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連載

#9 漫画「あなたそれでも教師ですか」

「夢なんて無いのが普通じゃない?」キラキラしてない男子を漫画に

同級生に一歩踏み込めない中で考えたのは――。

「あなたそれでも教師ですか」男子くん編
「あなたそれでも教師ですか」男子くん編

目次

画家になる夢を持ちつつ教職に就く主人公と、そこで出会った生徒たちの成長を描くマンガ「あなたそれでも教師ですか」。美術科クラス唯一の男子「男子くん」は、充実した学校生活を送っています。行事を振り返っても不満はないし、将来の夢を語る同級生は「かっこいい」と思うのに、なんだかモヤモヤ。作者で、インスタグラムを中心に作品を発表しているイラストレーターのしろやぎ秋吾さん(@ siroyagishugo)は「不安を感じることが沢山あるいまの時代、子どもがどんなことに希望を持つのだろうと、悩みながら描きました」。男子くんのモヤモヤからは何が見えてくるのでしょうか。
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同級生と楽しく語る男子くん、心の中は

美術科クラス唯一の男子生徒「男子くん」。自席の近くの女子生徒たちと楽しそうにおしゃべりをしながら、心の中で気持ちを語り始めます。

「このクラスに不満があるのかって、もちろんそんなんじゃない」
「最初はそりゃ戸惑ったけど、1年一緒に過ごしてきた訳で」
「男子だからって特別扱いしてくるようなやつはいないし」――。

ここで、前回、副担任の新米先生にも攻撃してきた「おすず」が教室にやってきました。さっそく攻撃を受けますが、男子くんは「このよく分からないノリにだってもう慣れた」。

むしろ「リア充」感

いまの生活に不満こそないけれど、気持ちの盛り上がりを感じられないようにも思う男子くん。

体育祭を振り返り、「体育祭ではそれなりに団結して盛り上がってさ」「他の科にも負けなかった」。
ここでも不満はなさそう。むしろ「リア充」感すらあります。

メイド喫茶でメイド服を着た文化祭を振り返り、「文化祭の喫茶はやってみたら意外と新しい世界が見えたというか、まあ役割は果たせたと思う」。
ここでは「新しい世界」まで見えていて、得たものまで明確です。

ただ、なんだか体温の低い感じは続いています。

同級生はかっこいいのに、「自分はなんでここに」

美術科の授業に真剣に取り組む同級生に対しても、不満は一切出てきません。
「普段アホな奴だけど専門の授業になると急にかっこよくなる」。男子くんは、真剣な眼差しでデッサンする同級生を「かっこいい」と感じています。

同級生が「進学して力つけてデザイナーやりたいんだ」「私は声優になる!!」と夢を語る同級生の話を聞きながら、男子くんは「すげーなー」と返しますが、「将来の夢とか目標をしっかり持っちゃってたりするもんだから、自分は何がやりたいんだろうとか、何でここに来たんだろうとか考えてしまうんだ」。

みんなを、自分を俯瞰している男子くん

不満があるわけではない高校生活だけど、先立つものを見つけられないでいる男子くんの胸中が淡々と描かれています。
体育祭も文化祭も、「振り返れば楽しかったよ、でも――」という気持ちを感じます。

そもそも高校生で将来の夢が明確になっている人は多くはないし、高校生活は輝く瞬間はあれど毎日がキラキラしているわけではない、淡々とした日常のはずです。
高校生のモヤモヤにフォーカスした、等身大の心を表現しているように思える今回。
作者のしろやぎさんに、なぜ男子くんのようなキャラクターが生まれたのかを聞きました。

 【しろやぎさんコメント】

不安を感じることが沢山あるいまの時代、子どもがどんなことに希望を持つのだろうと、悩みながら描きました。

男子くんはクラスで浮いているような存在ではありませんが、性別が違うとかそんな些細な理由で、友達の輪の中にもう一歩踏み込めません。だからか、男子くんはみんなのことも自分のことも俯瞰して見てしまいます。

「美術なんて勉強して何か意味があるんだろうか。みんなが頑張って絵を描いている姿は素敵だけど、上手くなってだからどうなるの?そんな具体的な夢なんて無いのが普通じゃない?なんかカッコ悪いから言わないけど」 ――。

好きで入った高校だけど、モヤモヤした気持ちが募っていく男子くんです。

【次回予告】
部活動の仲間と話す男子くん。より、自分を見つめていきます。
 
          ◇
withnewsでは、しろやぎさんの「あなたそれでも教師ですか」を毎週日曜日に配信予定です。新米くんを軸とした教育現場を描いていく予定です。

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