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連載

#63 夜廻り猫

3年後の今も…「かわいかったねえ」 夜廻り猫が描く野良猫の〝幸福

野良猫の時から、いつも大喜びで迎えてくれた夫婦の元に…
野良猫の時から、いつも大喜びで迎えてくれた夫婦の元に…

目次

野良として生きてきた猫がたびたび訪れていた夫婦の一軒家。いつも大喜びで出迎えてくれ、ついに「あの家の飼い猫になる」と決心しました。しかし3カ月後、夫婦が涙に暮れていて……。「ハガネの女」「カンナさーん!」などで知られ、ツイッターで「夜廻り猫」を発表してきた漫画家の深谷かほるさんが「幸福」を描きました。

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愛された元野良猫 夫婦の元で幸せだった

きょうも夜の街を回ろうとしていた猫の遠藤平蔵。ある野良猫が「やあ夜廻り猫」と声をかけてきました。

野良として誇りを持って生きてきたという野良猫。しかし「あそこの家が食べ物くれるんだ。行くと毎度、夫婦で大喜びしてくれてさ。まいったよ」と苦笑します。

そこで野良猫は決意しました。「あの家の飼い猫になる」。遠藤は「そうか、良かったな。達者でな」と送り出します。

しかし3カ月後、遠藤は夫婦の家から涙の匂いをかぎ取ります。

「私のせいだ ごめんねごめんね」「俺があのとき、セカンドオピニオンをとっていたら…」

元野良猫の亡きがらのそばで、夫婦が泣き崩れていたのでした。

気落ちした夫婦に、遠藤は「元々無傷ではなかったはず、野良猫を保護したら上出来です おまいさん方がいてこいつは幸せだ……」と語りかけます。

それでも、3年後も夫婦は「かわいかったねぇ」と言って、写真の前におやつをそなえて涙ぐんでいます。

思わず遠藤は、夜空に向かって「おまいさんは愛されてるぞ ずっとずっと愛されているぞーーーー」と叫ぶのでした。

悲しむのは、愛情があるから

これまで保護した猫を家族として迎えてきた作者の深谷さん。

「動物の家族がいなくなった時、仕事も何もかも手につかなくなって探し続ける人がいます。動物の家族が病気になった時、病院に通い、お金も睡眠時間も傾けて看病する人がいます」と思いをはせます。

「亡くなった時に立ち直れない人もいます。何もお役に立てず、かける言葉もないのですが……。大変に気の毒に思うのと同時に、大変に慰められる思いがします。悲しむ人には大きな愛情があるからですよね」

【マンガ「夜廻り猫」】
猫の遠藤平蔵が、心で泣いている人や動物たちの匂いをキャッチし、話を聞くマンガ「夜廻(まわ)り猫」。
泣いているひとたちは、病気を抱えていたり、離婚したばかりだったり、新しい家族にどう溶け込んでいいか分からなかったり、幸せを分けてあげられないと悩んでいたり…。
そんな悩みに、遠藤たちはそっと寄り添います。遠藤とともに夜廻りするのは、片目の子猫「重郎」。ツイッター上では、「遠藤、自分のところにも来てほしい」といった声が寄せられ、人気が広がっています。

     ◇

深谷かほる(ふかや・かおる) 漫画家。1962年、福島生まれ。代表作に「ハガネの女」「エデンの東北」など。2015年10月から、ツイッター(@fukaya91)で漫画「夜廻り猫」を発表し始めた。第21回手塚治虫文化賞・短編賞を受賞、単行本8巻(講談社)が2021年11月22日に発売予定。

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