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休館したらマンボウが体調不良…なぜ?対応策に「発想がすごい」話題
水族館のマンボウが、休館になったとたん体調を崩してしまいました。原因が分からず、スタッフたちがさまざまな対応をしていましたが、SNSで話題になった驚きの対処法とは?取材しました。
話題になったのは、山口県下関市の市立しものせき水族館「海響館」のSNS投稿です。投稿には、「休館中のマンボウの様子をお届けします!!!マンボウの様子が気になる方も多いのではないでしょうか。実は・・・!?」と書かれています。
海響館は昨年12月から改修工事のために休館中。その間も公式SNSで、生き物や館内の様子を随時、発信しています。
1月上旬に投稿されたのは、マンボウについての話でした。実は、休館直後に少し体調を崩していたというのです。
\\休館中のマンボウの様子をお届けします!!!//
— しものせき水族館「海響館」公式 (@shimonoseki_aq) January 3, 2025
マンボウの様子が気になる方も多いのではないでしょうか。
実は・・・!?
(コメントに続く) pic.twitter.com/SXEtgk304M
投稿では「原因が分からず様々な対応をしていましたが、あるスタッフから『来館者が居なくなって寂しいのでは?』との意見が。『そんなわけない!』と99%思っていましたが、一縷の望みをかけてスタッフの制服を貼り付けてみました。すると…翌日には調子が改善!」と続きます。
調子を崩していたマンボウのために、スタッフの制服を水槽に貼ったところ体調が回復したというのです。
この投稿には、「元気になってよかった」「体調不良の理由が可愛いすぎる」「人恋しいマンボウかぁ」「マンボウ心の分かるスタッフさん有能!」「その発想すごい」などとコメントが付きました。
海響館の担当者に話を聞きました。
このマンボウは2024年2月に海響館に来たもので、性別や年は不明だそうです。
休館前までは、水槽前に立つと寄ってきて、イカとエビをすりつぶしたすり身(通称マンボウ団子)とクラゲをエサとしてしっかり食べていたそうです。
しかし12月に休館になると、工事の音や振動が水槽内に伝わる、お客さんがいなくなる、といった環境の変化が起きました。
担当者は「水槽前に人が立っても寄ってこなくなったり、水槽内に貼っている透明な保護フェンスに勢いよく突っ込んだり、エサのクラゲを食べなくなったりする変化が起こりました」と話します。
初めは消化不良ではないかと考えました。そこで、体調が悪いときにはエサを減らしていることから、マンボウ団子の量を減らしたり、体の表面に寄生虫がついていないか確認したりしたそうです。
クラゲの給餌も続けましたが食べることはなく、目に見えてわかる回復の効果はなかったといいます。
その後、魚類飼育担当が集まるミーティングでマンボウの様子が報告された後、展示スタッフから「人がいなくなって寂しいのでは」という話が出たといいます。担当者は「その時は『まさか…』というのが周囲の反応でした」と振り返ります。
そこで、服というよりも「人」を感じられるようにと、人らしく見える服とフリー素材の顔写真をテープで水槽に貼り付けてみました。
服はすぐに準備できて、ずっと設置しておけるものとして、使っていないスタッフの制服を使用しました。
「設置した翌日にはクラゲを食べるようになりました。最近は実際にスタッフが水槽の前で観察したり手を振ったりしているおかげか、徐々に調子が上がってきているように感じます」
制服は衣装ラックにもかけて設置しています。見えやすいのか、白いものを好むようで、タオルも試しに貼って、様子をみているそうです。
海響館では今まで何匹かマンボウを飼育していますが、このマンボウは、来館者を目を動かして見ている様子がある、水槽前に人が立つと近づいてくることが多い、水槽に入れたクラゲを目で見て追いかけて食べるなど、周りをよく見ている動きが多いそうです。
担当者は「これをもって、マンボウ=繊細と思い込まないようにしていただきたいです」と話すとともに、「毎日様子を見ているスタッフたちだからこそ、『来館者がいるという刺激がマンボウの体調に関係があるのではないか』と考え、こういう対応を試してみることができたと思います」といいます。
海響館は今年の夏ごろには改修工事が終わり、オープンする予定です。担当者は「その時のマンボウの様子が楽しみです」と話しています。
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