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#49 #ふしぎなたてもの

青森の「あの三角」“空を加工で透過しちゃった”ような建物の正体は

青森県の「あの三角」
青森県の「あの三角」 出典: 青森県観光国際交流機構

目次

駅前に並ぶビルの向こうに見えているはずの空が三角形に欠けている――。まるで空を画像加工で欠けさせてしまったような風景が青森にあることをご存じでしたか?唐突に現れる三角形の巨大な建物の正体は何なのか、取材しました。(朝日新聞デジタル企画報道部・高室杏子)

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三角形の理由は

三角形の建物の正体は、青森県観光物産館「アスパム」 。1986年からある建物で、青森市建築指導課によると、高さは76mで市内では一番高い建物だそうです。青森駅にほど近い南北に延びた「八甲通り」の北の端に建っており、その姿は約1km先の県庁付近の地上からでも見ることができます。

アスパムを運営する県観光国際交流機構によると、アスパムの語源は、青森県観光物産館を英語にしたときの、Aomori(青森)、Sightseeing(観光)、Products(物産)、Mansion(館)の頭文字からだそうです。

青森県観光物産館「アスパム」=2022年、朝日新聞社
青森県観光物産館「アスパム」=2022年、朝日新聞社

ところで、なぜ、三角の建物をしているのでしょうか。
一般的に、雪が深い地域では、屋根の傾きを急にして雪が落ちるようにしているところもあるといいます。

しかし、担当者によると、今のアスパムのデザインは公募で決めた もので、採用の理由は「三角が目を引いたからだそうです」とのこと。後付けで「〝青森のA〟を模している」などと言われるようになったといいます。

担当者は「人目をひく形をしていることもあって、『何の建物か気になって来た』というお客さんも多い。2023年度は127万人が来場しました」と話します。

館内では、青森のお土産物が売られており、県産品を味わえるレストランや、名物の「津軽こぎん刺し」や「ねぶた」の映像を楽しめるシアター、そして、津軽海峡も陸側に広がる街も360度見渡せる展望台があります。

海からの目印にも

ランドマークになっているアスパム。実は、建物から真北の海上に、もう一つ「アスパム」と呼ばれる三角の建造物があります。

アスパム灯台=青森港ウォーターフロント活性化協議会提供
アスパム灯台=青森港ウォーターフロント活性化協議会提供

かつては青函連絡船も出入りしていた青森港があることを知らせる灯台です。国鉄の廃止とともに、「津軽海峡・冬景色」でも歌われた青函連絡船はなくなりましたが、青森港は今も、津軽海峡フェリーなどが発着する本州と北海道の間の玄関口です。

青森海上保安部によると、灯台は「青森港北防波堤西灯台」で通称「アスパム灯台」と呼ばれています。八甲田山、アスパムの建物、青森ベイブリッジをモチーフにして現灯台のデザインとしてデザインされ、2004年に点灯しました。
  
「アスパム灯台」という通称については、「近くにあるアスパムにも似せたものであり、自然発生的に、呼ばれるようになったのではないか」と担当者は話しています。

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