ベビー用品の紙おむつのパッケージには、可愛らしい赤ちゃんの写真がデザインされていることがしばしば。しかし、その一つをよく見ると、なんだか違和感が……。大手ブランドの商品に、SNSで「怖い」「何かがおかしい」と注目が集まっています。ネットで盛り上がる「大右腕赤ちゃん」の正体について、メーカーを取材しました。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)
ベビー用品の紙おむつのパッケージにデザインされた、可愛らしい赤ちゃんの写真。子どもが身近にいるとよく見かける光景ですが、その一つに違和感を覚えた人たちの投稿が、SNSで大きな注目を集めています。
話題になっているのは、世界的な有名ブランドであるパンパースの商品。大人に抱かれる、あどけない顔をした赤ちゃん……と思いきや、赤ちゃんを抱く腕と、赤ちゃんの肩がつながっています。
だとすると、これは赤ちゃんの腕ということに。赤ちゃんから立派な腕が生えているように見えてしまうこちらの商品パッケージの画像を、春ごろから複数の一般ユーザーが投稿。最近の投稿はX(旧ツイッター)で3万回以上引用されるなど、拡散されています。
この画像に「なんだか違和感」「怖い」「何かがおかしい」「どうしてこうなった」といった反響が巻き起こったほか、「フェイク画像」の可能性も取り沙汰されました。この中で、マンガ家の瀧波ユカリさんは、この赤ちゃんの腕を“謎腕”と表現し、過去にも話題になっていたことを指摘しています。
現在、Xでは #パンパース大右腕赤ちゃん のハッシュタグが盛り上がり、発見した人の投稿が続いています。ただし、店内撮影は基本的に禁止のことが多いため、こうした投稿をする場合には注意が必要です。
この画像は実際のパッケージのものなのでしょうか。だとすると、なぜこのようなパッケージになってしまったのでしょうか。同ブランドを国内で展開するP&Gジャパン合同会社を取材しました。
まず、パンパースのパッケージに赤ちゃんの写真がデザインされているのは、同ブランドが「すべての赤ちゃんの明るく健やかな成長に貢献したい」と考えているため。
そこで、従来より「赤ちゃんを優しく包み込むお母さん・お父さんをイメージしたパッケージデザインを採用しております」(同広報)。
そして、今回話題になっている画像は、2023年春から発売されている「パンパース はじめての肌へのいちばん※ テープ」(Sサイズ 64枚入り・54枚入り)の外袋に掲載されているものであるそう。※「肌へのいちばん」以外のP&G製品比
ネットでデザインに不安の声が上がったものの、もちろん「パッケージ内の製品は他のパンパース製品と同様、厳格な品質管理のもとに製造された安全な製品ですので、安心してお使いいただけます」とのことです。
実は「当該製品の外袋に掲載されている、赤ちゃんをお母さん・お父さんの腕が優しく支える画像は、従来製品より大きな変更はありません」。たしかに、子育てをしていると、パンパースのパッケージのこの赤ちゃんには見覚えがあります。さらに元は同じ腕だとすると、一体なぜこんなことに……?
「23年春発売の2製品の外袋においては、技術的な調整を経た結果、両者の腕が重なってしまうという意図しないデザインで印刷を進めてしまっておりました」
このデザインについては「来月より発売する新パッケージでは修正を予定しております」「今後の製品パッケージ開発ではこのような問題が生じないよう、製造プロセスを改善してまいります」とのこと。
「大切な赤ちゃんのためにパンパースをお選びいただきましたみなさまに、混乱を招いてしまったことにつきましては、重く受け止めております。今後十分に留意し、安心してお使いいただける高品質の製品作りに努めてまいります」
今回、このように注目されたのは、多くの人がお世話になった、親しみのあるブランドゆえという見方もできます。
画像のインパクトにどうしても面白がってしまいますが、余裕がなくなることもある子育て中に、くすりと笑うきっかけをくれた出来事と言えるのではないでしょうか。