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#39 #令和の専業主婦
都民の家事育児時間、男女差縮まるも…「家庭全体でかける時間減少」
識者「感覚的に短く見積もられている可能性も」
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#39 #令和の専業主婦
識者「感覚的に短く見積もられている可能性も」
今年4回目となる、男性の家事育児への参加状況を調べた東京都の調査では、男女間の家事育児時間の差が前回調査に比べて67分縮小しました。女性の家事育児時間は、2割ほど減り、夫婦間における家事育児分担に満足する割合は増加しました。
東京都は、「家事育児関連時間の男女差を2時間半以下とする」などした都の政策目標の達成状況を把握するため、2019年度から男性の家事育児への参加状況を隔年で調査しています。
前回の調査は2023年度でしたが、一週間平均の家事育児関連の時間は男性で3時間57分、女性で9時間23分と、5時間26分の差がありました。
一方、今回調査では、男性は3時間29分、女性で7時間48分と4時間19分の開きに。前回調査と比べると、男女差は67分縮小しました。
男女差が縮まった結果ではありますが、男性の家事育児関連時間が増えた結果、差が縮まったわけではなく、夫婦とも家事育児に費やす時間が減っているという結果となっています。
男性の育児支援をしている一般社団法人Daddy Support協会理事の中西信介さんは、「男性は働き方が変わっていない中で、可処分時間のうちの育児の時間をこれ以上増やしようがないという面もあるのではないか」と推察します。
調査では「夫婦間における家事育児分担に満足しているか」という質問も。
男性は、前回78.3%から今回80.8%に微増。それに比べて、女性は前回48%から12.1ポイント増加して60.1%となりました。
労働政策研究・研修機構(JILPT)副統括研究員の池田心豪さんは結果を受け、「男性が急に家事育児を多く担うようになったというよりは、正社員や管理職として働く女性が増え、家庭全体でかける家事育児の時間が減少したことのほうが大きな変化といえる」とコメント。
今回の調査では、女性の正規雇用比率が53.1%(前回調査から10.1ポイント増)、役職・管理職比率11.5%(前回調査から6.6ポイント増)という状況も見えています。一方で、非正規雇用比率は17.7%(前回から2.6ポイント減)、無職は23.4%(前回から4.3ポイント減)でした。
「生活を支えるサービスが充実している東京だからこそ、家庭全体での家事育児時間が減ってきているという面がある」と話します。
Respect each other代表取締役で、子育て問題に詳しい天野妙さんも、「夫婦で分担する家事や育児の総量が、以前よりも減少傾向にある」。「長時間にわたって一人で家事・育児を担うワンオペのケースが少なくなっている結果、感覚的に短く見積もられている可能性もある」と指摘します。
また、男性の育児休業の取得率は、第1子が5、6歳の男性は35.1%、0歳の男性は64.9%と、第1子の年齢が低いほど男性の育児休業の取得率が高くなっていることもわかりました。
育休取得期間も長くなり、0歳は1カ月以上取得が32.6%、5、6歳は11.8%となりました。
一方で、Daddy Support協会理事の中西信介さんは「育休復帰後の働き方もセットで、夫婦で話すことが大切」と話します。
育休を取得し職場に戻った男性が、職場から育休前の働き方を求められたり、本人も以前の働き方をしようとがんばろうとすることもあるとした上で、「そうすると、家事育児の偏りが出る。女性だけが働き方を変え、挑戦したい仕事ができなくなるリスクもある」と指摘。
育休取得前から、夫婦でお互いの働き方についてコミュニケーションをとる必要性を訴えます。
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