「壁が笑った」大分の鏝絵をめぐる旅 現存しない鏝絵も……
(写真左)外法の梯子剃り(げほうのはしごそり)、旧安心院町。(写真右)宝船の恵比寿、旧山香町。
鏝絵が描かれた土蔵、旧安心院町。土蔵の切妻屋根の下で、恵比寿様が算盤と蔵入帳を抱えている。下方には丸い家紋の抱茗荷が見える。
牛若丸と弁慶、玖珠町(くすまち)。京都・五条大橋での牛若丸と弁慶の出会いの場面をのびのびと描く。
猿の三番叟(さんばそう)、日出町。馬屋に描かれていて、馬の守護神ともいわれる猿が、天下太平・五穀豊穣を願い舞っている。
恵比寿天、日出町。頭に烏帽子、手には鯛。荒海を渡っている姿は確かに恵比寿である。
日露戦争、旧安心院町。日露戦争での激戦地・203高地陥落を描いたものとみられる。背景に富士に日の丸、鷹が描かれている。
大黒天、日出町。大黒天は、台所の神、転じて財産の守護神ともなった。恵比寿天とともに福徳をもたらす家の神である。
南極老人、旧安心院町。鶴にのった七福神の一人、南極老人(寿老人)が、青年風の姿で描かれている。
踊る大黒天、旧安心院町。打ち手の小槌を振り踊る大黒様。鏝絵を広めた伊豆の長八の洗練された作風とは対照的に、大分の鏝絵にはユーモラスな雰囲気が漂う。
鶴、旧安心院町。むら雲に隠れる月とともに。不老長寿の象徴である鶴は、大分の鏝絵でも人気のある題材だった。
波兎、旧安心院町。因幡(いなば)の白兎を描いている。波は水に通じ、火除け。兎は山の使いで、子孫繁栄を後押しする。
月に虎、旧安心院町。魔除けのために描かれた虎だが、あまり怖くない。
高砂の翁媼、山香町。婚礼の定番として欠かせない謡曲「高砂」の一場面を描いている。
龍、安心院町。貴重な昭和生まれの鏝絵である。
竹に虎、山香町。六角形は蘇民将来信信仰や陰陽道の邪気除けに通じる。
小槌と蔵鍵、安心院町。いかにも土蔵に相応しい。