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#12 ○○の世論
夫婦別姓、安倍首相が「孤立」? 自民支持層が示した「意思表示」
夫婦が同じ名字か、別々の名字かを選べるようにする「選択的夫婦別姓」。国会でのヤジをきっかけに、この制度に脚光が当たっています。朝日新聞の世論調査をみると、「保守的」とされる安倍首相の支持層にも、変化の兆しがあるようです。(朝日新聞記者・磯部佳孝)
国会でのヤジが取りざたされる中、実施された朝日新聞の最新の世論調査で選択的夫婦別姓について聞くと、賛成が反対を大きく上回りました。
第2次安倍政権では、調査方法などが異なるものの、選択的夫婦別姓について5回尋ねており、次のような結果となっています。
この間、男性と女性の意識の違いもみられました。
男性とくらべて結婚後に名字を変えることの多い女性のほうが、選択的夫婦別姓の導入により前向きなことがわかります。
結婚した後に、自分の名前をどうするか。日本の民法は次のように定めています。
民法第750条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。
この「夫婦同姓」の規定について、東京都内の事実婚の夫婦ら5人が2011年、憲法の「法の下の平等」などに反するとして提訴。国会が法改正を長年放置したため精神的苦痛を受けたとして、損害賠償を求めました。
最高裁判所は2015年12月、夫婦同姓の制度について「社会に定着しており、家族の姓を一つに定めることには合理性がある」と指摘し、どちらの姓を選ぶかは当事者に委ねられており、性差別には当たらないと判断しました。
最高裁判決の後も、夫婦同姓を違憲だと訴える裁判は全国各地で起きていますが、安倍政権は「伝統的な家族が壊れる」といった保守派の反対論に配慮し、選択的夫婦別姓の導入に後ろ向きです。
そんな中、第2次安倍政権下の5回の世論調査結果を分析すると、安倍首相の支持基盤といえる内閣支持層、自民支持層の意識も変わりつつあるようです。
2016年調査で内閣支持層、自民支持層ともに反対が過半数を占めていたのに対し、17年調査で賛成が反対を上回り、今回の調査では賛成が反対を大きく引き離す形となっています。
2015年の最高裁判決は夫婦同姓を合憲としつつ、この判決が「選択的夫婦別姓が合理性がない、と判断したのではない」とも述べ、「この種の制度のあり方は国会で論じ、判断するものだ」と国会での議論を求めました。
司法からの要請に対し、各党はどう受け止めたのでしょうか。
2019年の参院選で、公明党、立憲民主党、国民民主党、共産党、社民党は選択的夫婦別姓の導入を公約に明記し、日本維新の会は別姓の実現を主張。これに対し自民党は「旧姓の幅広い使用を認める取り組みを進める」としてマイナンバーカードなどへの旧姓併記を例示するにとどめました。
そんな中、1月に始まった通常国会。国民民主党の玉木雄一郎代表が、衆院代表質問で選択的夫婦別姓の導入を主張していたところ、「それなら結婚しなくていい」というヤジが本会議場で飛んだのです。
いったい誰のヤジなのか。国民民主党側は自民党の杉田水脈・衆院議員がヤジを飛ばしたと指摘しましたが、誰がヤジを飛ばしたのかは特定されないままです。
そんな中、自民党と連立を組む与党・公明党の山口那津男代表は1月28日の記者会見で、選択的夫婦別姓について「いまは一人っ子同士が婚姻をする場合も多い。女性も自らの姓を受け継ぐのが自分1人だとすれば、(選択的夫婦別姓を)実現できる制度的な道を開いてほしい」と述べました。
さらに山口氏は、選択的夫婦別姓への反対派を抱える自民党に対し、「なぜこうしたことが求められるのかとの時代的な背景をよく直視してほしい。社会の現実をきちんと直視をして制度化を実現するべきだ」と発言しています。
衆院予算委員会でも論戦となっています。
「希望する人だけ、選択して自分の元々の名字を名乗る。これのどこが、総理、納得がいかないのですか」
野党第1党・立憲民主党の大河原雅子・衆院議員は2月4日、安倍首相にこう問いかけました。
安倍首相は2017年の内閣府調査を引きながら、「国民の中には夫婦の氏が異なることにより、子への悪影響が生じることを懸念する方も相当数いるものと認識している」と、選択的夫婦別姓への反対論を紹介。そのうえで、「我が国の家族のあり方に深く関わる事柄であり、国民の間にさまざまな意見があることから、引き続き国民各層の意見を幅広く聞くとともに、国会における議論の動向を注視しながら、慎重に対応を検討して参りたいと考えております」と従来の姿勢を崩しませんでした。
これに対し、大河原氏はこう指摘しました。
「孤立しているのは、総理だけなんです。世界中で孤立しているのは、日本だけになりました」
与党・公明党や野党だけでなく、国民各層の世論に、安倍首相をはじめ自民党はこれからどう向き合っていくのでしょうか。
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