お金と仕事
アベンジャーズ・ソーが転職ならオススメは「老舗企業で営業課長」？
『アベンジャーズ』などの人気映画シリーズに登場するヒーロー・ソー。雷を操り敵をなぎ倒すアクションと破天荒な言動が魅力的なキャラクターですが、現在公開中の最新作『ソー：ラブ＆サンダー』では多くの仲間を失ったことで戦いを避けるようになり、「ヒーロー卒業」もほのめかします。「神様」ではあるものの、地球と縁の深いソーがもし、ここ日本で転職先を探したらーー。そんな視点で、キャリアコンサルタントの中野貴之さんに話を聞きました。（withnews編集部・朽木誠一郎）
長所は「コミュニケーション」、短所は…
ーー「もし雷神ソーが転職の相談に来たら」というテーマで今回、取材をさせていただく中野さんは、『アベンジャーズ』や現在公開中の『ソー：ラブ＆サンダー』を含む人気映画シリーズ「マーベル・シネマティック・ユニバース」（MCU）もお好きなんですよね。
はい。私はアズール＆カンパニーという会社で主にエンターテイメント業界のキャリアコンサルタントをしています。もともとエンタメ作品が好きで、MCU作品もこれまでの全作品を複数回、鑑賞させていただいています。
ーー最新作でソーが「ヒーロー卒業」をほのめかしたこともあり、そんな中野さんに、人材としてのソーについて分析していただきたいと思います。まず、キャリアコンサルタントの視点から、ソーにはどんな長所がありますか。
もちろん、ヒーローとしての行動力・突破力といった点はまず、目につきますし、何より華がありますよね。非常に魅力的な人材だと思います。そこに加えて、個人的に私が思うのは「コミュニケーション能力」です。
もともと、単独作『マイティ・ソー』『マイティ・ソー／ダーク・ワールド』に登場した同郷の仲間たち＝ウォリアーズ・スリーとは強い絆で結ばれています。
『アベンジャーズ／インフィニティ・ウォー』『アベンジャーズ／エンドゲーム』では、銀河のさまざまな星の“宇宙人”たちからなるガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのチームに、当初は摩擦がありながらも溶け込みました。
特に「私はグルート」としか喋れない木のヒューマノイド・グルートと早速、意思疎通ができたのはさすがの一言です。
また、ソーは『インフィニティ・ウォー』でヴィラン（悪役）のサノスにより多くの仲間を奪われ、筋骨隆々だった肉体が見る影もなくだらしなくなってしまう、というカッコ悪いところも見せましたが、挫折を知っていることは人材として大きな強みです。
ーーサノス戦はたしかにソーを成長させていました。では、短所についてはいかがでしょう。
チームとして見た場合、やはりスタンドプレーが多いと感じます。何かが起きると、勝手に突っ走ってしまうと言いますか。
圧倒的なフィジカル、そして彼の住む世界「アスガルド」の第一王子で次期国王候補だったという生い立ちもそうさせるのでしょう。自分がトップでないと、あるいは注目されていないと気が済まない、という面は度々、見え隠れしますよね。転職の面接では「懸念材料」とされてしまうところかと思います。
はい。私はアズール＆カンパニーという会社で主にエンターテイメント業界のキャリアコンサルタントをしています。もともとエンタメ作品が好きで、MCU作品もこれまでの全作品を複数回、鑑賞させていただいています。
ーー最新作でソーが「ヒーロー卒業」をほのめかしたこともあり、そんな中野さんに、人材としてのソーについて分析していただきたいと思います。まず、キャリアコンサルタントの視点から、ソーにはどんな長所がありますか。
もちろん、ヒーローとしての行動力・突破力といった点はまず、目につきますし、何より華がありますよね。非常に魅力的な人材だと思います。そこに加えて、個人的に私が思うのは「コミュニケーション能力」です。
もともと、単独作『マイティ・ソー』『マイティ・ソー／ダーク・ワールド』に登場した同郷の仲間たち＝ウォリアーズ・スリーとは強い絆で結ばれています。
『アベンジャーズ／インフィニティ・ウォー』『アベンジャーズ／エンドゲーム』では、銀河のさまざまな星の“宇宙人”たちからなるガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのチームに、当初は摩擦がありながらも溶け込みました。
特に「私はグルート」としか喋れない木のヒューマノイド・グルートと早速、意思疎通ができたのはさすがの一言です。
また、ソーは『インフィニティ・ウォー』でヴィラン（悪役）のサノスにより多くの仲間を奪われ、筋骨隆々だった肉体が見る影もなくだらしなくなってしまう、というカッコ悪いところも見せましたが、挫折を知っていることは人材として大きな強みです。
ーーサノス戦はたしかにソーを成長させていました。では、短所についてはいかがでしょう。
チームとして見た場合、やはりスタンドプレーが多いと感じます。何かが起きると、勝手に突っ走ってしまうと言いますか。
圧倒的なフィジカル、そして彼の住む世界「アスガルド」の第一王子で次期国王候補だったという生い立ちもそうさせるのでしょう。自分がトップでないと、あるいは注目されていないと気が済まない、という面は度々、見え隠れしますよね。転職の面接では「懸念材料」とされてしまうところかと思います。
あえて「老舗企業で営業」がおすすめ
ーーそんなソーが実際に転職をしようとしたら、どんな職種が考えられますか？
もし本人が転職の意志を明らかにしたら、企業広報のオファーは殺到するでしょうね。
わかりやすいところでは「避雷針メーカー」とか。イメージだけで言うなら、電力関係の会社も名乗りをあげそうです。圧倒的な知名度を生かしたい企業からの声かけが多く届くでしょう。
ただ、私は本人のキャリアパスとして、それはよくないと思います。
ーーそれはなぜでしょうか。
「知名度」というすでにソーが持っているものだけを目当てにされてしまうと、人材として成長がしにくいと感じるからです。マスコット的に扱われてしまい、時間の経過とともに知名度がなくなってしまえば、人材価値もなくなってしまう。
注目されるのが好きなソーは、気を良くしてやりたがってしまうでしょうが、私個人としてはおすすめしません。
ーーなるほど、ではどんな職種がおすすめでしょうか。
人材としてのソーを分析してみたとき、まず、IT業界からのニーズは高くありません。なにせ、『マイティ・ソー バトルロイヤル』で描かれたように、ソーはスマホもパソコンも持っておらず、ITリテラシーは壊滅的だからです。
IT企業だからこそ、大胆な経営者があえてそんなソーを起用し、かき回すことを期待するというのもなくはないかもしれませんが、やはりその場合も、彼の知名度に期待しているという面はあるかと思います。
そこで、私がおすすめするのが、老舗企業の営業職です。中でも、泥臭く、顧客とのコミュニケーションをしっかり取っていくようなところですね。
ーー意外なチョイスですね。理由を教えてください。
老若男女、住む星すら問わず、誰とでも仲良くできるというのはやはり才能です。人から慕われるというのは、営業にとって大事なことなので。体力がありそうなのもいいですね。
そうやってリアルのコミュニケーションを重視するような営業職に、ソーは向いていると思います。
ただし、営業職として起用するにあたっては、いくつか注意点もありそうです。具体的には、チームの「No.2」に据えること、が必要だと思います。
もし本人が転職の意志を明らかにしたら、企業広報のオファーは殺到するでしょうね。
わかりやすいところでは「避雷針メーカー」とか。イメージだけで言うなら、電力関係の会社も名乗りをあげそうです。圧倒的な知名度を生かしたい企業からの声かけが多く届くでしょう。
ただ、私は本人のキャリアパスとして、それはよくないと思います。
ーーそれはなぜでしょうか。
「知名度」というすでにソーが持っているものだけを目当てにされてしまうと、人材として成長がしにくいと感じるからです。マスコット的に扱われてしまい、時間の経過とともに知名度がなくなってしまえば、人材価値もなくなってしまう。
注目されるのが好きなソーは、気を良くしてやりたがってしまうでしょうが、私個人としてはおすすめしません。
ーーなるほど、ではどんな職種がおすすめでしょうか。
人材としてのソーを分析してみたとき、まず、IT業界からのニーズは高くありません。なにせ、『マイティ・ソー バトルロイヤル』で描かれたように、ソーはスマホもパソコンも持っておらず、ITリテラシーは壊滅的だからです。
IT企業だからこそ、大胆な経営者があえてそんなソーを起用し、かき回すことを期待するというのもなくはないかもしれませんが、やはりその場合も、彼の知名度に期待しているという面はあるかと思います。
そこで、私がおすすめするのが、老舗企業の営業職です。中でも、泥臭く、顧客とのコミュニケーションをしっかり取っていくようなところですね。
ーー意外なチョイスですね。理由を教えてください。
老若男女、住む星すら問わず、誰とでも仲良くできるというのはやはり才能です。人から慕われるというのは、営業にとって大事なことなので。体力がありそうなのもいいですね。
そうやってリアルのコミュニケーションを重視するような営業職に、ソーは向いていると思います。
ただし、営業職として起用するにあたっては、いくつか注意点もありそうです。具体的には、チームの「No.2」に据えること、が必要だと思います。
「課長職」で採用して様子を見ては
ーーソーはNo.1になりたがるタイプですが、二番で大丈夫でしょうか。
ソーは客観的には、チームのNo.1よりNo.2に向いた人材ですね。好き勝手に暴れて、下も引っ張ってくれる。今は目立つことが嫌いな人も若年層には増えていますが、そういう仕事にも率先して取り組んでくれるでしょう。
必要なのは、道を誤りそうなときに導いたり、失敗したときに責任を取ったりしてくれる上司です。
ソーはチームプレー自体が苦手なわけではないんですよね。基本的にはいつも「アスガルド」の民や仲間、時には不仲の弟のロキのためにがんばっている。自分の行動がチームの利益にかなうのかというところを、最初は別の人に、客観的に判断してもらいさえすれば、大きな成果を収められるはずです。
神様にこんなことを言うのは恐れ多いのですが、「営業部の課長職」がちょうどいいのではないでしょうか。部長がいて、しっかりフォローしてくれる、そういう環境がいいと思います。
ーーソーのフォローをする上長、大変そうですね（苦笑）。
その上長を探すのが一番、大変かもしれません。でも、ソーは例えば父親であるオーディンのことを敬愛していましたし、リスペクトできる存在のもとでは、自分の役割をしっかり果たそうとするんですよね。
大変という意味では、ITの部分は避けては通れないところなので、いつまでも苦手と言っていられません。今はコロナ禍もあり、営業もオンラインのコミュニケーションを交えたハイブリット型で行うことが求められます。
「マネージャーポジションで応募があったけど、まずはアシスタントマネージャーからスタートしてもらいたいよね」というシーンは採用の現場ではよくあるんです。
「評価の余白を残す」と言ったりしますが、No.1志向だからこそ、No.2に配置されるとがんばる、ということがあります。「結果を出したら部長になれるよ」と示すことで、人材評価上の弱点を克服していってもらう、ということですね。
ーーよくわかりました。最後に、「ヒーロー卒業」をほのめかしながらも、最新作でまた戦いに巻き込まれているソーについて、もし中野さんが「転職を考えている」という相談を直接、受けたら、どんな言葉をかけますか？
長い人（？）生、他のことを経験するのはいいことです。ソーの場合は、きっといずれ「自分が貢献できることはやっぱりヒーロー活動だ」と思い直して、戻ることになるんじゃないでしょうか。だからこそ、できることを増やせるように、違う職種を体験してみることはおすすめしたいですね。
ーー実際にソーがどんな道を選んだかは、劇場で確認していただくとして、「もし雷神ソーが転職の相談に来たら」という仮定のテーマでのご回答、本当にありがとうございました。
今の会社で20年以上、キャリアコンサルをしていますが、このようなご相談は初めてでしたね（笑）。読者の方にも、もし参考になる部分があれば幸いです。
ソーは客観的には、チームのNo.1よりNo.2に向いた人材ですね。好き勝手に暴れて、下も引っ張ってくれる。今は目立つことが嫌いな人も若年層には増えていますが、そういう仕事にも率先して取り組んでくれるでしょう。
必要なのは、道を誤りそうなときに導いたり、失敗したときに責任を取ったりしてくれる上司です。
ソーはチームプレー自体が苦手なわけではないんですよね。基本的にはいつも「アスガルド」の民や仲間、時には不仲の弟のロキのためにがんばっている。自分の行動がチームの利益にかなうのかというところを、最初は別の人に、客観的に判断してもらいさえすれば、大きな成果を収められるはずです。
神様にこんなことを言うのは恐れ多いのですが、「営業部の課長職」がちょうどいいのではないでしょうか。部長がいて、しっかりフォローしてくれる、そういう環境がいいと思います。
ーーソーのフォローをする上長、大変そうですね（苦笑）。
その上長を探すのが一番、大変かもしれません。でも、ソーは例えば父親であるオーディンのことを敬愛していましたし、リスペクトできる存在のもとでは、自分の役割をしっかり果たそうとするんですよね。
大変という意味では、ITの部分は避けては通れないところなので、いつまでも苦手と言っていられません。今はコロナ禍もあり、営業もオンラインのコミュニケーションを交えたハイブリット型で行うことが求められます。
「マネージャーポジションで応募があったけど、まずはアシスタントマネージャーからスタートしてもらいたいよね」というシーンは採用の現場ではよくあるんです。
「評価の余白を残す」と言ったりしますが、No.1志向だからこそ、No.2に配置されるとがんばる、ということがあります。「結果を出したら部長になれるよ」と示すことで、人材評価上の弱点を克服していってもらう、ということですね。
ーーよくわかりました。最後に、「ヒーロー卒業」をほのめかしながらも、最新作でまた戦いに巻き込まれているソーについて、もし中野さんが「転職を考えている」という相談を直接、受けたら、どんな言葉をかけますか？
長い人（？）生、他のことを経験するのはいいことです。ソーの場合は、きっといずれ「自分が貢献できることはやっぱりヒーロー活動だ」と思い直して、戻ることになるんじゃないでしょうか。だからこそ、できることを増やせるように、違う職種を体験してみることはおすすめしたいですね。
ーー実際にソーがどんな道を選んだかは、劇場で確認していただくとして、「もし雷神ソーが転職の相談に来たら」という仮定のテーマでのご回答、本当にありがとうございました。
今の会社で20年以上、キャリアコンサルをしていますが、このようなご相談は初めてでしたね（笑）。読者の方にも、もし参考になる部分があれば幸いです。
中野貴之（なかの・たかゆき）さん
アズール＆カンパニー株式会社／エンターテイメント業界チーム・エグゼクティブコンサルタント。映画配給、放送局、音楽、玩具、アニメに加え、動画配信サービスなどのエンターテイメント業界を一貫して担当。
ソー：ラブ＆サンダー
アベンジャーズBIG 3最後の一人、破天荒な雷神ソーの集大成！ 『アベンジャーズ/エンドゲーム』の激闘後、ソーは多くの仲間を失い、戦いを避けるようにガーディアンズと地球を後にしていた。自分探し中の彼に、全宇宙の神々滅亡を誓う“神殺し”のゴアが襲いかかる。絶体絶命のその時、ソー以上の力を持つ新たな“マイティ・ソー”に姿を変えた元恋人のジェーンが現れた！ 2人のソーがシリーズ最大の脅威ゴアに立ち向かう、破壊力2倍のロック・バトル・アドベンチャーがこの夏に開幕！
挫折を経た今 最新作『ソー：ラブ＆サンダー』のソーの勇姿
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