連載
#27 #まぜこぜ世界へのカケハシ
「見せ物小屋へようこそ」舞台で言い放った車いす芸人が思う「理解」
今年、活動開始から25周年を迎えた、車いす芸人のホーキング青山さん。早口でまくしたてる毒舌が評判となり、芸能界の大御所・ビートたけしさんにも絶賛されました。これまでの体験から感じるのは、見かけにとらわれず、目の前にいる人を理解することの大切さだといいます。人気ユーチューバーのよききさんと、コミュニケーションを豊かにする方法について語らいました。(withnews編集部・神戸郁人)
青山さんは手足の関節が発達せず、変形し動かない「先天性多発性関節拘縮症」の当事者です。普段は電動車いすで生活しています。幼少期からお笑いが大好きで、東京都内の小劇場に通いつめました。そのことがきっかけで、芸能事務所主催のライブに出演するようになったそうです。
一方、メイク動画などを配信し、女性からの人気が高いよききさん。青山さんとは、withnewsのYouTubeチャンネル「withよきき」の収録で初対面しました。
収録は、青山さんによる持ちネタの披露から始まりました。
「高校時代、待ち合わせをしていると、突然知らないおばさんに胸ぐらをつかまれて。殴られることを覚悟したら、『何も言わず持って行って!』と、なぜか千円札を手渡され大喜びしました。一万円ならもっとよかったね」
止まらないマシンガントークに、会場が爆笑に包まれます。
しかし、デビューした頃は全く違う状況だったそうです。障害者が人前に出るということが、今ほど一般的ではなかった時代。青山さんが初舞台を踏んだとき、客席からは全く拍手が起きなかったといいます。
「車いすの人が登場することへの驚きを感じましたね。日本一やりにくいデビュー戦だったんじゃないかな(笑)。たまらず、『見せ物小屋へようこそ』と言ったんです。これが大ウケした。お客さんも『笑っていいんだ』と安心してくれたんでしょうね」
青山さんは、そう振り返ります。
次に、障害がある人との関わり方が話題に上がりました。親戚が車いすを使っているという、よききさんが語ります。
この日、青山さんには、よききさんに尋ねたいことがありました。ルックスに関する悩みの解消法です。
青山さんは、この言葉にうなずきつつも、ヒントを得たそうな表情です。よききさんは「まず僕と同じ髪形にしてみましょう。きっと可愛くなると思いますよ!」と語りかけ、観客の笑いを誘っていました。
ともにエンターテイナーとして活躍する、青山さんとよききさん。二人のやり取りは、様々な「違い」を軽やかに飛び越える力にあふれていました。
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