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お金と仕事

大晦日、インカムから聞こえた「裏に集合」 ホテル従業員の年越し

怒濤のホテル業界

女性がリゾートバイト先の兵庫県・城崎温泉で撮影した風景=本人提供
女性がリゾートバイト先の兵庫県・城崎温泉で撮影した風景=本人提供

目次

年越しを挟んだ6連勤で、従業員の団結力が――。働きながら、現地の観光などを楽しめることで若い世代に人気の「リゾートバイト」。リゾートバイトを通じて初めて宿泊業に携わったという女性に、年末年始を振り返ってもらいました。

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旅行が趣味…リゾートバイトのきっかけ

学生時代から旅行が趣味だったという女性は、昨年11月から今年3月にかけて、兵庫県の城崎温泉にあるホテルの食事会場のスタッフとして働きました。

元々は、保育士として働いていましたが、多忙で趣味の旅行に行けない日々。昔からの夢だった、世界各地をクルーズ船で巡るツアーに行くまでの間、リゾートバイトをすることにしたといいます。

「クルーズ船の説明会に行くと、すでにリゾートバイトを経験した人などから『よかったよ』などと感想を聞くことがあり、自宅以外の場所に拠点を置きながら働けることに魅力を感じました」と、挑戦することにしました。

女性がリゾートバイト先の兵庫県・城崎温泉で撮影した風景=本人提供
女性がリゾートバイト先の兵庫県・城崎温泉で撮影した風景=本人提供

地元の従業員に教えてもらった梅酒

選んだ場所は、自宅から車で行ける圏内にあり、かつ何度も旅行に訪れたこともある城崎温泉。

慣れた場所とはいえ、それまでは観光で行っていた場所に、初めての業種の従業員として訪れることになり「大丈夫かな」と当初は不安を抱えていたといいます。

仕事内容は、ホテルで提供する朝食と夕食のバイキングの会場スタッフ。空いた食事のトレーを下げたり、使用後のテーブルを片付け新たなお客さんを席まで誘導したりする仕事です。寝泊まりは、ホテルが用意した無料の従業員用の寮を利用しました。

従業員の多くは、地元の人。10年以上同じホテルに勤める人もいる中で、地元の情報をたくさんもらったといいます。

スーパーやお酒、食べ物――。「地元の人が行くごはん屋さんを教えてもらい、みんなで行くこともありました」

中でも印象的だったのは、地元のお酒。
ホテルでも提供されていた「香住鶴」の梅酒。ホテルの宿泊客から尋ねられたことがきっかけで、地元の従業員に聞くと、味や製造元などについて詳しく教えてくれたといいます。

「実際に自分でも飲んでみたら、ハマりました」と、リゾートバイト期間が終わったあとに再び城崎温泉に訪れた際にも購入して持ち帰ったといいます。

女性がリゾートバイト先の兵庫県・城崎温泉で撮影した風景=本人提供
女性がリゾートバイト先の兵庫県・城崎温泉で撮影した風景=本人提供

常時満室の年末年始「怒濤」

そして迎えた年末年始。女性は12月29日から今年1月3日まで、6連勤でした。

「怒濤でした」。ホテルは常時満室で、宿泊客は400人を超える日々だったといいます。
会場は、宿泊客が席を立ち、料理を取りに行くバイキング形式。そのため、会場内は従業員だけでなく、宿泊客も動くため、常に混雑していたといいます。

「食事が終わったお客さんがいたら、すぐに席を片付け、次のお客さんを通さないといけないけど、食器を運ぶ時には慎重に。と、常に神経を張り巡らせていて、頭がすごく疲れました」

そんな中でも、お客さんからのさりげない声かけに救われたと女性は話します。

「大変だね」

「オススメのメニューは?」

「明日、ここに行こうと思うんだけどどうかな?」――。

「忙しい中でも、少しだけでもコミュニケーションがあると『もうちょっとがんばろう』と思えました」

片付けの前、まずは年越し蕎麦

12月31日の午後9時。食事の時間が終わり、お客さんが退室したあと、従業員同士のやりとりに使われているインカムからこんな声が聞こえました。

「バックヤード集合」

女性が向かうと、そこにはその日勤務していた従業員分の年越し蕎麦が用意されていました。女性はその配慮に、「片付けを始める前に、まずは食べよう」とねぎらいの意図を感じたそう。

「食事提供が始まってから終わるまでの間、常に動き回っていました。みんなも『初めて止まったね』と口々に言っていました」と女性は笑います。

年越し蕎麦を食べ終わると「良いお年を」と言い合い、そこから片付けを開始。年が明ける前には帰路につけたといいます。

「ただ、早い人だと翌日午前5時から朝食準備などもあったので、数時間後には『あけましておめでとうございます』と勤務を開始していたと思います」

女性も午前8時から元旦の勤務に入り、6連勤が終わる頃には「疲れ果てていました」と、翌日の休みは寝て過ごしたといいますが、年末年始を振り返ると「思ったより寂しくなかった」と振り返ります。

「年末年始の忙しい時期にギュッと団結力が強まって、『あうん』で動けるようになっていました」

女性がリゾートバイト先の兵庫県・城崎温泉で撮影した風景=本人提供
女性がリゾートバイト先の兵庫県・城崎温泉で撮影した風景=本人提供

「年末年始全力で楽しんで」

初めて働く年末年始を経験した女性。「いつもは休んでいる側でしたが、実際にこうやって働いている人たちがいるんだなと経験できたし、現場の大変さもよくわかりました」

今年は大分・湯布院でリゾートバイトをしながら年越しを迎える予定です。

今年、年末年始が休みの人たちには「この時期しか休めない方もいると思う。全力で楽しんでください」とメッセージを送ります。


そば屋、神社、清掃工場、銭湯、介護現場……多くの人がお休みをとる年末年始も、変わらず働く人たちがいます。どんな思いで働き、どんなストーリーがあるのでしょうか。

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