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#23 宇宙天文トリビア
尾を引く姿がSNSで話題 紫金山・アトラス彗星が見ごろ、10月中旬
「紫金山・アトラス彗星」が13日に地球に最も接近し、その後、見ごろを迎えます。空の暗い場所であれば、肉眼でかすかに見えるかもしれません。SNS上では、世界中、日本中で観測された彗星のきれいな写真が投稿され、話題になっています。
「紫金山・アトラス彗星」が発見されたのは昨年1月。当初は、とても明るい彗星となることが期待されていました。
今では、当初の予想のようには明るくならないものの、暗い空であれば肉眼でかすかに観察できそうだということです。
国立天文台によると、10月中旬ごろから彗星は夕方の西の低い空で観察できるようになります。空が明るい市街地では肉眼で見るのは難しそうですが、適切に設定したカメラで撮影することでぼんやりとした姿を写すことができそうです。
彗星は、星空の中を日々移動していくため、観察する日により位置が変わっていきます。10月下旬以降は彗星が遠ざかっていき、徐々に暗くなっていきます。
SNSでは、アマチュア天文家や写真家がこぞって撮影した彗星の写真が連日投稿され、話題になっています。
写真家のKAGAYAさん(@KAGAYA_11949)が10月1日に新潟県で撮影した1枚は山脈のシルエットの上に長い尾を引く彗星が写っています。「秋の夜明けの月と彗星。薄明のグラデーションの中、つかの間の共演でした」と投稿しています。
その前日、9月30日には長崎県で夜明けに撮影した写真も投稿されていました。
さて、こちらはだいこもんさん(@pochomskii)のSNS。10月1日に、宮城県蔵王山(標高1450m)の駐車場で撮影したといいます。
10月1日、宮城県蔵王山、標高1450mの大黒天駐車場で撮影しました。C/2023A3 紫金山・アトラス彗星です。フルサイズ135mmの画角です。#CometC2023A3 #Tsuchinshan #C2023A3 pic.twitter.com/fuEGtZJhft
— だいこもん (@pochomskii) October 3, 2024
撮影の時間は午前4時17分〜20分の3分間ほど。「撮影中は仲間たちと『肉眼では見えないねえ』と話していたんですが、双眼鏡を使えば尾までくっきりみえたので、あの様子なら目を凝らせば少なくとも彗星の核だけは肉眼でも見えていたはずですが、撮影に夢中で、それほど注意できていませんでした。10月中旬に大いに期待してます」と振り返ります。
もちろん、世界中の天文台でも彗星が観測されています。
こちらは南米チリにある「標高世界一」の東京大アタカマ天文台で研究者によって撮影されました。
米アリゾナ州のキットピーク国立天文台で撮影されたのはこちら。
朝日新聞と国立天文台がYouTubeで毎日生中継している星空ライブ「Asahi Astro LIVE 朝日新聞宇宙部」(https://www.youtube.com/@astroasahi)では、米ハワイのマウナケア山頂からの彗星を見ることができます。
国立天文台によると、10月中旬に入ると、夕方の西の低い空で観察できるようになるといいます。
ただ、日の入り1時間後の彗星の地平からの高度は12日でわずかに1度(東京の場合)。日が経つにつれ高度は上がるものの、15日でも14度と低く、この時期の観察は相当難しいと思われます。
16日ごろからは彗星の高度がやや高くなります。日の入り1時間後の高度は16日に17度、20日には28度まで高くなります。
明るさは少し暗くなりますが2〜4等ほどと予想され、彗星が最も観察しやすくなる時期となりそうです。双眼鏡や望遠鏡を使うと観察しやすいでしょう。
国立天文台では「適切な設定をしたカメラでは、彗星の姿を撮影することができそうです。彗星の尾が伸びることも期待されますので、構図を工夫するなどして撮影にチャレンジしてみてはいかがでしょうか」と呼びかけています。
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