ネットの話題
「センスに嫉妬」話題の御茶ノ水駅広告〝パロディー〟指摘にJRは…
「反響に驚きも嬉しさもある」
「いつもなら通り過ぎちゃう駅だけど、実物を見に行きたくなった」。JR東日本が実施中のキャンペーンに合わせて、御茶ノ水駅構内に貼り出された広告が、ツイッター上で話題です。とある名作映画のメインビジュアルを思い起こさせるデザインに、注目が集まっているのです。「パロディーでは?」との指摘を、同駅の担当者はどう捉えたのか。制作経緯と共に、直接聞いてみました。(withnews編集部・神戸郁人)
多くの人目に触れた広告は、御茶ノ水駅改札内の自由通路に掲出されています。JR東日本が1月13日から3月6日まで、営業管内の一部駅で実施中の企画「懐かしの駅スタンプラリー」に合わせて登場しました。
同企画は旧国鉄時代の1980年、全国約740の認定駅で行われたスタンプラリーキャンペーン「わたしの旅」の復刻版です。地域の名所や名産品をデザインしたスタンプを、首都圏の50駅に設置。旅の思い出として、押して集めることができます。
御茶ノ水駅も対象駅の一つで、企画を周知するために作られたのが、話題の広告です。同社の制服姿の男性が、黄色い背景に浮かび上がる構図。両腕を組み、ややうつむきがちに前方をにらみつける様子は、見る人に強い印象を残します。
男性の横には、「懐かしのおちやのみづ駅ポストカードプレゼント」との一文も見えます。企画の実施期間中、一定の条件を満たすと、オリジナルポストカードがもらえるという趣旨のようです。
1月中旬、広告の関連画像が、ツイッター上で拡散されました。すると、英国映画「トレインスポッティング」(1996年公開)メインビジュアルのパロディーではないか、との指摘が上がったのです。
同作のポスターなどには、主演俳優のユアン・マクレガーさんが、正面を向いた状態で腕を組む写真が使われています。「確かにそっくりだ」「制作した人のセンスに嫉妬」。ツイッターのタイムラインでは、そんな声が飛び交いました。
今回の広告は、どのような経緯で生まれたのでしょうか。御茶ノ水駅の担当者を取材しました。
いわく、被写体の男性は同駅の社員です。過去に手がけ、駅構内に貼り出した掲示物の写真を転用したといいます。「スタンプラリー企画に合わせて、懐かしさを出すため、レトロな感じに写真を加工しています。広告は企画初日に掲出しました」
やはり気になるのが、「トレインスポッティング」との関係性です。率直に疑問をぶつけてみると、次のような答えが返ってきました。
「『映画をほうふつとさせる』と言われることは想像していませんでした。一連のお声を頂戴して、初めて作品の存在を知りました」
ツイッター上には、映画の原題“Trainspotting”に着目し、「語感が鉄道駅の広告に合っている」といった感想も上がっています。
この点をめぐっても、担当者は「色々と考察をして頂いたのですが、映画の存在を知らず、思わぬ反響でした」と語りました。
スタンプラリーの期間中、御茶ノ水駅には、地元ゆかりのスタンプが設置されます。刻まれているのが、近隣に立地する、湯島聖堂と東京復活大聖堂(ニコライ堂)のイラストです。
また特典のポストカードには、御茶ノ水駅社員が撮りためた、昔の同駅や列車の写真があしらわれています。1月13日~2月12日、2月13日~3月6日の2回に分けて、計5種類を配布する想定です。
今回の広告が好評を博したことをめぐり、担当者はこう喜びました。
「駅は通過点のため、ポスターなどの掲示物が目に止まりにくいことがあります。そのような状況で、いかに興味を持ってもらえるか考えながら、制作に取り組みました」
「当駅を普段利用されない方々にも注目して頂き、驚きもあり、うれしさもあります。今後もお客様に楽しんで頂けるようなものを作っていきたいと思います。ぜひ、引き続き、掲示物にご注目ください」
ポストカードはスタンプラリーの実施期間中、快速きっぷ「都区内パス」「休日おでかけパス」「のんびりホリデーSuicaパス」のいずれかを御茶ノ水駅で購入し、改札で提示するともらえます。また、広告は3月6日まで掲出予定です。
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