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「日焼け止め」「痛み止め」併用、NGのケースも 〝意外な副作用〟

日焼け止めは日差しが強い日の必需品だが……。※画像はイメージ
日焼け止めは日差しが強い日の必需品だが……。※画像はイメージ 出典: Getty Images

目次

日差しが強い時期に使用される日焼け止め。そして、肩や腰が痛いときなどに使用される痛み止め。これらを併用することで意外な副作用が発生し、深刻な状態になる場合もあると、厚生労働省や製造元の製薬会社が注意喚起をしています。どんなことに気をつければいいのか、取材しました。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)
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湿布を剥がした後も数週間はNG

日焼け止めと痛み止めの併用が問題になることがあるのが、整形外科などでよく処方される鎮痛消炎剤「モーラステープ」などの有効成分であるケトプロフェンです。

厚生労働省によれば、ケトプロフェンを含む薬にはゲル、ローション、クリーム、テープ、パップ(いわゆる湿布)などの形があります。医療用医薬品だけでなく、処方せんがなくても薬局やドラッグストアなどで購入できる一般用医薬品もあります。

問題になるのは、このケトプロフェンを含む薬の光線過敏症、光接触皮膚炎という副作用です。

久光製薬は、前述したモーラステープが同社の医療用医薬品の中でも高い売り上げを誇る企業です。同社などがケトプロフェンの副作用についての啓発を積極的に行ったことで、光接触皮膚炎は年々、低下傾向(100万枚あたり2002年は0.24件だったものが、2023年は0.02件)にあります。同社を取材しました。

同社によれば、光線過敏症とは、紫外線を浴びることにより皮膚炎が生じる疾患を総称したもの。その中でも、薬剤を貼ったり塗ったりした後に紫外線を浴びることにより生じる接触皮膚炎のことを光接触皮膚炎と言います。

ケトプロフェン外用剤による光接触皮膚炎では、ケトプロフェンが皮膚に接した部分に吸収され、そこに日光(紫外線)を浴びることで、感作(医薬品などに対し免疫が働き、アレルギー反応を起こす体質になってしまうこと)が成立し、炎症が発生します。

症状は、薬を使用した部位のうち、日光に当たった部位に皮膚炎(皮膚の発疹や赤み、かゆみなど)が認められます。多くは使用中または使用後1週間以内に紫外線曝露により発生しますが、まれに使用を中止して3~4週間後に発生する症例も報告されています。

多くは手首・手部・大腿・膝・下腿など、紫外線に当たりやすい四肢に発生しますが、全身に症状が及ぶ重篤な例も報告されています。

そもそも遮光していれば感作が成立しないため、紫外線を避けることにより発生を予防することができます。

日焼け止めに広く含まれる物質が

では、なぜ日焼け止めとの併用が問題になるのでしょうか。実は、初回のアレルギー症状が収まったあと(一度アレルギー反応が成立してしまったあと)に、原因となった物質(この場合はケトプロフェン)とは別の物質(X)により、同様のアレルギー症状が引き起こされることがあります。

これには、原因物質とXの構造が似ていることで引き起こされるケース(交叉感作性)、構造が似ていなくても引き起こされるケース(共感作性)があります。久光製薬によれば、後者については、原因がよくわかっていないそうです。

そして、ケトプロフェンの光線過敏症においては、一部の鎮痛剤に含まれる物質や日焼け止めに含まれる物質が、Xに当たる可能性があります。2003年には、こうした別の物質についても薬の添付文書に注意喚起が追記されました。

その中でも、厚労省が警戒を促すのが、紫外線防止剤等として化粧品に広く含まれている化合物・オクトクリレンによるアレルギー反応です。「日光に当たること」と逆のイメージである日焼け止めとの併用がNGになるというのは、この副作用の意外なところでもあるでしょう。

ケトプロフェンを含む医療用医薬品においては、過去にオクトクリレンを含む日焼け止めなどの製品に対して過敏症を起こしたことがある人の使用はNG。一般用医薬品においては、予防的対策として、オクトクリレンを含む製品との併用を行わないように、「してはいけないこと」と使用上の注意に明記しています。

久光製薬はモーラステープについて、「貼ったところを日光に当てないでください」「剥がしたあとも少なくとも4週間は同じように注意してください」、また「化粧品、サンスクリーン、香水等でかぶれたことのある方は、医師または薬剤師にご相談ください」と注意喚起しています。

さらに、「この医薬品は、医師や薬剤師からの指導のもとで処方される薬であるので、指導されたことを守り、安全にご使用ください」「発疹・発赤、かゆみ、はれなどの異常があらわれたら、すぐに使用を中止し、患部を遮光して主治医または皮膚科専門医にご相談ください」と使用者に呼びかけています。

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