ネットの話題
「邂逅」「蒼穹」読書で知らない言葉を雑記帳に 中3から続ける習慣
「大学受験でも国語が得点源に」
「中3の頃から、本を読んで出てきた知らない言葉をメモしている。今日、その雑記帳を使い終えた」。そう始まる投稿がSNSで話題になりました。積み重ねた語彙は約400。投稿した大学1年生に、雑記帳を始めたきっかけや続けてよかったことを聞きました。
10月27日~11月9日は読書週間です。
「中3の頃から、本を読んで出てきた知らない言葉をメモしている。
今日、その雑記帳を使い終えた。
次は何に書こうか、迷う時間も愛おしい。」
東京都に住む大学1年生のおひるねさん(18)は今年8月、雑記帳の画像とともにXにそう投稿しました。
「混濁(こんだく)」「邂逅(かいこう)」「蒼穹(そうきゅう)」「善政」「塗炭(とたん)の苦しみ」
雑記帳には赤い文字で難しい言葉が並び、その横にはそれぞれの意味が書かれています。
投稿には「中3から続けてるって素晴らしい!」「素敵な習慣。私もメモしようと思いました」「自分はiPhoneのメモ帳使ってます」と敬意や共感のコメントが寄せられ、8万近い「いいね」がつきました。
幼い頃から本が大好きだったというおひるねさん。
母子健康手帳には「生まれて数カ月のころから、絵本を自分でめくっては眺めて楽しんでいた」と記録されているそうで、母親からは「読み聞かせをするのが大変だったから、字を早く覚えさせたんだよ」と聞いたといいます。
「小学生のときにメキシコを旅行した際にも、プールや海では遊ばず、プールサイドで読書していた写真が残っています」
特に好きなジャンルは、ミステリーとファンタジーです。
「宮部みゆきさんは、小学校5年生の時に祖母の本棚から『あかんべえ』を借りてからずっと好きで読んでいます。ファンタジーで特に好きなのは荻原規子さんです。『空色勾玉』は小学生の頃から何度も読み返しています」
ふだんは紙の本を読んでいて、旅行の時など数冊持ち運びが大変なときは電子書籍で読むそうです。
そんなおひるねさんが雑記帳を始めたのは中学3年生のときです。小学5年生から中学1年生の途中まで海外に住んでいましたが、「帰国してから日本語の語彙力の低下を感じた」ことから、高校受験を意識して雑記帳を作ったといいます。
雑記帳に書かれているのは知らない言葉とその意味が中心。約4年、蓄えた語彙は400にのぼります。
1冊を読み切るペースはその時々で異なるものの、早くて1日、遅くて2週間ほど。本を読むなかで知らない言葉が出てくるたびにスマートフォンで調べ、スクリーンショットを取っておいたり、検索結果のタブを残しておいたりするそうです。
その後、いくつか言葉がたまったらまとめて雑記帳に記入しているといいます。「できるときにまとめて書くというスタンスでやっているのが、継続のコツだったのだと思います」と振り返ります。
雑記帳の習慣についておひるねさんは、「語彙力が育ちますし、記録を振り返ることで、当時読んでいた本を思い出すことができるという利点もあります」と話します。
高校受験は帰国子女枠だったため国語の試験はありませんでしたが、「高校では英語に並んで国語が得意科目で、大学受験でも国語は大きな得点源でした」。雑記帳だけでなく、読書が習慣となっていたことが〝得意〟につながったそうです。
「私にとって読書とは、現実逃避です」と話すおひるねさん。
「嫌なことがあっても、忙しくて疲れていても、読書をしている時間だけは全て忘れて物語に入り込めます。文庫本であればたった数百円で、様々な世界の住人になれるので、とてもコスパがいいと感じています」
現在、雑記帳は2代目になりました。最近は学業で多忙な日々を送っていますが、「毎日5ページ以上読む、というルールを設けて読書を続けています」と習慣にブレはありません。
「読書を続ける限りは、言葉の記録も続けると思います。とは言っても、読書は死ぬまで続くと思いますが」と話しています。
1/3枚