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連載

#41 夜廻り猫

ママ友から「フルで働いてるってことは対等?」 夜廻り猫が描く結婚

目次

ベンチでひとり、考え事をしていた女性。「妻が稼ぐといじけてしまう人もいるのよ 結婚って難しい」――。「ハガネの女」「カンナさーん!」などで知られ、ツイッターで「夜廻り猫」を発表してきた漫画家の深谷かほるさんが「結婚」を描きました。

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妻が稼ぐと「いじけてしまう人もいるのよ」

きょうも街を夜周り中の猫の遠藤平蔵。心の涙の匂いをかぎつけ、ベンチでひとり考え事をしていた女性に声をかけました。

女性は、子どもの小学校のママ友から、こんなことを言われたと語り出します。

「お仕事フルで続けてるんだ 頑張ってるねー ご主人とも対等でしょ?」

ママ友は、結婚してから夫に「一家を養う重さがお前に分かるか」と言われるようになったといいます。

女性は、遠藤に「うちは私の方が収入は多いの でも、うまくいったかというと…」と言葉を濁します。

長男の送り迎えを頼めば「俺は暇だっていうのか」と言われ、「私が仕事やめようか?」と持ちかけると「いい身分だな」と言われ……。

「妻が稼ぐといじけてしまう人もいるのよ 結婚は難しい」とつぶやきます。

子どもがいるからとためらっていましたが、「10年頑張ったんだから…離婚を自分に許そうと思うの」。そう遠藤に告げ、女性は去っていきます。

遠藤は「いつか心から笑えますように」と祈りながら、女性の背中を見送るのでした。

「自分のお金がないと一人前じゃない」、でも……

作者の深谷さんは、離婚してシングルマザーとして子どもを育ててきました。

専業主婦の友人から「主婦になったら夫に『楽をしてる』と言われた。堂々と使えるお金もなくなった。結局、自分のお金がないと一人前ではいられない」と悩みを打ち明けられたことがあるそうです。

一方で、夫よりも稼いでいる女性たちが「夫がいじける」「怠ける」「当たられる」と語っていたこともあるといいます。

「どの立場もわかる気はするんです。でも、せっかくパートナーがいるなら、互いに大事にしてほしいなと思います」

【マンガ「夜廻り猫」】
猫の遠藤平蔵が、心で泣いている人や動物たちの匂いをキャッチし、話を聞くマンガ「夜廻(まわ)り猫」。
泣いているひとたちは、病気を抱えていたり、離婚したばかりだったり、新しい家族にどう溶け込んでいいか分からなかったり、幸せを分けてあげられないと悩んでいたり…。
そんな悩みに、遠藤たちはそっと寄り添います。
遠藤とともに夜廻りするのは、片目の子猫「重郎」。姑獲鳥(こかくちょう)に襲われ、けがをしていたところを遠藤たちが助けました。
ツイッター上では、「遠藤、自分のところにも来てほしい」といった声が寄せられ、人気が広がっています。

     ◇

深谷かほる(ふかや・かおる) 漫画家。1962年、福島生まれ。代表作に「ハガネの女」「エデンの東北」など。2015年10月から、ツイッター(@fukaya91)で漫画「夜廻り猫」を発表し始めた。第21回手塚治虫文化賞・短編賞を受賞。単行本6巻(講談社)が11月22日に発売された。

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