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エンタメ

いつ、何が売れるかわからない面白さ

提供:講談社

目次

マダニャイ(朝日新聞オリジナルキャラクター)
マダニャイ(朝日新聞オリジナルキャラクター)
紀伊国屋書店新宿本店東二町順也さん
紀伊国屋書店新宿本店
東二町順也さん

受賞のニュース当日は新宿本店に人だかりも

 出版、書店のトピックスとして今年の大きな話題は、やはりカズオ・イシグロさんのノーベル文学賞受賞でしょう。世界的に最も注目される賞で、日本出身の作家が受賞したこともあり、受賞直後は当店にも人だかりができたほどでした。カズオ・イシグロさんは2015年に弊社でサイン会をしたこともあり、個人的にも思い出に残っています。
 カズオ・イシグロさんの作品の翻訳本を出版しているのは、早川書房です。今回のノーベル賞では、文学賞にとどまらず、物理学賞と経済学賞でも、受賞者への取材を本にした『重力波は歌う』や受賞者の著書『行動経済学の逆襲』を出版していたことから、早川書房のノーベル賞3冠を称賛する声も多く聞かれました。どんなタイミングで何がヒットするのか、予想がつかないのも、予想を裏切られたりするのも楽しみの一つかもしれません。

一定のファンがいる歴史物でも謎のヒット

 「2017年年間ベストセラー」の総合で8位、「新書・ノンフィクション」部門では2位と大健闘の『応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱』(中央公論新社)は、予想を良い意味で裏切るヒットでした。歴史物には一定のファン層があり、特に戦国や幕末は大河ドラマに描かれる機会も多いため、その時代や人物を描いた本は話題にもなりやすく、売れ筋になることを期待します。しかし「応仁の乱」は「聞いたことはあるけど、いつの時代だっけ?」「歴史で習ったけど、誰が関わったんだっけ?」と思う人が多いのではないでしょうか。そのモヤモヤを逆手に取ったのが、「地味すぎる大乱」「スター不在」などのキャッチコピーだったのかもしれません。マイナスの売り文句は年間ベストセラーの総合5位になった『ざんねんないきもの事典』(高橋書店)に通じるものがあるのではないかと思ってしまいます。
 
 新書・ノンフィクション部門は『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(講談社)や『孤独のすすめ 人生後半の生き方』(中央公論新社)など現実を突きつけるような書目が目立ちました。歴史に思いをはせるもよし、将来について真剣に考えるもよし、楽しい物語の世界に遊ぶもよし、書店にあるたくさんの問題と答えを見つけに来ていただければと思います。(談)

『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』著・河合雅司(講談社)

日本が人口減少社会にあることは「常識」となっている。だが、その実態を正確に知る人はどのくらいいるだろうか? 本書は大学倒産、介護離職増大、輸血用血液不足、空き家激増、火葬場不足――人口減少という「静かなる有事」がどう進むかをリアルに暴く。これからの日本社会・日本経済を真摯に考えるうえでの必読書!

これからの日本社会・日本経済を真摯に考えるうえでの必読書!

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