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連載

#26 #やさしい日本語

「仕事はありません」と言われたら やさしい日本語でわかる労働法

あきらめないでください

やさしい日本語で答える仕事の悩み
やさしい日本語で答える仕事の悩み

目次

日本語(にほんご)にまだ()れていない(ひと)にも、()かりやすい「やさしい日本語(にほんご)」で()きました。
(した)に「ふりがな」を()した(ぶん)があります。


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新型コロナウイルス(coronavirus)のせいで、仕事にも影響が出ています。日本で働く外国人の中には、違法に仕事を減らされたり、クビになったりという相談が増えています。日本人にとっても他人事ではない「内定取り消し」や「雇い止め」……。いざというとき、どうしたらいいのか、若者や外国人の労働相談に乗るNPO「POSSE」と一緒に、誰にでもわかりやすいやさしい日本語で考えていきます。

「仕事を半分にします」と言われました

こんにちは。NPO法人(ほうじん)POSSEの岩橋(いわはし)(まこと)です。POSSEで、日本(にほん)(はたら)外国人(がいこくじん)相談(そうだん)にのっています。

(がつ)新型(しんがた)コロナウィルスについて、たくさんの相談(そうだん)がありました。今日(きょう)は、「お(きゃく)さんが()ったから、今日(きょう)仕事(しごと)はありません」と()われたときに、あなたがどうすればいいかを一緒(いっしょ)(かんが)えます。
悩み


店長(てんちょう)から「仕事(しごと)半分(はんぶん)にします」と()われました

(わたし)留学生(りゅうがくせい)です。日本語(にほんご)学校(がっこう)勉強(べんきょう)をしています。日本(にほん)生活(せいかつ)するお(かね)と、学費(がくひ)(はら)うために、居酒屋(いざかや)でアルバイトをしています。

これまでは1週間(しゅうかん)に4()()わせて20時間(じかん)(はたら)いていて、2(まん)(えん)もらいました。
いつもは、外国人(がいこくじん)のお(きゃく)さんがたくさん()ます。

でも、新型(しんがた)コロナウイルスのせいで、お(きゃく)さんがとても()りました。

昨日(きのう)店長(てんちょう)から「シフトは1週間(しゅうかん)に2()()わせて10時間(じかん)給料(きゅうりょう)は1(まん)(えん))にします」と()われました。
給料(きゅうりょう)半分(はんぶん)になってしまいます。アパートの家賃(やちん)日本語(にほんご)学校(がっこう)学費(がくひ)(はら)うことができません。
(わたし)はどうしたらいいですか。
 

店長から「仕事を休んでください」と言われました(写真はイメージ=PIXTA)
店長から「仕事を休んでください」と言われました(写真はイメージ=PIXTA)

仕事がなくてもお金をもらうことができます

POSSEには、(おな)じような相談(そうだん)がたくさんきています。(とく)に、ホテルや旅館(りょかん)など、外国(がいこく)のお(きゃく)さんが(おお)場所(ばしょ)(はたら)(ひと)(こま)っています。でも、(あきら)めないでください。

もし会社(かいしゃ)が「あなたの仕事(しごと)はなくなりました((やす)んでください)」と()うと、会社(かいしゃ)はそれでもあなたに、その仕事(しごと)をしたときに()()給料(きゅうりょう)をきちんと(はら)わないといけません。
なぜなら、会社(かいしゃ)はあなたとの約束(やくそく)雇用(こよう)契約(けいやく))で、1週間(しゅうかん)に4()仕事(しごと)約束(やくそく)したからです。会社(かいしゃ)があなたとの約束(やくそく)(まも)らずに「(やす)んでください」と()ったのだから、あなたには、もともと約束(やくそく)していた4()(ぶん)給料(きゅうりょう)(2(まん)(えん))を(はら)わないといけません。
これは正社員(せいしゃいん)でも、()正社員(せいしゃいん)でも(おな)です。

ちなみに、日本(にほん)法律(ほうりつ)では、会社(かいしゃ)が「(やす)んでください」と()うと、給料(きゅうりょう)の60パーセントを支払(しはら)うことが()まっています。これは、休業(きゅうぎょう)手当(てあて)()います(労働(ろうどう)基準法(きじゅんほう)26(じょう))。

 

給料(きゅうりょう)(はら)ってください」
 

日本(にほん)法律(ほうりつ)では、会社(かいしゃ)が「(やす)んでください」と()うと、給料(きゅうりょう)の60パーセントを支払(しはら)うことが()まっています。
これは、休業(きゅうぎょう)手当(てあて)()います(労働(ろうどう)基準法(きじゅんほう)26(じょう))。

 

だから会社(かいしゃ)給料(きゅうりょう)の60%を(はら)わないと、違法(いほう)になります。でも、給料(きゅうりょう)を60%もらえるとしても、あなたは生活(せいかつ)できないかもしれません。
そういうとき、あなたは会社(かいしゃ)に「給料(きゅうりょう)全部(ぜんぶ)(100%)(はら)ってください」と(もと)めることができます。
あなたは、会社(かいしゃ)があなたとした約束(やくそく)契約(けいやく))を(まも)ってください、と(もと)めることができるからです。

新型(しんがた)コロナウィルスのせいで、お(きゃく)さんが()っているかもしれません。でも、会社(かいしゃ)仕事(しごと)(シフト)を無理(むり)やり()らすことは(ゆる)されません。それは、(はたら)(ひと)外国人(がいこくじん)でも日本人(にほんじん)でも(おな)です。
給料が減ると、困ります(写真はイメージ=PIXTA)
給料が減ると、困ります(写真はイメージ=PIXTA)

LINEのメッセージは消してはいけません

では、会社(かいしゃ)給料(きゅうりょう)をきちんと(はら)ってもらうためには、どうすればいいでしょうか。

あなたは会社(かいしゃ)があなたの仕事(しごと)()らしたということが()かるもの(証拠(しょうこ))を(のこ)すことが大切(たいせつ)です。あなたがもともと(しゅう)4()(はたら)いていたときの、「シフト(ひょう)」を(のこ)してください。もし、「シフト(ひょう)」がない(ひと)は、いつも、1週間(しゅうかん)何日(なんにち)(はたら)いているかをメモしてください。会社(かいしゃ)があなたに「今日(きょう)はお(やす)みです」と()ったLINEのメッセージなどは()さないでください。

あなたが一人(ひとり)で、店長(てんちょう)に「給料(きゅうりょう)(はら)ってください」と()うのは、不安(ふあん)だと(おも)います。そういうときは、(わたし)たちに相談(そうだん)してください。給料(きゅうりょう)(はら)ってもらうために、あなたをサポートします。会社(かいしゃ)(おく)手紙(てがみ)一緒(いっしょ)(つく)ります。


NPO法人(ほうじん)「POSSE(ポッセ)」はメールで相談(そうだん)できます。日本語(にほんご)英語(えいご)でも大丈夫(だいじょうぶ)です。24時間(じかん)いつでもできます。お(かね)はいりません。supportcenter@npoposse.jp
仕事のシフトやメールを紙に印刷したりメモにしたりして残しておきます(写真はイメージ=PIXTA)
仕事のシフトやメールを紙に印刷したりメモにしたりして残しておきます(写真はイメージ=PIXTA)

周りにいる私たちができること「おかしい?」相談して

POSSE外国人労働サポートセンターには、新型コロナウィルスに関連する労働相談が外国人の方からすでに100件ちかく寄せられています。会社の都合で一方的にシフトが減らされる「シフトカット」に関する相談や、「お客さんが減った」と解雇されてしまったという事案が多く、その結果、ほとんどの人が生活困窮に陥っています。

もともと、最低賃金とほとんど変わらない給料しか受け取っていない外国人労働者は貯蓄することも大変で、少し仕事が減っただけで、すぐに生活苦に陥りやすい状況に置かれています。

「会社を訴えれば余計にお金がかかる」「先行き不安な会社より、別の仕事を探した方が良い」という声もありますが、いまのようにほとんどの経済活動が制限されている場合、代わりを見つけようとしても、なかなか見つけることはできません。その上、宿泊や観光を含めて、インバウンド関係の仕事に就いている外国人が多く、現状では、日本人以上に観光客の減少の影響を受けているのです。

もちろん、このような業界で働く日本人労働者も休業や解雇を命じられて、生活に困窮し、不安定な状況に置かれています。POSSEでは、国籍などを問わず、労働相談を受け付けていますので、そのような状況に置かれているかたは、ぜひご相談ください。

しかし、職場の問題に直面している外国人労働者の多くにとって、言葉の壁や日本の法律や制度について知識がないことなどから、相談すること自体のハードルが日本人以上に高くなってしまっています。ですので、もしまわりに「働き方がおかしい」という外国人の方がいたら、代わりに相談してみてください。状況に応じたアドバイスを差し上げられます。

 

withnewsでは、日本語に慣れていない人でもわかりやすい「やさしい日本語」に取り組んでいます。

社会が混乱したときに、日本で働く誰もが困らないための知識を、NPO法人「POSSE」の岩橋誠さんと、やさしい日本語で発信することにしました。毎週金曜日に配信します。

【NPO法人 POSSE(ポッセ)】
2006年に、大学生や若手社会人が中心となって立ち上げた労働相談・労働教育のNPO。「ブラック企業」や「ブラックアルバイト」など、若者の働くことや生活・奨学金の相談を年間1500件以上受けている。2019年4月に、英語・日本語で対応する「外国人労働サポートセンター」を設置。

POSSEでは学生・社会人ボランティアを募集しています。労働相談の対応から通訳・翻訳など、いろいろな形で外国人労働者の権利を守るための取り組みに関わることができます。 supportcenter@npoposse.jpにご連絡ください。

【機械翻訳用】ふりがな なし

「今日の仕事はありません」と言われたら やさしい日本語でわかる労働法

新型コロナウイルス(coronavirus)のせいで、仕事にも影響が出ています。日本で働く外国人の中には、違法に仕事を減らされたり、クビになったりという相談が増えています。日本人にとっても他人事ではない「内定取り消し」や「雇い止め」……。いざというとき、どうしたらいいのか、若者や外国人の労働相談に乗るNPO「POSSE」と一緒に、誰にでもわかりやすいやさしい日本語で考えていきます。

■「仕事を半分にします」と言われました

こんにちは。NPO法人POSSEの岩橋誠です。POSSEで、日本で働く外国人の相談にのっています。3月は新型コロナウィルスについて、たくさんの相談がありました。今日は、「お客さんが減ったから、今日の仕事はありません」と言われたときに、あなたがどうすればいいかを一緒に考えます。

悩み:店長から「仕事を半分にします」と言われました 〈私は留学生です。日本語学校で勉強をしています。日本で生活するお金と、学費を払うために、居酒屋でアルバイトをしています。これまでは1週間に4日、合わせて20時間働いていて、2万円もらいました。 いつもは、外国人のお客さんがたくさん来ます。でも、新型コロナウイルスのせいで、お客さんがとても減りました。 昨日、店長から「シフトは1週間に2日(合わせて10時間、給料は1万円)にします」と言われました。でも給料は半分になってしまいます。アパートの家賃や日本語学校の学費を払うことができません。私はどうしたらいいですか〉

■仕事がなくてもお金をもらうことができます

POSSEには、同じような相談がたくさんきています。特に、ホテルや旅館など、外国のお客さんが多い場所で働く人が困っています。でも、諦めないでください。 もし会社が「あなたの仕事はなくなりました(休んでください)」と言うと、会社はそれでもあなたに、その仕事をしたときに受け取る給料をきちんと払わないといけません。 なぜなら、会社はあなたとの約束(雇用契約)で、1週間に4日の仕事を約束したからです。会社があなたとの約束を守らずに「休んでください」と言ったのだから、あなたには、もともと約束していた4日分の給料(2万円)を払わないといけません。 これは正社員でも、非正社員でも同じです。
ちなみに、日本の法律では、会社が「休んでください」と言うと、給料の60パーセントを支払うことが決まっています。これは、休業手当と言います(労働基準法26条)。 だから会社は給料の60%を払わないと、違法になります。でも、給料を60%もらえるとしても、あなたは生活できないかもしれません。そういうとき、あなたは会社に「給料を全部(100%)払ってください」と求めることができます。あなたは、会社があなたとした約束(契約)を守ってください、と求めることができるからです。
新型コロナウィルスのせいで、お客さんが減っているかもしれません。でも、会社が仕事(シフト)を無理やり減らすことは許されません。それは、働く人が外国人でも日本人でも同じです。

■LINEのメッセージは消してはいけません

では、会社に給料をきちんと払ってもらうためには、どうすればいいでしょうか。 あなたは会社があなたの仕事を減らしたということが分かるもの(証拠)を残すことが大切です。あなたがもともと週4日働いていたときの、「シフト表」を残してください。もし、「シフト表」がない人は、いつも、1週間に何日働いているかをメモしてください。会社があなたに「今日はお休みです」と言ったLINEのメッセージなどは消さないでください。 あなたが一人で、店長に「給料を払ってください」と言うのは、不安だと思います。そういうときは、私たちに相談してください。給料を払ってもらうために、あなたをサポートします。会社に送る手紙を一緒に作ります。
〈NPO法人「POSSE(ポッセ)」はメールで相談できます。 日本語、英語でも大丈夫です。24時間いつでもできます。お金はいりません。supportcenter@npoposse.jp〉

■「働き方がおかしい?」代わりに相談して

POSSE外国人労働サポートセンターには、新型コロナウィルスに関連する労働相談が外国人の方からすでに100件ちかく寄せられています。会社の都合で一方的にシフトが減らされる「シフトカット」に関する相談や、「お客さんが減った」と解雇されてしまったという事案が多く、その結果、ほとんどの人が生活困窮に陥っています。 もともと、最低賃金とほとんど変わらない給料しか受け取っていない外国人労働者は貯蓄することも大変で、少し仕事が減っただけで、すぐに生活苦に陥りやすい状況に置かれています。
「会社を訴えれば余計にお金がかかる」「先行き不安な会社より、別の仕事を探した方が良い」という声もありますが、いまのようにほとんどの経済活動が制限されている場合、代わりを見つけようとしても、なかなか見つけることはできません。その上、宿泊や観光を含めて、インバウンド関係の仕事に就いている外国人が多く、現状では、日本人以上に観光客の減少の影響を受けているのです。 もちろん、このような業界で働く日本人労働者も休業や解雇を命じられて、生活に困窮し、不安定な状況に置かれています。POSSEでは、国籍などを問わず、労働相談を受け付けていますので、そのような状況に置かれているかたは、ぜひご相談ください。
しかし、職場の問題に直面している外国人労働者の多くにとって、言葉の壁や日本の法律や制度について知識がないことなどから、相談すること自体のハードルが日本人以上に高くなってしまっています。ですので、もしまわりに「働き方がおかしい」という外国人の方がいたら、代わりに相談してみてください。状況に応じたアドバイスを差し上げられます。

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