ネットの話題
上越新幹線パスケースが「センスのかたまり」ネットで驚嘆の声
ラストラン前、鉄道ファンに伝えたかったこと
今秋に定期運行を終了する、上越新幹線の2階建て車両「E4系」。引退を記念し、JR東日本が発売したパスケースのデザインが、ツイッター上で話題を集めています。往年のファンに対する感謝を、粋な形で伝える仕掛けが施されているのです。アイテムに込めた思いについて、同社に聞きました。(withnews編集部・神戸郁人)
E4系は1997年12月、東北新幹線で営業運転を開始しました。8両編成時は817人、16両編成時は1634人乗ることができ、高速列車としては世界最大の定員数です。現在は、東京と新潟を結ぶ上越新幹線の「Max編成」で使われています。
国内唯一となる、2階建て新幹線の現役車両であり、鉄道好きの心をくすぐってきた経緯も。しかし高速化の波を受け、JR東日本は17年、新型車両への置き換えを決定。今年10月1日をもって、定期運行を終える予定になっています。
反響を呼んでいるのは、引退に先立ち、今年7月17日に発売された「アクリルパスケース」です。E4系の車両側面がモデルで、新潟・佐渡に生息する鳥類トキのイラストと、「Thank you! Max!」などのロゴがあしらわれています。
販売開始からほどなくして、ツイッター上に、商品の関連情報が出回り始めました。特によく拡散されたのが、同社の交通系ICカード「Suica」を、パスケース内に差し入れた際の様子を写した画像です。
ドアの窓枠部分を見ると、Suicaの表面に描かれたペンギンが、ひょっこり顔を出しています。旅立ちの一場面を思わせる構図に、「センスのかたまり」「可愛すぎるので買いたい」といった声が、タイムライン上を飛び交いました。
人々のポジティブな感情を刺激したアイテムは、どのようにして生まれたのでしょうか? JR東日本新潟支社の担当者を取材しました。
パスケースはアクリル製で、縦6センチ、横11センチ。Suicaなど非接触型ICカードの利用を想定しています。そのほか、より厚みがある板状のものも、挿入できるといいます。
E4系は「老若男女、年齢を問わず、幅広い層に人気の新幹線」(担当者)です。そこで、これまでの「ありがとう」の気持ちを形に残したいと、商品の開発に至りました。
Suicaと組み合わせて楽しめる仕掛けは、「製造元との遊び心から生まれた」とのこと。偶然の産物ではなく、ユーザーに面白がってほしい、との気持ちがこもった機能なのだそうです。
そしてSNS上の反響については喜びつつ、「お一人おひとりが笑顔になれる使い方を望んでいます」と回答。その上で「一人でも多くの方々にご利用頂きたい。これからも、お客様が楽しめる商品開発を行って参ります」としました。
JR東日本はパスケースに加え、ラストラン仕様のロゴ入りパーカーや、スポーツタオルなどのグッズも販売中です。また特設ウェブサイトでは、同社新潟支社公式インスタグラム上で募集中の、Max編成にまつわる思い出話の紹介コーナーを、7月28日に開設します。
E4系引退に向け、惜別の念を募らせる人々に対し、担当者は次のように話しました。
「SNS上を中心に、各種取り組みに関心を寄せて頂き、大変うれしく感じています。今後も様々な施策を実施し、多くのお客さまに、定期運行ラストランまでお楽しみ頂ければと思っております」
パスケースは、上越新幹線が停車する12駅構内の一部NewDaysと、NewDays KIOSKなどで購入可能です。それ以外の関連商品の取り扱い状況に関しては、同社のプレスリリースをご参照ください。
【関連リンク】E4系引退記念の特設ウェブサイト
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