
 はい、私の体ですので、私の体はわいせつではない。単純にそう思います。

記者会見するろくでなし子さん(中央)、弁護士の山口貴士氏(左)、南和行氏(右)=12月26日夜、都内
記者会見するろくでなし子さん(中央)、弁護士の山口貴士氏(左)、南和行氏(右)=12月26日夜、都内

「なぜわいせつなのか、教えて頂きたい」

 ――今回の取り調べの様子は。
 事実関係について、同じことを何度も聞かれました。事実関係については、いままで私がブログやフェースブックで宣伝してきたことなので、証拠を隠滅することはないのに、争っていないのに、同じようなことを何度も何度も質問されました。

 ――検察は、陳列した作品のうち3点がわいせつにあたるとして起訴してますが、どんな作品ですか?

 「デコマン」という、女性器をかたどった作品です。絵の具をぬったり、模様をつけたり、ラインストーンを張ったりしたものです。まず、真っ青なブルーで、それに装飾してる感じのもの。もう一つはヒョウ柄にぬったもの、それからお菓子やチョコレートに模して、スイーツみたいにしたものです。

 ――置物のようなもの?

 そうですね。その3点に限らずデコレーションしてるものはデコマンと・・・。

 ――その3点はどういった飾りがされているのでしょうか?

 私もそれがなぜわいせつなのか、教えて頂きたいくらいです。

 ――からだの一部を直接表現しているようなことは?
 まったくそんなことはないです。

「言ってないことを書かれないよう、必死であらがいました」

 ――今回、逮捕されてから20日間以上、拘束されたが、なにをしてどう考えましたか。

 今回、逮捕も二回目なので、前回ほど不安はなくて、怒りのほうが強くて。わいせつだと思ってないので、闘い続けるつもりです。

 取り調べが長くてつらかったんですけど、意思を貫いてきました。差し入れに本をたくさん頂いたんですけど、獄中に人生の3分の2以上いた人の伝記をもらって、励みになってました。

 (前回の)湾岸署にいたときは自由だったんですけど、今回は、部屋にボールペンを1本しか入れられないので、5人いるので喧嘩になるんですよ。手紙を書けるのが10~15時で。午前中も午後も取り調べが長くて、私はすきまの時間に必死に書いてました。読んだ本の感想とか、刑事さんに何を聞かれたか忘れないように。

 あと、新聞を回されるんですが、ボールペンを使ってるときは新聞読めないんですね。

 ――誰か1人でもいると?
そうなんです。「私読みたいんですけど」みたいな人がいると、ボールペンを入れづらかったです。

保釈後の会見で、作品を手にポーズをする漫画家のろくでなし子さん=日夜、都内の弁護士事務所、竹谷俊之撮影
保釈後の会見で、作品を手にポーズをする漫画家のろくでなし子さん=日夜、都内の弁護士事務所、竹谷俊之撮影

「法廷マンガ」描きたい

 ――起訴されたら、それをネタにマンガかけるとかおっしゃってて、警察や検察には挑発的に聞こえたかも知れませんが、大丈夫だったでしょうか?

 かわらず、作品は作り続けていきたいです。

 ――いますぐに?

 せっかくなので、自分が被告人という立場で、「法廷マンガ」を描きたいと思っています。

 今回は勾留がとても長くて、毎日のように警察が来たのでつらかったです。人間の記憶はあいまいですから、ほんのちょっとでも違うことを言うと、昨日言ったことと違うよね、みたない感じでちくちく攻められて。言ってないことを書かれないよう、必死であらがうのが大変でした。

 ―言ってないことを書かれるというのは?

 フォーマットを勝手につくってもってくるんですね。私が言ったかのように。それを当たり前のように印刷されるので、こんなことは言ってませんと。自分の言葉に直したり、8割くらいそれでした。

 ――いま、白い帽子とピンクのワンピースですが、その服装の理由は?

 とくにないんですけど・・・明るい格好をしたくて。部屋の中では、ずーっとねずみ色のトレーナーだったので(笑)。

記者会見で笑顔を見せる漫画家のろくでなし子さん
記者会見で笑顔を見せる漫画家のろくでなし子さん

記者会見に同席した山口貴士弁護士のコメント

 今後、事件は法廷の場に移るが、外形的な事実関係はおそらくあらそうことはないと思う。争点はもっぱら法律的なものになる。

 一つは、(わいせつな文書や図画、電磁的記録の頒布に関する罪を定めた)刑法175条が現在においても合憲と言えるか。古典的な論点だが、裁判で強く追及していく。

 もう一つは、今回起訴された、3Dデータや模型が刑法175条の「わいせつ」にあたるのかどうか。わいせつは社会通念に従ってきまるが、社会通念の中身を考えるうえで、この手のボディアート、性表現、芸術における性器の取り扱いなどについて、実態はなんなのか。それらの社会通念に照らして、ろくでなし子さんの作品がわいせつと言えるかどうか、問うていく。そのために、学者や有識者の証言や意見書もご協力を求めていく。

 ろくでなし子さんを捕まえるなら、誰々も捕まえるべきだ、という主張をすると、警察は「じゃあ、そっちも捕まえようか」という方向にいくのは目に見えてるので、そういう議論をするつもりはありません。

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