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傘の「横持ち」ぶつかったら…衝撃は〝ピアノ1台〟 都が実験すると

「傘の先端がみぞおちに」「傘の先が目に」

傘の横持ちの例
傘の横持ちの例 出典: 東京都提供

目次

雨の日に駅などで見かける、たたんだ傘を「横持ち」して、傘のとがった先を後ろに向けて歩いている人――。その危険性は以前からSNSなどでも指摘されていましたが、もし横持ちの傘が当たったときの衝撃は、ピアノ1台分になることもあるそうです。

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最も多かったのは「持ち手の先を持つ」

東京都では今年、「傘の安全性に関する調査」を公表。都内在住の2000人に、傘の持ち方や傘に関する「ヒヤリハット」の経験をインターネットで聞きました。

傘の持ち方についての質問では、イラストを示しながら「傘を横にして持つ」「傘を腕にかける」「傘の持ち手の屈曲した先のほうを持つ」など10の選択肢を示し、経験したことのある傘の持ち方を聞きました。

最も多かったのは「傘の持ち手の屈曲した先のほうを持つ」で50.4%(男性49.8%、女性51.0%)、次に多かったのは「傘を腕にかける(腕の外側から)」で50.2%(男性39.7%、女性60.7%)でした。

一方、SNSでもよく危険性を指摘する声の上がる「傘を横にして持つ」と答えたのは6.0%(男性で9.2%、女性で2.7%)でした。

推奨される傘の持ち方
推奨される傘の持ち方 出典: 東京都提供

ヒヤリハット被害の経験、35%

傘にまつわる「ヒヤリハット」の経験についても尋ねました。他人からの被害で経験がある人は35%、自分が加害する側となったの経験がある人は6.6%でした。

自分が加害側となった場合の持ち方別にみると、最も多かったのは「傘を横にして持つ」の22.7%、次に多かったのは、「傘を横にしてかばんなどと一緒に持つ」で 22.5%でした。

他人の傘で受けた被害やヒヤリハットの具体例に寄せられたのは、「階段を登っているときに、横持ちしている人の傘の先端がみぞおちに刺さった」「上りエスカレーターで前の人が持っている傘の先が目に入りそうになった」といったケースがありました。これらはいずれも、傘を縦にまっすぐに持っていたら発生しないケースです。

横持ちの傘がマネキンにぶつかった際の様子
横持ちの傘がマネキンにぶつかった際の様子 出典:東京都の啓発動画より画面キャプチャ

「長さを意識」「石突き真下に」

調査とあわせて東京都では、横持ちした傘がぶつかったときの衝撃力を測定する実験を実施しました。

振り子装置に傘を横向きに固定し、歩行時の腕振りのように、45度の角度から傘を振り下ろします。すると、衝撃力は最大240kgf(重量キログラム、質量1kg の物体が標準重力加速度のもとで受ける重力の大きさ)となりました。これは、ピアノ約1台分が衝突したときの力に値するそう。

傘の先端にその力が集中することで、もし体に当たれば、都の担当者は「失明や骨折などの重篤な怪我を負う可能性がある」としています。

事故を防ぐポイントとして、「傘の長さを意識すること」と「石突き(持ち手と逆の傘の先端)が真下に向くように持つ」の2点を呼びかけています。

傘を買うときに一般的に表示されている「傘の長さ」は、持ち手などが含まれないことが多いため、表示の長さだと想定して横向きで持った場合、自身が考えているよりも後ろにいる人に傘の先端が近づいている可能性があります。

傘を横向きに持つことは、都の実験で実証されたとおり、とても危険な行為です。都が推奨するのは、「傘の持ち手の端を持つ」こと。「手への負担も少ないうえ、傘から落ちる水滴が周囲に広がらず、石突きが階段などの段差に当たりにくくなる」としています。

横持ちした傘がぶつかったときの衝撃力を測定する実験の様子。厚さ1.6ミリのガラスが割れた。
横持ちした傘がぶつかったときの衝撃力を測定する実験の様子。厚さ1.6ミリのガラスが割れた。 出典: 東京都提供

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