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「先生、自由ってなんですか?」水族館が〝挑戦的な広告〟出した理由

SNSで話題になった8つのキャッチコピー

「先生。自由ってなんですか?」。すみだ水族館と京都水族館で行われた、子どもの「自由研究」をサポートする企画の広告
「先生。自由ってなんですか?」。すみだ水族館と京都水族館で行われた、子どもの「自由研究」をサポートする企画の広告 出典: 京都水族館提供

目次

「先生。自由ってなんですか?」。そう問いかけるポスターを街で見かけました。実は、夏休みの子どもの自由研究にまつわる広告で、水族館が自由研究をサポートしてくれるのだといいます。本来、何でも自由にできるはずの自由研究ですが、「何をやればいいのか」「自由って何」と悩む子どもは少なくありません。いったいどんな企画なのか。東京スカイツリータウンにある、すみだ水族館を訪ねました。

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子どもの関心、ぴんとこなかったけど…

「これが昨日ここで産まれたクラゲの赤ちゃんです」

8月のある日。すみだ水族館が行う自由研究のサポート企画に、ひと組の親子が参加していました。東京都に住む小学2年生のえまさん(7)とその母(34)です。昨年は夏休みが短かったせいか、自由研究が宿題になったのは今年が初めてだといいます。

「自由と言われても漠然としていて、娘と何をしたらいいかわからなくて」。テーマを探そうとふたりで博物館を巡り、母がえまさんに「何に興味がある?」と尋ねても、ぴんとくるものはなかったといいます。

そんな中、普段から訪れているすみだ水族館のサポート企画を見かけました。「先生。自由ってなんですか?」がキャッチコピー。さらにサイトを見るとこう続きます。「自由って『好きなこと』って意味なんだ」

「これだ!」と直感した母は、早速応募し、娘がクラゲ好きであることを伝えました。

クラゲの観察をするえまさん=すみだ水族館
クラゲの観察をするえまさん=すみだ水族館

クラゲの工作と成長レポートを作ることを目標に設定。水族館を訪れた当日は、90分間飼育員が付き添い、クラゲの解説をして回ってくれました。
 
「大好きなクラゲのことを知り、ごはんもあげられて楽しかった」とえまさん。熱心にメモを取っていた母も「夏休みの宿題って親も結構大変なんだなと思っていましたが、これでいい研究ができそう」と満足そうでした。

入館料も参加料もゼロ…なぜ?

入館料も、参加料もかからないこの企画。水族館が企画したのはなぜなのでしょうか。

企画広報チームの大橋諒さんは、「コロナ禍で、子どもたちの自然や生き物に触れる機会が減っています。そんな時だからこそ、自由研究をサポートし、一緒に課題を解決することで、好奇心を育む機会を提供したいと考えました」と話します。

さらに「より水族館のファンになってもらうとともに、来たことのない方にも興味を持つきっかけにしてもらいたい」という思いもあったといいます。

そしてできたのが、「自由ってなんですか?」のキャッチコピー。系列の京都水族館と合わせると8種類あり、SNSでも話題になりました。

・先生。自由ってなんですか?

・先生。自由がこわいです。

・先生。自由にルールはありますか?

・先生。自由とか言われても。

・先生。自由ってドキドキするね。

・先生。おとなに自由はあるの?

・先生。自由を探しています。

・I like freedom.And you? Yes,I do!

どんな発想にも全力で答えたい

「近年、自由研究の『自由』の範囲がわかりにくく、研究テーマが固定化する傾向にあると聞きました。それにより、小学生のみなさんが本当に興味のあることを自由に研究することが難しくなっていると考えたのです」と大橋さん。

「自由」という名前を持ちながら、本当に自由なのか、どこまで自由でいいのか……。テーマ設定が難しい点に焦点をあて、子どもたちの素朴な疑問を、子ども目線の言葉でコピー化したといいます。「水族館として、どんな自由な発想にも全力でお答えしたい。そんな気持ちを込めた企画です」と大橋さんは話しています。

えまさんがメモしたクラゲの様子=すみだ水族館
えまさんがメモしたクラゲの様子=すみだ水族館

企画は1回1組限定で、用意した15回分はすぐに定員に達したそうです。

「自由研究」という名前でありながらも、「何をすればいいんだろう」「これくらいはやらなくちゃ」といった戸惑いや不自由さを感じる子どもたち。

大人である私も、「自由って何?」という真正面からの問いに、明確な答えを持ち合わせていませんでした。

だからこそ、どきっとさせられるキャッチコピーだったのかもしれません。

■今年の自由研究、お寄せください
この夏、どんな自由研究をしましたか? 面白かったもの、苦労したもの、ギリギリでやったものーー。
テーマや内容、経験談をぜひお寄せください。連絡先を明記の上、msta@asahi.com まで。
いただいた内容は、記事で紹介させていただくことがあります。

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