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連載

#58 コミチ漫画コラボ

「家事も育児もできない」つわり苦しむ妻 子育ての始まり考える漫画

妊娠中から赤ちゃんを育てていた母親。生まれた後のことばかりを考えていた父親。子育てはいつから始まるのだろう。

ちえむ(Chiem)さんの「子育ての始まりは。」
ちえむ(Chiem)さんの「子育ての始まりは。」 出典: コミチ

目次

妊娠中から赤ちゃんを育てていた母親。生まれた後のことばかりを考えていた父親。子育てはいつから始まるのだろうーー。マンガ投稿サービスを運営する「コミチ」とwithnewsがコラボし、「#わたしの初めての子育て」をテーマに作品を募集した企画で、ちえむ(Chiem)さんの「子育ての始まりは。」が大賞に決まりました。男女の意識の違いを考えさせられる作品です。
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【#父親のモヤモヤが書籍に】
多くの父親の葛藤に耳を傾けてきた連載「#父親のモヤモヤ」が『妻に言えない夫の本音 仕事と子育てをめぐる葛藤の正体』というタイトルで、朝日新書(朝日新聞出版)から10月13日に発売されました。

「イクメン」の誕生から10年。男性の育児が促される一方、葛藤を打ち明けられずに孤立する父親たち。直面する困難を検証し、子育てがしやすい社会のあり方を考える一冊です。詳細はコチラから。

「子育ての始まりは。」

「僕は今父親になろうとしている」。漫画は、陣痛のシーンから始まります。まもなく迎える、父親になる瞬間。しかし、自分よりもはるか前から、妻は母親になっていました。

ちえむ(Chiem)さんの「子育ての始まりは。」
ちえむ(Chiem)さんの「子育ての始まりは。」 出典:コミチ

妊娠初期、「元気な子を産んでね!」と無邪気に笑う夫。「子育ての準備で心が躍る」日々を想像していましたが、現実はそればかりではありません。

ちえむ(Chiem)さんの「子育ての始まりは。」
ちえむ(Chiem)さんの「子育ての始まりは。」 出典:コミチ

つわりに苦しむ妻は料理のにおいに吐き気を覚え、食卓から温かいご飯が消えていきました。

ちえむ(Chiem)さんの「子育ての始まりは。」
ちえむ(Chiem)さんの「子育ての始まりは。」 出典:コミチ

安定期に入り、体調が良くなってきた妻。温かいご飯が戻ってきて、一緒に映画を見に行けるまでに回復した……と思いきや、音や人混みにも酔ってしまいます。

 

「こんなことなら1人で来たのに…」ーー。

 

ちえむ(Chiem)さんの「子育ての始まりは。」
ちえむ(Chiem)さんの「子育ての始まりは。」 出典:コミチ

そんな言葉が夫の頭をよぎったところで、妻が口を開きます。

 

「妊娠してから、今までできてたことが何もできない」

「赤ちゃん生まれたらもっと大変っていうのに」

「ちゃんと子育てできるのかな」

そこで初めて、夫は妻が置かれた状況に気付き、伝えました。「いいんだよ」「だって 今までと同じじゃないんだから」

ちえむ(Chiem)さんの「子育ての始まりは。」
ちえむ(Chiem)さんの「子育ての始まりは。」 出典:コミチ

令和なのにその状況?

作者のちえむ(Chiem)さんは「男女の意識の違いに注目した」と話します。きっかけは、Twitterで流れてきた子育てツイートです。家事や育児を協力している夫婦の姿がある一方で、「旦那が協力的ではない」「家事育児の大変さの理解がない」などという愚痴を見て、「令和なのにそんな状況なの!? と驚きました」。Twitterで拾った情報やさまざまな育児マンガを参考に、今回の作品を描き上げたそうです。

ちえむさん自身も2児の親で、漫画には過去の体験も重ねました。15年ほど前に第一子を妊娠した際、3~5ヶ月の初期の頃は常に吐き気に襲われたと言います。ひどいときにはめまいや倦怠(けんたい)感もあり、会社では休み休み仕事をするものの、「家に帰るとぐったりでした」。漫画に描いた「ミナさん(妻)」のように、温かいご飯から立ち上る湯気のにおいでも気分が悪くなっていたそうです。

特に自身と重ねたのは、妻が「何もできない」と落ち込むシーンでした。「妊娠中から子どもが生まれて2、3歳くらいまで、家事や子育てを思うようにできない自分を責めていました。今まで当たり前にできていたことができなくなって、『こうありたい自分』と『できていない自分』のギャップで、気持ちが押しつぶされていたのだと思います」

つわりに悩まされ、できないことが増えていたちえむさんでしたが、そんな姿を見た夫は「できることを協力してくれていた」そうです。「『なんでできないの』と責められなかったことで救われた気持ちがありました」

ちえむ(Chiem)さんの「子育ての始まりは。」
ちえむ(Chiem)さんの「子育ての始まりは。」 出典:コミチ

命を迎える新しい生活様式へ

女性側の変化は、男性が想像できないこともあるかもしれません。ちえむさんは、赤ちゃんが生まれるまでの10ヶ月を、意識を育てていく期間だと考え、「『命を迎える新しい生活様式』の入口にしてほしい」と話します。

漫画の最後に描かれた親子3人の手には、ちえむさんのこだわりが込められています。「手の大きさの違いをクローズアップすることで、男性と比べたときの女性と赤ちゃんの非力さ」を表現しました。「それほどの力の差がありながら出産、赤ちゃんであれば誕生という大事業を乗り越えている偉大さに父親が感動するというシーン」を描いたと言います。

漫画で描いた男女の意識の違いが少しでも縮まることを願い、こう話してくれました。

「『気付いたら赤ちゃんを抱っこしていた』ではなくて、男性も、生まれる前から命を育てているんだという意識でいてくれるといいなと思います」

    ◇

 

【ちえむ(Chiem)さんについて】

ちえむさんのTwitter:@chiem46mfmf

ほのぼの日常まんが「スパダリにゃんこ」

https://comici.jp/users/siromfmf/series/info?id=735

1日1イラスト「挨拶イラスト365」

https://comici.jp/users/siromfmf/series/info?id=856

 

    ◇

 

この記事は朝日新聞・withnewsの企画「#父親のモヤモヤ」と連動しています。

<『妻に言えない夫の本音』刊行イベントを開きます>
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