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2018年05月20日

「それぞれの持ち場で奮闘されたし」嬉野さんがあなたへ送るエール


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「水曜どうでしょう」の嬉野ディレクター=奥山晶二郎撮影

「水曜どうでしょう」の嬉野ディレクター=奥山晶二郎撮影

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 この春、学校生活などに悩む10代に「ひとりじゃないよ」と伝えたいと思い、始めたキャンペーン「#withyou」。連載を初めてすぐ、「水曜どうでしょう」(北海道テレビ)でおなじみの嬉野雅道ディレクターがTwitterで反応してくれました。「#withyou」のハッシュタグをつけて投稿された連続ツイートに共感し、嬉野さんに取材を申し込んだところ、連続ツイートの「続き」を送ってくれました。新しい年度が始まって、もうすぐ2カ月。少しガス欠を感じ始めたあなたに読んで欲しい言葉たちです。


出典:嬉野さんのTwitterアカウント【T木くん(嬉野雅道 Official)】より


嬉野さんからのメッセージ

みなさん。春になりました。
嬉野です。

今年は桜の開花が全国的に早かったようですね。
春は異動の季節です。
転勤、転校、新入学、新社会人。
若い人らは希望に満ちて期待に胸を膨らませている時期でしょうか。

でも、そんなときって同時にとても厄介なときです。

なぜなら、期待に胸を膨らませているときってのは、気づかないうちに他人に心を開いて、自分の柔らかい部分を世間に晒してしまっているときですから、心がそんなに無防備なら指先でつねられただけでも痛いでしょう。

そんならうっかり誰かにつねられたらもうびっくりして、その反動で直ちに心を閉ざし必要以上に周囲の人間が怖くなって、まるでよろい戸を閉ざしたアルマジロのような心になってしまうでしょうね。そうなれば心はとうぶん開くどころか自分の部屋からだって出て来れなくなってしまう、なんてこともそりゃあふつうにあるでしょうよ。

春なのにさ。

ぼくだってそうです。
知らない人たちばかりの中に1人で入っていくのは億劫です。それはこの先、幾つになっても変わらず億劫だなぁと思うことでありましょうよ。

ぼくは、どちらかといえば毎日判で押したように変わらない日々を過ごしていたいと考える者ですから、転勤、転校どころか、席替えだってして欲しくない。不変で穏やかな場所が担保されて初めて、ぼくはいろんなチャレンジができるのですから。

植物だって穏やかな春が訪れたと思えばこそ花を咲かせるのです。油断して咲いたあとに寒の戻りがあって不意に冷たい風が意地悪に花びらを散らそうとしても、もう冬は去ったと思えればこそ負けじと咲いていられるのです。それはこの地球という星に判で押したように順番の変わらない季節の移ろいというものが担保されていればこそです。

でも、そんな穏やかさが担保されないままチャレンジばかりを求められるようなら、それはまるで不安定な根無し草の人生を強いられるようで侘しくてたまらず、この星に生を受けた者が辿る「生きるという仕事」は何ひとつ上手くいかないだろうなと思います。

人間は、なるべくなら、自分が何者であるかなんて何も説明しなくても了解してくれる、そんな人たちがいる場所で生きているほうが幸福なのです。
そして人はそんな幸福な心のときに「いい仕事をするものなのだ」ということも、ぼくはもう知っています。

「あいつ誰?」「何者?」

そんな冷ややかで無慈悲な目を無自覚に向けてくるほど、社会は余所者に対して不寛容です。

でも、同時に社会というものは、恐れることもない場所であるということもまた、忘れてはならない事実です。
というのも、この社会を構成する全ての人は間違いなく、ぼくやあなたのように、怯えた心という同じ心境を根っこに持って生きているからです。

どんなに余所者に冷ややかで不寛容な人だって、異動でどこか知らない社会に1人で入っていくはめになって余所者になってしまったら、その瞬間から彼もまた同じ心境になるのです。そうです、条件さえ整えば誰の心にだって「怯えた心」は姿を表すのです。そこには、例外はないという事実を忘れてはならないのです。

おそらく人は、根っこのところに怯える心があるから他人に攻撃をしかけるのです。怯える心がその根から汲み上げられてくるから、自分より分かりやすく怯えている他人を見つけると好んで攻撃をしかけもするのです。だって誰かを攻撃していさえすれば自分が怯える者だという現実は自覚しなくて済みますからね。

人は怯えるからこそ攻撃するし、怯えるからこそ攻撃されもするのです。それがこの社会に生きる、人のありようのように思えます。きっとそうです。

でも、それがぼくらの生きていかねばならないフィールドなのです。

ぼくらは、ここで生きていくのです。

それなら出来るだけ幸福に。
そう考えるのは当然でしょう。

そのためにこれからどうするか。
そこを考え、判断し、行動に移すのです。

そのことの日々を、ぼくは「世渡り」と呼びたいのです。

この広い世界を、人は、綱渡りや、つり橋を渡るように用心深く渡っていくのです。だから、世渡りには経験を通して身につけた技術が生きてくるのです。

肌を刺す冷たい北風が心に吹いても。突然激しい雨がこの身に降っても。
我が身に迫る被害は出来るだけ最小限にくいとめて、少しでも自分が損をしないように、出来れば得をするように、さぁそのためにぼくは何をしよう。さぁこの先をどう切り抜けよう。
そこを考え判断する。
それをぼくは「世渡り」と呼ぶことにしています。人生はゲームのようなものなのです。それなら楽しく乗り越えて生きたい。そう考え始めるのは自由です。

生き物は、この世界を自分の力で渡っていくのです。それは生まれたばりの野生の熊や狐の子どものような心境でしょう。

この星で生きていくんだという真剣な気持ちです。
「ぼくは1人なんだ。1人で生きて行く」真剣な気持ちはそこに湧き上がってくるのです。

その先で待っているのが勇気です。

生きてやると思えてくるファイトです。

ぼくたち人間だって、この星で生きていく以上、熊や狐の子たちと同じ野生の気構えがなければいけないはずなのです。

熊の子や狐の子がお母さんの真似をして、自分でも狩を覚えるように、人もまた、やってみて、失敗して、たくさん怪我をするようなことです。

自分にも狩ができる本能があるんだということは、やってみたとき、初めて身をもって知るのです。

それは、あらかじめ、自分に授けられている力があることを知る瞬間です。

多分それが「納得」です。

人生は足していくための道のりというよりは、自分がすでに持っているものに気づくための道のりであるはずと、ぼくは思います。
だからこそ、人生は体験してみないといけないのです。

そんなことを、徒然に思う今日でした。

この4月、新社会人になったあなた。そして既に社会人となって久しいあなた。でも、どれだけ時間が経とうと、ぼくらの置かれている状況は何も変わらない。老いも若きも、この世界を懸命に「世渡り」する状況は何も変わらない。みんなただ。生まれてからずっと、おんなじこの道を歩いている者たち。
ときに、1人で、歩いている者たち。それが、我ら生命の本領です!

なんか、そんな感じ。

この続きはまたどこかで。

それでは本日も、それぞれの持ち場で奮闘されたし。
諸氏の健闘を祈る。

嬉野雅道



 withnewsは4月から、生きづらさを抱える10代への企画「#withyou」を始めました。日本の若い人たちに届いてほしいと、「#きみとともに」もつけて発信していきます。以下のツイートボタンで、みなさんの生きづらさも聞かせてください。

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「ひとりだと思うと、真剣な気持ちが湧いてくる」嬉野雅道さん
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