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三池監督初のラブストーリーに世界が熱狂する理由

喜怒哀楽がジェットコースターのように駆け巡る!常軌を逸したエンターテインメント

PR by 東映

ⓒ2020「初恋」製作委員会
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目次

 三池崇史監督が窪田正孝さんを主演に撮った自身初の恋愛映画『初恋』。世界で30以上の映画祭に招待されており、世界中の観客を沸かせたほか、既に全米で先行公開されている。そんな本作が満を持して本日日本公開。本作の魅力となぜこれほどまでに三池監督作品は海外で高く評価されているのかを、映画評論家・町山智浩さんに聞いた。
ⓒ2020「初恋」製作委員会
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ぶっ飛んだ展開に三池節炸裂! この面白さはやみつきになりそう

ⓒ2020「初恋」製作委員会
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映画評論家
町山 智浩さん
まちやま・ともひろ/1962年東京都生まれ。早稲田大学法学部卒業。宝島社社員を経て洋泉社にて『映画秘宝』を創刊。現在、米カリフォルニア州バークレーに在住。BS朝日「町山智浩のアメリカの今を知るTV」(毎週月曜・夜9時)、TBSラジオ「たまむすび」などに出演。『映画の見方がわかる本』『トラウマ恋愛映画入門』『最も危険なアメリカ映画』『アメリカ炎上通信 言霊USA XXL』など著書多数。

世界がエンタメの最高峰と 絶賛する『初恋』!

 映画『初恋』は既に世界中を熱く沸かせています。カンヌ、トロント、オースティンファンタスティック、サン・セバスティアン、マカオ、ロッテルダムなど世界で30以上の国際映画祭に招待され上映。その面白さは瞬く間に伝播し、全米で先行公開されました。また、英米の映画批評の賛否を総括するサイト「ロッテントマト」でも97%が称賛しています。

 さらに「圧倒的に面白い」(ワシントン・ポスト)、「すべてのショットが発明的!実に独特な発想で撮っている」(ニューヨーク・タイムズ)、「映画づくりの面白さにあふれている」(ロサンゼルス・タイムズ)、「ブッ飛んでる!」(バラエティ)と世界的な一流紙がこぞって絶賛。ここまで日本の作品が褒められることはめったにありません。

 いやあ、これが本当に面白い。いかにも三池崇史監督らしい〝デタラメさ〞が炸裂。世界が「最高に楽しいエンターテインメント」と賞賛するのも当然です。

赤塚不二夫の漫画に 通じるハチャメチャ感

ⓒ2020「初恋」製作委員会
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 本作は窪田正孝が演じるプロボクサー・レオが、ヤクザから逃げる少女・モニカ(小西桜子)を助けようとして、新宿歌舞伎町を舞台にした抗争に巻き込まれていくというシンプルな物語。しかしそれが見事にハチャメチャで、お祭り騒ぎのようににぎやかな作品に仕上がっています。
 
 三池監督の作品って、赤塚不二夫の漫画っぽいんです。主人公の周りにすごく変なキャラがたくさん出てきて、面白い展開を繰り広げていくところがとても似ているんですね。そういう意味でいうと今回〝変なキャラ〞としてひときわ輝いていたのがベッキーと染谷将太。ヤクザの女を演じたベッキーは、裸足で包丁を持って歌舞伎町を走り回ったり、窓から飛び出したり。まるでゾンビのようで異様なすごみすら感じるほど本気ではじけていました。ヤクザの染谷は刑事と通じる策士なのですが、彼には珍しくクズでどこかマヌケな役。ことごとくドジを踏んで失敗し、やたら死体を増やしてしまいます。刑事役の大森南朋や、昭和なヤクザ役の内野聖陽も強烈なキャラを見事に演じていて良かったです。 

自由で何でもアリが 三池作品の魅力

ⓒ2020「初恋」製作委員会
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 三池監督が最初に世界で評価された作品は『オーディション』。人体破壊を描いたホラーで衝撃的でした。それ以前に『極道戦国志不動』という映画があるのですが、クエンティン・タランティーノ監督はこれを観て『キル・ビル』を撮ったことでも有名です。僕が三池監督の手腕のすごさを発見したのも実はこの『極道戦国志 不動』でした。生首で子どもがサッカーをするなど残酷なシーンの数々で、映倫の人が怒り狂った批評を書いていたのを覚えています。

 そして『DEAD OR ALIVE』は、ヤクザと刑事が戦って最後にはとうとう地球を破壊するというトンデモない話。『殺し屋1』は冒頭から鮮烈なシーンの連続だったのですが、一番驚いたのはエンドロールのクレジット、1行ですべて書かれていて全く読めない(笑)。常識にとらわれず、自由で何でもアリにしてしまうのが三池監督なんです。

 今回の『初恋』はそんな三池監督の魅力をすべて詰め込んだ集大成にして新境地でもある、まさに真骨頂とも言える作品。『初恋』と一見さわやかなタイトルですが、コメディー、アクション、ヤクザ、ホラー、ヒューマンドラマにラブストーリーと様々なジャンルがてんこ盛り。しかも、本作には多くの名作映画の要素がたくさん入り交じっています。例えば染谷が演じたヤクザには、コーエン兄弟の『ファーゴ』に登場するダメなチンピラをかぶせ、それ自体をギャグにしていると思います。また、乱闘シーンにはデンゼル・ワシントン主演の『イコライザー』のクライマックスをほうふつとさせるものがありました。

黄金の東映らしさが爆発! 今それを世界が求めている

ⓒ2020「初恋」製作委員会
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 そもそも純粋な主人公2人が、あらゆるものから逃げていくというのは東映の伝統的なパターン。僕は本作を観ながら、1976年の深作欣二監督作『暴走パニック大激突』を思い出しました。そういう意味で『初恋』は非常に東映らしさが出ている映画だと思います。そして今、伝統的な東映の味を世界が求めているわけです。

 ただやみくもにいろんな要素を盛り込んだだけのバイオレンスなエンタメではありません。どこか浮世離れした印象ですが、社会の底辺で生きる人のリアルな心のひだをちゃんと描いている。随所で人間への優しいまなざし、ユーモアも感じさせてくれます。だから暗い印象が全くありません。それどころか、むしろカラッとしていて爽快感すらある。これは間違いなく監督自身がノリにノって撮っています。ぜひスクリーンで三池ワールドを体感してください。(談) 
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STORY
 舞台は新宿歌舞伎町。余命幾ばくもないと知らされた天涯孤独のプロボクサー・葛城レオ(窪田正孝)が、逃げる少女・モニカ(小西桜子)を助けるために悪徳刑事・大伴(大森南朋)をKOしたことから事態は急転。追われる身となったレオは、ヤクザやチャイニーズマフィア、警察組織が入り乱れる、欲望渦巻く“ブツ”を巡った争いに巻き込まれていく。逃げ惑ううちに絆を深めるレオとモニカ。果たして2人は夜明けまで逃げ切り、生き残れるのか!?
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