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駅前に〝謎〟の塔…壊れても撤去しない理由 表示乱れても亀は健在
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東京都江東区の亀戸駅前に、故障したままの「塔」があります。LEDの表示に乱れはあるものの、「亀」のモニュメントは健在。そもそも、この塔はなんのために誰が設置したのでしょうか?塔の設置理由を追いました。
この塔、実は、近くの川の現在の水位をLEDライトなどで表示する「水位表示塔」というもの。
日本ではかつて多くの水害が起こり、その教訓を後世に残そうと各地で水位表示塔が建てられました。最近、老朽化や情報伝達の多様化により、全国各地で撤去される事例が相次いでいます。
そんな中でも、故障してもなお「防災のシンボル」であり続けている塔のひとつが、東京都江東区の亀戸駅前にある荒川水位表示モニュメントです。
亀戸駅前に設置された塔は、亀のオブジェとLEDの表示で荒川の現在の水位を表示します。また、過去の洪水の水位が刻まれています。
しかし、昨年秋に塔を訪ねたところ、水位の表示が乱れているように見えました。
荒川下流河川事務所によると、現在、亀のオブジェは動作していますが、老朽化による設備の故障で、LEDの水位表示が正常に稼働していません。
また、塔には防災情報や行政に関する情報を表示できる機能もありますが、文字表示もできなくなっています。水位表示は2021年から、文字表示は2022年から故障しています。「部品の修理ではなく設備の全面更新が必要であり、復旧の目途は立っていません」
江東区は隅田川と荒川に囲まれています。江戸川区や墨田区のエリアも含め、「江東三角地帯」と呼ばれています。
江東三角地帯は、地面が満潮時の海の水面より低い土地が多く、水害リスクの高い「ゼロメートル地帯」が広がっています。過去にはたびたび水害が発生してきました。
1949年のキティ台風では、江東区の各地で堤防が決壊し、一帯が泥の海になりました。区の資料によると、3万戸以上が被害を受けたといいます。1958年の台風11号では、亀戸の中川で堤防が30メートルにわたって決壊し、一帯が平均1メートルの浸水に見舞われました。
その後、災害に強いまちづくりに向けて水門や堤防、内部河川の整備などが進みました。昭和40年代以降は洪水氾濫(はんらん)や高潮氾濫は起きていません。ただ、ゲリラ豪雨や台風の巨大化のリスクが顕在化しているいま、ゼロメートル地帯が他の地域と比べて水害リスクが高いことは変わりません。モニュメントは、ゼロメートル地帯に住む地域住民の危機意識の醸成を目的に、1997年に設置されました。
モニュメントの高さは堤防と同じ高さであり、モニュメントに刻まれた過去の災害時の水位などから、河川の水位よりも低い場所にいることを意識できるようにしています。塔には、地域に甚大な被害をもたらしたキティ台風、台風11号に加え、大正6年の高潮、1979年の台風20号のときの水位が示されています。
故障中ではありますが、塔の存在自体が防災に関する危機意識を高める存在であることに変わりはありません。事務所の担当者は、「地域住民の危機意識の醸成に効果があると考えております」と語りました。
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