連載
#35 宇宙天文トリビア
5日の西の空、すばるが月に隠される「すばる食」 今年はチャンス4回

清少納言の枕草子でも「星はすばる…」でおなじみの「すばる」。3月5日夜、そのすばるが月に隠される「すばる食(プレアデス星団食)」が起こります。まだまだ寒い季節ですが、夜空を見上げてみませんか。
3月5日午後10時ごろから、「すばる(プレアデス星団)」が月に隠される「すばる食」が起こります。
国立天文台によると、午後10時ごろから西の空で、月の暗い部分の縁(月の光っていない部分)から、すばるが隠されていく様子がわかるといいます。
すばる食が起こり始めるのは高度20度くらいの位置です。高度を測るときは、腕をまっすぐ伸ばして手で握りこぶしをつくると、たての握りこぶし1つ分が10度となるので、地平線から握りこぶし2つ分で20度となります。
食が進むにつれて、すばると月の高度は下がっていきます。低い位置でも空が見える、開けた場所を選ぶといいでしょう。
観察時は月が近くにあってすばるが見えづらくなるため、双眼鏡があれば、より観察しやすいです。
国立天文台は「この日、東京では午後11時56分に月の入りとなるため、すばるが月から完全に出てくる前に月が沈んでしまいます。しかし、月が沈むぎりぎりまで追いかけてみるのも面白いかもしれません」と呼びかけています。
そもそも「すばる」とは、おうし座のプレアデス星団のことです。
清少納が書いた「枕草子」の中では、「星は、昴。彦星。ゆふづつ。よばひ星、すこしをかし(星といえば、すばる。彦星。宵の明星。流れ星は、すこし趣がある)」と紹介されていました。
肉眼では6つほど星が見えるので、江戸時代には「むつらぼし(六連星)」と呼ばれていたこともあったようです。双眼鏡では60〜70個もの青白い恒星の集まりに見えます。
実は2025年は、今回の3月5日のほかに、8月16〜17日、11月6〜7日、12月31日の夜間にも「すばる食」が観察できます。今回は天気が悪かったなどの理由で観察ができなかった人も、まだチャンスはありますので楽しみに待ちましょう。
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