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#98 #父親のモヤモヤ

子育てする父親「仕事ができない」と焦るわけ 男性を縛る「らしさ」

写真はイメージです(PIXTA)
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目次

#父親のモヤモヤ
※クリックすると特集ページ(朝日新聞デジタル)に移ります。

子育てに追われながら「仕事ができない」と焦る時、物差しにしているのはどんな価値観でしょうか? 子育て世代が抱きがちなこの葛藤について、専門家が解きほぐしました。
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「らしさ」の規範、どうやって

仕事と家庭の両立などに葛藤する男性の姿を描く「#父親のモヤモヤ」企画と、九州朝日放送(KBC)のラジオ番組「小林徹夫のアサデス。ラジオ」では昨年6月から月1回、コラボ放送をしてきました。最終回となった3月の放送は「男らしさ」がテーマでした。

番組には、国学院大学准教授で哲学が専門の小手川正二郎さんが電話出演しました。

著書の『現実を解きほぐすための哲学』(トランスビュー)では、「男らしさ」についても考察しています。

コーナーの冒頭で、一児の母親でもある山﨑萌絵アナウンサーが「息子が泣くと、『男だから泣かないの』と言っちゃいます。『強くあってほしい』という思いが、心の底にあるんだと思います」と切り出しました。

まずは「男らしさ」「女らしさ」がどのように浸透してくのかについて話しました。

小手川さんは「赤ちゃんの時から、性別によって、服の色が決められたり、『君』『ちゃん』と分けられたりします。テレビや友達などを通して、知らぬ間に規範を身につけてしまいます」と指摘しました。

山﨑アナは、大人になってからもそうした規範の浸透は続くと水を向けました。

「レストランだと会計が男性に持っていかれるとか、電車で女性が足を開くとみっともないと言われたりとかしますね」(小手川さん)

国学院大学准教授の小手川正二郎さん
国学院大学准教授の小手川正二郎さん

子育てとの両立、焦るわけ

「仕事ができない」という焦りに話が及んだのは、この後です。

小手川さんは、一児の父親でもあります。共働きの妻と仕事と家庭をやりくりしていますが、こんな気持ちを吐露しました。

「子どもが生まれて2、3カ月は何もできなくて、仕事ができない自分に焦りを感じて、精神的に追い詰められました」

そしてこう続けました。

「職場の評価基準が内面化されている人は多いと思います」

仕事の内容ではなく、働いた時間で評価されるのではないか。

そう思う働き手は少なくないでしょう。

山﨑アナも「会社によっては、時間で評価されます」と話します。

自分自身の働き方や満足感もそうした尺度が基準となり、時間的な制約があると焦りを覚えるというのです。

KBCラジオ「小林徹夫のアサデス。ラジオ」のパーソナリティー・小林徹夫さん(左)と、#父親のモヤモヤとのコラボ企画を担当する山﨑萌絵アナウンサー(右)=KBCラジオ提供
KBCラジオ「小林徹夫のアサデス。ラジオ」のパーソナリティー・小林徹夫さん(左)と、#父親のモヤモヤとのコラボ企画を担当する山﨑萌絵アナウンサー(右)=KBCラジオ提供

男性を縛る「男らしさ」

こうした内面化は、男性に限った話ではありません。

ただ、一般に「仕事をしてお金を稼ぐ」も男らしさの一つとみられている、と小手川さんは話します。

仕事の評価基準を内面化したり、それを言い訳にして家事や育児を担おうとしなかったりするのは、男性にその傾向が強いのかもしれない、とみています。

小手川さんはさらに、「パートナーの方が収入が多いことに情けなさを感じてしまうとか、デートの時にリードできないと恥ずかしいとか、ネガティブな見方が『男らしさ』として男性を縛っています」と指摘。

「個人の価値観は、職場の価値観、社会の価値観とつながっているので、連動して問題化する必要があると思います」と結びました。

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記事の感想や体験談を募ります。いずれも連絡先を明記のうえ、メール(seikatsu@asahi.com)で、朝日新聞文化くらし報道部「父親のモヤモヤ」係へお寄せください。
 

共働き世帯が増え、家事や育児を分かち合うようになり、「父親」もまた、モヤモヤすることがあります。それらを語り、変えようとすることは、誰にとっても生きやすい社会づくりにつながると思い、この企画は始まりました。あなたのモヤモヤ、聞かせてください。
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