夏に活躍する携帯扇風機。しかし、やりがちな“使い方”には実は危険なものがあります。「落とすなどして強い衝撃が加わった」場合に、内蔵のバッテリーが爆発、首から下げた携帯扇風機が吹き飛び顔面にも向かうことが起こり得るとして、消防局や独立行政法人・製品評価技術基盤機構(NITE)が注意を呼びかけています。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)
6月13日、尼崎市消防局は、公式インスタグラムアカウントに「携帯型扇風機 大爆発」というタイトルの動画を投稿しました。
動画ではマネキンの首に下げた携帯型扇風機が「バーン」という激しい音を立てて爆発する様子を紹介しています。SNSには「全く知りませんでした」「本当に怖いですね」と驚きの声が集まっています。
市消防局を取材しました。この動画を投稿したのは「全国的に電気火災が増えてきている」ため。損傷したバッテリーや過充電による火災事例があるため、注意喚起に至ったとのことでした。
携帯型扇風機が爆発する原因として、市消防は「もちろん通常通り使う分には問題はありません」とした上で、「しかし、一度、地面に落としたり、強い衝撃を与えてしまった場合は、使用するのをやめてください」「また、過充電といって、必要以上に充電をすることは控えてください」と説明、注意喚起しました。
市消防が許可を得て紹介したのは、独立行政法人・製品評価技術基盤機構(NITE)による実験動画。NITEによると、携帯用扇風機は、手軽で便利である一方、2019年から2021年までの3年間で47件の事故が報告されているそうです。
NITEは、安全に使用するために、まず製品を選ぶ基準として、「製造・輸入事業者や販売元が確かであること」を挙げ、特にインターネットで購入した場合に「事故発生後に事業者に問い合わせをする際、連絡先が不明であったり、海外の連絡先しか掲載されていない場合がある」と指摘しました。
また、使用時、カバンなどから取り出す際などに落下させて、強い衝撃が加わることで、「内蔵のリチウムイオンバッテリーが変形し、内部でショートを起こすこともある」そうです。
「そのまま使い続けると煙や炎が吹き出したり、最悪、破裂する恐れがある」ため、「強い衝撃を与えてしまった場合は使用を中止し、製造・輸入業者などに相談する」ことを推奨しています。
また、万が一、発煙・発火などで対処が困難と判断した場合は、直ちに避難するとともに119番通報するよう呼びかけました。