連載
#6 選挙 若者の疑問
中学生の疑問「参院にない『解散』どうして衆院だけ?」 2つの理由
一方、解散のない参院は…。
22日に公示された参院選。選挙について、若者たちから疑問を募ると、選挙の基本をおさらいしたいというものから、「言われてみると、確かにわからない」といった疑問が集まりました。「なんで衆院だけ『解散』?」。林尚行政治部長に聞きました。
衆議院には解散があるのですが、参議院にはありません。ないんですよね。
任期いっぱい、がっつり働けるのが参院議員ですが、解散のある衆院議員は、突然クビにされてしまうかもしれません。ヒヤヒヤしますね。このヒヤヒヤ感というのが実は大切です。
国には、向き合わないといけない重要なテーマがその時々でありますよね。一方で、そのテーマが、定期テストのように、決まった時期に定期的に来てくれるとは限りません。突然出てきた重要なテーマに対して国民の審判を仰ぐ仕組みとして、衆議院の解散というものが使われることがあります。
もう一つ、解散の理由にあるのが、内閣に「ノー」をつきつけるかどうかを決めるためのものです。
日本は議院内閣制という仕組みをとっていますので、総理大臣と国会は、非常に重要な関係性を持っています。
内閣総理大臣は、国会の多数を占める勢力から選ばれます。
その仕組みは、衆議院が最終的に総理大臣に優越を持って決められるという仕組みなので、衆議院には、内閣不信任案というのを決議する仕組みがあります。つまり、内閣にノーを突きつけるかどうかを決めるという仕組みです。
これがもし可決された場合、「いまの内閣総理大臣はダメ」と言われたことになるので、そのときの総理大臣には二つの道しか残っていません。
一つは「ごめんなさい」といって内閣のみんなが辞める。もう一つは、「おれは辞めない。国民にどっちが正しいか決めてもらうんだ」といって解散するかです。
つまり、衆議院が解散するときの任期以外の理由は二つです。
一つはそのときの内閣総理大臣が、国民に審判をあおぎたいテーマがあるときの解散。もう一つは、内閣不信任案が出てきたり、可決されたりするときの局面で、いったん国民に下駄を預けるときの解散です。
一方、解散のない参院は、「良識の府」「再考の府」と呼ばれることがあります。
衆院は、どうしても目の前に「解散」とか「政権選択」というものがぶら下がっているので、その時々の流れに乗って、みんなで「わー」と動きかねません。
その点、参院は6年の任期で何をするかということを、良識をもって語り、進めていきます。衆院が「わー」となってしまっているときに、「もう一回考え直そうか」と言える再考の府でもあるんですね。
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