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連載

#3 #ふしぎなたてもの

大江戸線の駅天井にひしめく「無数の緑パイプ」一体、何のため?

地下鉄駅の天井にひしめく謎の「緑のパイプ」の正体は?
地下鉄駅の天井にひしめく謎の「緑のパイプ」の正体は? 出典: 朝日新聞社
都営地下鉄大江戸線の飯田橋駅ホームへと降りる長い階段とエスカレーター。利用していると目に飛び込んでくるのが、天井にひしめく無数の緑色のパイプです。初めての人の目には異様な光景に映っても、来慣れた人にはすっかり馴染んでいるよう。一体これは何なのでしょう? 東京都交通局を取材しました。(withnews編集部・朽木誠一郎)
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アート作品「ウエブフレーム」

大江戸線・飯田橋駅の改札を抜けると、すぐに天井にひしめく無数の「緑のパイプ」が確認できる。
大江戸線・飯田橋駅の改札を抜けると、すぐに天井にひしめく無数の「緑のパイプ」が確認できる。 出典: 朝日新聞社
地下鉄大江戸線と言えば、ホームが深くに位置していることで有名。2000年12月に開業​​した飯田橋駅も、地上からホームまでの深さは約32mとなっています。

そんな飯田橋駅の出入口から確認できるのが、天井にひしめく無数の「緑のパイプ」です。緑のパイプは多角的に架構され、網目状になりながら延伸しています。

ところどころにライトも組み込まれていますが、ただの照明にしては大がかりです。一体これは何なのか、大江戸線を運営する東京都交通局に話を聞きました。

そもそも、大江戸線には38駅全駅に、パブリックアートが配置されています。この緑のパイプはその一つで、建築家・渡辺誠さんによる『ウエブフレーム』という作品です。

また、大江戸線の38駅中26駅は公募で選ばれた建築家が設計しており、飯田橋駅を担当しているのが渡辺さんでもあります。

ウエブフレームのデザインは、パイプの組み合わせの角度や分枝といった条件に、空間の広がりなど設計者の意図を加え、コンピュータープログラムが自動作成したもの。

一端はB1階からB6階まで続いており、​​別の一端は地上の換気塔とその土台​​につながる構造。渡辺さんは朝日新聞の取材に、デザインについて「植物の種子が発芽し、水や土を求めて根を伸ばし成長するイメージ」と表現しています。

“根”とされたウエブフレームと対になるように、C3出口地上部にある前述した換気塔は、植物が“葉”を広げたような形です。
C3出口地上部にある換気塔は植物が“葉”を広げたような形。
C3出口地上部にある換気塔は植物が“葉”を広げたような形。 出典: 朝日新聞社
そもそもなぜ、大江戸線には全駅にパブリックアートが配置されているのでしょうか。東京都交通局の広報担当者はこう回答します。

「地下空間の狭隘性と閉塞感を緩和し、乗降客に“ゆとり”や“うるおい”を与えることをコンセプトに設置いたしました」

「深さ」が話題になりがちな大江戸線。地下へ地下へと向かうにあたり、こうした試みなしには、利用客が殺伐とした気持ちになってしまうかもしれません。

地下鉄×アートという取り合わせは、利用者への心遣いから生まれたものということでした。
 

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