映画「ワンダー 君は太陽」
オギー(写真右)は生まれつき顔のほおやあごの骨の発達に異常がある「トリーチャーコリンズ症候群」で、27回もの手術を受けてきた。顔にコンプレックスを抱え、外出時には宇宙飛行士のヘルメットをかぶっていた。自宅で学習を続けていたが、小学校5年から学校に通うことに。オギーは学校で好奇の目にさらされ、いやがらせを受ける。家族の励ましでなんとか学校に通い、子どもたちもオギーの人柄にひかれていく
出典: Motion Picture Artwork © 2018 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
特別授業、はじまりはじまり~
石田さん
石田さん(左)と映画「ワンダー 君は太陽」のオギー
出典: Motion Picture Artwork © 2018 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
石田さん
映画はハッピーエンドで終わりますが、僕は小学校・中学校は好きではなく、中学では、不登校も経験しました。高校は特別支援学校に進み、優しい友だちと出会いました。今は、大学院で楽しい日々を送っています。
だけど今も、初めて会う人は僕を見て、「エッ」と反応します。電車で僕が座っていたら、隣に座ろうとした人が、僕の顔を見て、そのままどこかに行ってしまうこともあります。
小中学校の友だちは
児童
石田さん
小学生のとき、友だちと公園で遊んでいると、見知らぬ子たちが僕の顔をからかってきました。そのとき、友だちが「放っておいて、気にせず遊ぼう」と言ってくれました。
小学生の前で話す石田さん
児童
石田さん
母「あなたのままでいい」
児童
石田さん
オギーのように、僕も母親に「どうして僕はこんな顔なんだ」「なぜ、こんな顔で生んだんだ」と言ったこともあります。
母親は「顔がどうであれ、私の息子。あなたは、あなたのままでいい」と言ってくれました。僕の一番の理解者である親に、そう言ってもらえたことは支えになりました。
小学生の前で話す石田さん
学校に通えなくなって考えたこと
児童
石田さん
まず、「石田と関わりたい」って周りに思ってもらえるような、魅力的な人間になろうと思いました。人に優しく接し、人の話をよく聞ける人間になろうと。
もう一つは、僕はこの見た目なので、初対面の人は僕に話しかけづらいと思います。ですので、自分から話しかけるようにしようと意識しました。
子どもたちと交流した石田さん(右)
児童
石田さん
そんな時、支援学校の先生が「つらいことから逃げるな」と背中を押してくれました。
両親も「途中で嫌になったら、退学してもいいよ」と言ってくれました。進学した以上は頑張らないといけないと思っていただけに、両親の言葉は救いになりました。
当たり前、でも大切な時間
児童
石田さん
当たり前のことかもしれないですけど、僕の場合は、小学生のとき、友だちと笑いあえる時間が少なかったですから。それだけに、今はそういう時間がものすごく楽しいし、大切だなって感じています。
小学生の前で話す石田さん
親切ってなんだろう?
児童
石田さん
僕は聴覚にも障害があって、右耳のほうが聞こえやすくて、左耳は聞こえにくい。あるとき、友だちと話していた時、友だちが何も言わずに、僕の右側に移動してくれました。そういうさりげない優しさ、思いやりが、すごくうれしかった覚えがあります。
子どもたちと給食を食べる石田さん(中央)
びっくりしたけど、慣れました
石田さん
僕が話したことが、子どもたちが生きていく上で、何かのヒントになってくれればいいなと願っています。
野村弦希さん(11)
でも授業の時間がたつにつれ、そうした思いもなくなって、次に石田さんに会っても普通にお話ができるなと思いました。石田さんの顔に慣れたのかなと思います。
見た目ではなく、中身が大事なんだと思いました。
授業の後には、石田さんを囲んで記念撮影をしました
慣れてください。視線が違ってきます

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