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「失禁体験」できる音楽フェスが目指す社会 豪華出演陣集めた狙い

過去のイベントでの「失禁体験」
過去のイベントでの「失禁体験」

目次

車いすでアイドル活動をする猪狩ともかさん擁する「仮面女子」ら20組以上のアーティストが集まる音楽イベントが11月に予定されています。このイベント、ただの音楽イベントではありません。会場では「失禁体験」ができたり、車椅子がドリフトしたり…。謎に満ちたカオスなイベントの主催者に、話を聞きました。

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「もう、洗脳レベルっす」

イベントは「SOCiAL FUNK!」。DJやラッパーを招いた音楽イベントとして2010年から開催されています。このイベントの特徴は、ただ音楽を楽しむだけではなく、認知症やがん、臓器移植など、医療や福祉の要素があるテーマを毎年設け、同じ会場内でテーマにそった体験ブースやトークイベントなどが展開されることです。
イベントを主催するNPO法人Ubdobe代表理事の岡勇樹さんによると、そもそも、「SOCiAL FUNK!」を開催する理由は、「まじめで堅い医療福祉の情報に対するハードルを下げたい」(岡さん)という狙いがあります。
「クラブイベントのていをとって、医療福祉のコンテンツを練り込む手法をとっている」と話す岡さんは、イベントに来た人たちが、実家に帰った時に、「母ちゃん、体調どう?」という言葉を何げなく聞けるようになることを目指したいのだといいます。「もう洗脳レベルっす(笑)」。

イベントについて語る岡勇樹さん
イベントについて語る岡勇樹さん

「じゃあ対策練ろうよ」につながる感覚

今年のテーマは「芸術と人間科学」。
岡さんは「これまでのテーマは医療福祉色が強すぎて、一般に届けられていないと感じていた。『人間科学』は、すべての医療福祉を内包する言葉で、広く捉えることができる」と言います。

11月のイベントでは、電気通信大学による「失禁体験」のアトラクションコーナーも設置します。
「失禁っていうと、『うわ、汚い』と思ってしまうかも知れないけど、排泄行為が当たり前にできないという当事者の感覚を体験してもらいたい」と岡さんは話します。
「たとえば自分の家族がオムツをはくようになったとき、その感覚を知っていたら『いやなの?じゃあ対策練ろうよ』と声掛けをし、イベントでの体験が発展していく」

「SOCiAL FUNK!」のイベントポスター
「SOCiAL FUNK!」のイベントポスター

触れあうことで写真が撮れる「ヒューマンカメラ」

また、アーティストのエリック・シュウさんによる「ヒューマンカメラ『TOUCHY』」も体験できます。岡さんによると、TOUCHYは、カメラの原理を利用したヘルメット型の機械で、人体同士が触れ合うまでは、シャッターが閉じた状態、つまり目が見えない状態です。ところが、人と触れ合うことでシャッターが開き、「見える」状態になり、実際に写真を撮ることもできます。コミュニケーションを生むことができるコンテンツです。

そのほかにも、「新しいスポーツをつくる」(岡さん)目的で、「超人スポーツ協会」による「ドリフト車椅子Slide Rift」なども用意されています。

ヒューマンカメラ「TOUCHY」=TOUCHY提供、角田華子撮影
ヒューマンカメラ「TOUCHY」=TOUCHY提供、角田華子撮影

「まじすげえ」仮面女子の猪狩さん

出演アーティストはヒップホップユニット「BUDDHA BRAND」や、ラッパーでラジオ番組のナビゲーターとしても活躍する「あっこゴリラ」、自閉症であることを公表しているラッパー「GOMESS」らが出演。重傷を負った事故後も車いすで活動を続けるアイドル・猪狩ともかさん擁する「仮面女子」も出演します。
「一般に、障害がある人に対して声をかけにくいと思う人もいると思うけど、猪狩さん含め、出演者全員、ただただ『まじすげえ。めちゃくちゃやべえ』という感覚になる」と話します。

他にも、トークイベントには、俳優・監督で実業家の伊勢谷友介さんや、女装パフォーマーでライターのブルボンヌさん、NPO法人東京レインボープライド共同代表の杉山文野さん、日本うんこ学会会長の石井洋介さんらが登壇します。

岡さんは、「このイベントの目的は、医療福祉情報のカジュアル化ではあるけど、それを実生活のコミュニケーションに落とし込めることまでを目指したい」と話しています。

2017年の「SOCiAL FUNK!」 出典: Ubdobeのyoutubeチャンネル

医療福祉は生活の延長なのに

今年の「SOCiAL FUNK!」のゲストが発表され、私はまず、「すごい豪華!」と素直にテンションが上がりました。ただ、正直なところ、「これだけの出演者を集めた分、特に医療福祉に関心のない人が会場に来ることも予想されるなあ」と、そのときは、それを「マイナス」に捉えました。

しかし、取材中、岡さんはイベントに来た人が医療福祉に関心を持つことを冗談交じりに「洗脳」という言葉で表現しました。
自然に来た空間に、自然に医療福祉のコンテンツがあるのが、「SOCiAL FUNK!」であり、だからこそアーティストメインで来場しても、それを否定的に捉える必要は少しも無いのだとわかりました。「医療福祉に関心を持つための音楽イベント」ではなく、「音楽イベントに来たら医療福祉の話題があった」なのだと思います。

私自身も「医療」や「福祉」という言葉に、気負ってしまう部分があります。でもそれは本来、「生活」であり「日常」の延長にあるものです。
言葉やイメージで「自分とは縁遠いもの」と感じてしまう事象は医療福祉以外にもたくさんあると思いますが、言葉やイメージを取り払えば、実は境界がないものだって、きっとたくさんあるのだと、気づかせてもらいました。

イベント詳細はこちら
特典付きチケット(CAMPFIRE)
公式ウェブサイト

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