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デカ盛りの聖地・群馬の定食屋「10の24乗大盛り」にあふれる愛情
ギガ、テラの先は…
「デカ盛りの聖地・群馬」。テレビのバラエティ番組やグルメサイト、最近では人気YouTuberのチャンネルなどで「お腹いっぱいになれる」「大食い御用達」などと県内にある多くの飲食店がたびたび特集されてきました。その中でも特に有名なお店の一つ、前橋市の定食屋「栄久庵」では、単位を「デカ」に留めず、メガ、ギガ、テラ……の大盛りの定食が食べられます。いったい上限は? 店主に聞きました。(朝日新聞デジタル企画報道部・高室杏子)
店はJR前橋駅から北へ3.5km。群馬大学医学部付属病院の目と鼻の先の住宅街のなかにあります。
看板には藍色に白い文字で「うどん各種定食 そば処栄久庵」。
定食だけでなく、そばとうどんも置いています。
店主の狩野智大さんによると、「昼も夜も食堂のようなにぎわい」で、土曜日には駐車場には大盛りの定食を求めて県外ナンバーの車も並ぶといいます。
テレビのグルメ番組でも店は繰り返し紹介され、食べっぷりが魅力のYouTubeの配信者たちも頻繁に訪れてきました。
番組に出演したタレントやYouTuberたちの直筆サインが店内の壁をくまなく埋め尽くしています。
店内のメニュー表には普通盛りを基準に、約100~200gごとにごはんが増量される、大盛り、メガ盛り、ギガ盛り、テラ盛り、ペタ盛り、エクサ盛り、ゼタ盛り、ヨタ盛り(10の24乗)と並びます。
取材中も部活を終えて空腹状態の群馬大の学生たちが、ネギマヨ唐揚げ丼セットやかつ丼セット定食のデカ盛りや、メガ盛りなどでお腹を満たしていました。
本井俊貴さん(23)の一押しは「ガツ刺し丼セット」。「メガ」サイズのコーラをお供に、みるみるどんぶりを軽くしていきました。
「ぴりっと辛いのと、にんにくの風味で食べ進めるごとに疲れが飛んでいきます。食べ盛りの学生にとって『大盛り』はとてもありがたくて、栄久庵はまさに食堂です。いやされます」
店は1999年、狩野さんが28歳の頃に始め、来月25年目を迎えます。
「栄久庵」は狩野さんが16歳から12年間修行していた市内の店の名前を譲り受けた、思い入れのある名前です。
修行をはじめた動機も「単車を買うため」で、周囲からも「すぐ辞めるだろ」と言われてたそうです。
「その言葉で自分は負けず嫌いだと思い出して今に至ります」
店で厨房と客席に立ち続けるうちに、「来てくれたお客さんがお腹いっぱいに満足してくれますように」と思うようになった経験が「大盛り」の裏側にあるといいます。
独立し、24年。2020年からのコロナ禍でお客の数は落ち込みましたが、最近は「夜は満席になることもあり、おなかいっぱいになってくれるお客さんの存在のありがたさが身に染みます」と笑顔を見せます。
デカ盛りが話題になり県外からもお客さんが訪れるようになったお店ですが、狩野さんは「小食の人もハードルを感じないで来てほしい」と言います。
「お客さんにおなかいっぱいになってもらうことが本来の願いで、その量は人それぞれ。たくさん食べる人のためだけのお店ではないので小食の方も気にせず来てほしい」
店では、10円を払うと容器に入れてお持ち帰りもできます。
少しの量で満足してしまう筆者も、「ネギマヨ唐揚げとガツ刺し」ハーフ丼の普通盛りに冷やしそばを付けたセットを注文しました。
つるっとした食感のそばとハーフ丼のさらに半分を夜にいただき、残りをお持ち帰り。朝ごはんとして食べたときも変わらず「元気が出る味」で二度おいしくいただきました。
レモンやマヨネーズでさっぱりとしつつも、肉汁がじゅわっと広がる鶏肉とコリコリとした食感がクセになる豚のガツの味でごはんが進み、おなかも心も満たされました。
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