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博物館に涼をとる「氷柱」登場 エアコンを使えない切実な理由とは…
「氷柱をご用意しました。扇風機でひんやりした空気を館内に送っています」――。そんな博物館のSNS投稿が話題になりました。氷柱で涼をとるなんてセンスがいいと思いきや、実は「切実な理由」があるといいます。
話題になったのは、奈良県大和郡山市にある「県立民俗博物館」の公式Xの投稿です。
展示室にある大きな氷の写真とともに、「氷柱をご用意しました。扇風機でひんやりした空気を館内に送っています」といった文言が書いてあります。
すでにお伝えしていますとおり、当館は空調設備が壊れてしまっていることも理由の一つとして、7月15日で展示とはしばらくお別れとなります。
— 奈良県立民俗博物館【公式】 (@naraminpaku) July 6, 2024
そこで、なんと氷柱をご用意しました😘
扇風機でひんやりした空気を館内に送っています。
夏の涼、感じにきてください!
#ならみんぱく #奈良県立民俗博物館 pic.twitter.com/JEGzR0Gkxv
この投稿に、「対策に氷柱を持ってくるセンス。さすが民俗博物館」「とても心地よい風がくると聞いたことがある」「展示品と雰囲気がマッチしてますね」「工夫する気持ちも素敵です」といったコメントが付いています。
一方で、博物館の投稿には、「当館は空調設備が壊れてしまっていることも理由の一つとして、7月15日で展示とはしばらくお別れとなります」とも書いてありました。どうやら奈良県立民俗博物館は7月16日から休館となるようです。
氷柱を用意した理由や休館について、担当者に聞いてみました。
民俗博物館は1974年に開館。県民からの寄贈などをもとに、大正から昭和初期の生活用具や農具など計約4万5千点を収蔵しています。
開館から50年ほど経ち、建物の老朽化も目立つようになっていました。そんななか昨年、空調が完全に故障してしまったそうです。
そこで、来館者の熱中症対策などのために氷柱を置くことになりました。設置するのは、学芸員ガイドツアーのある7月6〜7日、13〜15日です。
氷柱は底面が30cm四方で高さ50cmの四角柱。1日あたり2本を、県内の伝統のある製氷業者から購入しているそうです。
提案したのは博物館の事務職員。「民俗博物館が対象とする『昔のくらし』との親和性が高い」「奈良県という土地は製氷の歴史がある」といった理由からだそうです。
担当者は「展示室は吹き抜けもあってかなり広いので、氷柱の周囲がほんのり涼しい程度ですが、むしろ涼感は氷が溶ける音や見た目から感じていただけます」と話します。
今のところ、空調の故障による展示品への大きな影響はないということです。
一方、民俗博物館では収蔵スペースが足りず、半数近くの約2万1千点を、閉校した高校や土木事務所などの収蔵庫外で保管せざるを得ない状態が続いているそうです。
建物の設備の老朽化も目立ち、昨夏も空調の故障で一時休館していました。
そこで、資料を保管するスペースをつくり、老朽化した本館の改修のために、ことし7月16日から一時休館とすることが決まりました。
今年度は約4800万円の予算がつき、収蔵品の引き揚げなどを予定しているそうです。収蔵品の整理と老朽化した設備の改修を進め、2027年度中の再開をめざしていますが、今後についてはまだ見通せないといいます。
担当者は「館内は暑いので熱中症対策、水分補給をお願いします。休館まであと少しですが、夏の涼を感じにきてください」と呼びかけています。
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