政府が世界文化遺産への登録を目指す「佐渡島の金山」について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関が評価結果を発表、4段階の評価のうち上から2番目の「情報照会」を勧告しました。世界遺産としての価値は認められたものの、追加情報を求められた形です。そんな金山には、雰囲気がそっくりだとして「佐渡のラピュタ」としてネットで度々、話題になる関連遺跡があります。どのような遺跡なのか、佐渡市を取材しました。( #ふしぎなたてもの 取材班 )
6日、政府が世界文化遺産への登録を目指す「佐渡島の金山」について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関が4段階の評価のうち上から2番目の「情報照会」を勧告しました。世界遺産としての価値は認められたものの、追加情報を求められた形です。
この勧告を受け、佐渡島の金山は、世界文化遺産の登録に向けて可能性を残したことになります。そんな佐渡島の金山には、雰囲気がそっくりだとして「佐渡のラピュタ」としてネットで度々、話題になる関連遺跡があります。
草木に埋まる、異世界のような建造物ーー。それが、新潟県佐渡市の北沢浮遊選鉱場跡です。
佐渡市の資料によれば、コンクリートの基礎部分を残す建造物は、世界文化遺産登録に推薦されることになった佐渡金山の関連遺跡で、粉砕した鉱石から金銀鉱物を回収する工場跡。
1938年に第一期工事分が完成し、稼働を開始。40年に追加工事分が完成するも、52年に佐渡鉱山の縮小により閉鎖されました。
「浮遊選鉱」とは、粉砕した鉱石を特殊な薬品を加えた水槽の中で浮遊させ、泡に吸着させて回収する手法のことです。
北沢浮遊選鉱場跡は金銀の鉱石に対する浮遊選鉱法を実用化させた施設で、技術史上も画期的だったとされます。その規模は東洋一とも称され、月間約5万トンの鉱石を処理しました。周辺の鉱山から出鉱した鉱石はトロッコなどでこの選鉱場に運ばれたと言います。
しかし、北沢浮遊選鉱場跡は現在、鉄筋コンクリート造の基礎部分が風雨にさらされて損傷がひどく、修理が不可欠な状態であり、その保存が危ぶまれています。
保存の上で、課題となっているのは費用です。同市によると、遺跡やその周辺の土地の所有者は民間、市、県と多岐にわたりますが、文化財保護法に基づく管理団体は市となっています。
過疎化が進む市には財政的な余裕がなく、保存には国や県の補助が必要な状況になっています。
市の担当者は「定期的な監視と調査を行い、関連遺跡の価値を損なわずに将来的に継承する方法を模索中です。土木の専門家に相談している他、軍艦島など他地域の遺跡の管理者とも意見交換しています」と話します。
世界文化遺産登録をきっかけに、再び保存への機運を高めようとしていた北沢浮遊選鉱場跡。事実上の再審査となった今、その行方をしっかりと見届ける必要がありそうです。