連載
#17 未来空想新聞
リアルとバーチャルの境界は消える? どちらの良さも認め合う時代に
人気バーチャルライバーが語る仮想空間が日常となる未来
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バーチャルライバーとして人気を誇る月ノ美兎さんに「仮想空間が日常となる未来」について伺いました。今後さらにバーチャル空間が世の中に浸透するようになると、人間関係や価値観はどのように変化するのでしょうか。
月ノ美兎さんは、バーチャル世界の女子高生としてYouTubeのライブ配信を中心に活動するバーチャルライバーです。登録者数は85万人以上。清楚な見た目に反した視聴者の予想の斜め上を行く企画やサブカルチャーの豊富な知識を活かしたトークでバーチャルライバーの中でも異彩を放つ存在であり続けてきました。
月ノさんは「アバターを身にまとうことやバーチャルライバーとして活動することは、今後特別なことではなくなる」と考えています。
「すでにYouTubeで配信をされているお子さんも多いですが、自分のなりたい姿を自由に選べるアバターになることは、今よりずっと気軽なものになるでしょうし、自身のプライバシーを守ることも出来るようになるでしょう。中高年の方たちの中にも、バーチャルライバーの活動が新たな生きがいになるような人もでてくるかもしれません。また最近では、身体はリアルで顔だけアバターといったスタイルの配信者もいて、今後リアルとバーチャルの間でバーチャルライバーのあり方もどんどん多様化が進んでいくと思います。その広がりの勢いは自分が埋もれるかもしれないという、ちょっと怖さを感じるくらいです」
「一方でバーチャルライバーの活動は、ファンの方が創ってくれたイラストや楽曲などのデジタルコンテンツにすぐに触れられ、配信の中に取り込んだりできる相互関係も魅力ですね。技術の進化によって配信者と視聴者が一緒にいる仮想空間でライブや企画を行ったりするのも当たり前になっていくのではないでしょうか。でも、どんなに技術が進化した未来でも視聴者との共感性を大事にしたいですね。一番大切なことは、見た人が笑えることだと思っているので」
バーチャル世界での人間関係はどうなっていくのでしょうか。
「人って相手によって見せる顔が違うんです。例えば友だちや上司に社交的に振る舞っている自分と家族といるときの自分は違いますよね。それと同じでバーチャルの世界でリアルとは違う振る舞いをしても、それも1つの自分。リアルの自分とアバターを身にまとった自分。結局どちらも自分であることに変わりはありません。そう考えてみるとリアルでもバーチャルでも、人と人との関係である以上その本質は大きく変わらないのかもしれません」
月ノさんは、リアルでもバーチャルでも変化があるとしたら「価値観」のほうではないかと推測します。
「昔は、インターネットの中の顔の見えない大人は信用しない方が良いという風潮がありましたが、リアルなら一言二言しか会話をしていない大人を信用していいのかというと、それも違いますよね。人の生活がリアルよりバーチャル(オンライン)の比重が大きくなればなるほどリアルだから、バーチャルだからという話はなくなっていくでしょうし、リアルとバーチャルの境界がなくなり地続きなものだという価値観が当たり前になっていくのではないでしょうか」
最後に月ノさんは、「リアルかバーチャルのどちらかに偏るのではなく、どちらの良さも認め合える未来になって欲しい」と語りました。
「私(わたくし)は、バーチャルライバーという今はまだ特殊な経験をしていますが、誰もがやっている日常、普通の経験も大切にしています。そういった経験から共感性が身について、面白いことができると思うんです。振り返ってみるとリアルとバーチャルどちらの良さもわかっているからこその今だなと。人生はビンゴゲームに似ていて、リアルでもバーチャルでもいろいろな経験をして穴をあけていく。そんな中でビンゴの列が揃(そろ)うように思いがけず新しい自分を見つけられるのではないでしょうか」