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「100円たこ焼き」店主は現役教師 高校生まではチケットで無料に

たこ焼き店を経営する店主に話を聞きました

クラウドファンディングで資金を調達して作った看板
クラウドファンディングで資金を調達して作った看板

目次

 たこ焼きが4個入って税込み100円。しかも、店に置いてある「チケット」を使えば、高校生までは無料で食べられる――。そんなお店が大阪府高槻市にあります。通信制高校の非常勤講師として働きながら、たこ焼き店を経営する店主に話を聞きました。

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4個で100円のたこ焼き
4個で100円のたこ焼き
たこ焼きを2個使った「たこせん」も税込み100円
たこ焼きを2個使った「たこせん」も税込み100円

平日午後のみ、営業は3時間


 「今日は塩マヨで」「私はポン酢」

 「シャーペンといえば、やっぱドクターグリップやろ」

 平日の15時半から18時半まで営業する「100円たこ焼き」は、いつも子どもたちでにぎわっています。

 漫画を読みふける子もいれば、ずっと絵を描いている子も。

 放課後に集って、それぞれ思い思いの時間を過ごしています。

 人気の理由は4個入りで税込み100円という価格だけではありません。

 高校生までは1日1枚、店内にある「たこ焼きチケット」を使えば無料で食べることができるのです。

 「子どもにたこ焼きをおごりたい」という誰かがチケットを購入し、店に置いておく。

 すると、子どもたちがそのチケットを使ってたこ焼きを食べられる、という仕組みです。

店主は現役の先生


 「お客さんの数は日によって全然違いますが、平均して子ども40人ぐらい、大人5人ぐらいですね」

 そう話すのは、店主の川人佑太さん(36)です。

 2010年に大学を卒業し、4カ月間のフリーター生活を経て大学職員に。

 その後、「教育の現場に出たいなぁ」と思い立ち、通信制大学で学んで教員免許を取得し、公立中学の教師になります。

 教師6年目で「これからはオンラインで教育を行うノウハウが必要になるに違いない」と私立の通信制高校に転職。

 2021年4月に高校を退職して、非常勤講師として働きながら「100円たこ焼き」を開業しました。

店主の川人佑太さん
店主の川人佑太さん

「たこ焼きサポーター」制度


 起業のきっかけは「雑談を通じて役割をまたぐ場をつくろう」という思い。

 コロナ禍であっても仕事や家庭は順調だったのに、何かしっくりこない。

 そんな時、公園でパパ友と雑談をしていたら、気持ちが楽になるのを感じたといいます。

 「コロナ禍で教師や父親といった『役割』に24時間閉ざされていたから息苦しかったのか」

 そう気づいたことで「雑談を通じて役割をまたぐ場をつくろう」と考えたそうです。

 出店にあたり、リスク管理として失敗しても多額の借金を背負わない程度の出資に。

 貴重な収入源である「たこ焼きサポーター」制度は、開店当初からあったわけではありません。

 「友人が食べに来てくれて、支払いの時に『あまった分はおごチケ(おごりチケット)にでもしてあげてや』と言ったのがきっかけです」

 他県のカレー店などを参考にしながらチケット制度を導入。

 サポーターは直接来店するお客さんよりも、メディアプラットフォーム「note」を通じて集まったサポーターが多いそうで、現時点で240人ほどいます。

 子どもたちにたこ焼きをおごろうと、100円、300円、1000円のいずれかを毎月払ってくれる人たちです。

カウンターの落書きには川人さんを描いたものもありました
カウンターの落書きには川人さんを描いたものもありました

サポーター2000人を目指して


 「先生のたこ焼きが一番うまい」

 そう言ってくれる子もいますが、「それ、きっと勘違いやで」と返す川人さん。

 持続可能な店にするためにはサポーター2000人ほどが必要で、ツイッターやインスタグラム、noteなどで積極的に発信しています。

 開店に合わせて毎日、焼き上がったたこ焼きの画像をインスタに投稿していたらバズったことも。

 投稿が注目されるたびにサポーターが増えるそうですが、目標にはまだまだ足りません。

 デジタル上の「1点もの」であるNFT(非代替性トークン)としてのたこ焼き販売にも挑戦するなど、新たな道も模索中です。

 「100円たこ焼きは、個人を『役割』としてではなく『存在』として認めるための社会実験だと思ってやってます」と川人さん。

 恒例となった「今日も今日とてたこやきを焼く」のツイートが、開店の合図です。

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