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妊活ドラマ「隣の家族は…」 生々しさの理由「全て直接の知り合い」

ドラマ「隣の家族は青く見える」主演の深田恭子さん
ドラマ「隣の家族は青く見える」主演の深田恭子さん 出典: フジテレビ提供

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 妊娠・出産を目指す「妊活」を描くドラマ「隣の家族は青く見える」(フジテレビ系、木曜午後10時)が放送中です。ネット上では「妊活あるあるを描いてくれている」「男性にも女性にも見てもらいたい」「(不妊には)原因不明が多いと言ってくれてありがたい」などと体験者から共感の声が上がっています。妊活を軸に多様な家族の形を描く理由を、フジテレビの中野利幸プロデューサー(42)に聞きました。

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五十嵐奈々(深田恭子=写真右)と夫・大器(松山ケンイチ)。ドラマ「隣の家族は青く見える」から
五十嵐奈々(深田恭子=写真右)と夫・大器(松山ケンイチ)。ドラマ「隣の家族は青く見える」から 出典: フジテレビ提供

妊活、男女の温度差

 主人公の五十嵐奈々(深田恭子)と夫・大器(松山ケンイチ)は家の購入を機に子供を持つことを望み、避妊をしないで1年以上が経ちます。2人は、奈々の提案で不妊治療専門のクリニックに通い始めます。

 作中では、待合室が人でいっぱいのクリニックの様子や、「タイミング」「フーナーテスト」「子宮卵管造影検査」といった用語、奈々が「妊活にいい」とされる食事や運動を採り入れる姿が。出産や妊娠を知らせる友人からの年賀状を手に「なんか、私だけ置いてかれてるような気がしちゃって……」とつぶやくシーンもあり、妊活の実情や当事者の思いをすくい取っています。

五十嵐奈々(深田恭子=写真左)と医師の片岡洋子(伊藤かずえ)。ドラマ「隣の家族は青く見える」から
五十嵐奈々(深田恭子=写真左)と医師の片岡洋子(伊藤かずえ)。ドラマ「隣の家族は青く見える」から 出典: フジテレビ提供

 中野さんは、DVを扱った「ラスト・フレンズ」(2008年)やいじめがテーマの「ライフ」(2007年)など、現代社会の一面を映す作品を手がけてきました。

 今回はどうして、妊活だったのでしょうか。

「肌で感じた時代感をドラマにしたいと心がけています。今、女性と話していると、結構みんなが妊活を話題にする。クリニックがすごい人で予約が取れないとか、体外受精で子供が生まれたとか。実際に体験した人の話は重く、テーマにしたいと思いました」

 当事者の話を聞く中で、新旧の価値観の違いやしがらみに戸惑う人たちの姿が見えてきたと言います。

「男性は妊活したと結構話しますけど、女性は言いたがらない傾向があると思います。背景には、親世代が治療に反対するとかもある。自然分娩にこだわる女友達に理由を聞いたら、『お母さんが、無痛分娩だと痛みが分からず、子供のかわいさが分からない』と。そういう新旧の考えが出てくる、日本的なドラマです」
フジテレビの中野利幸プロデューサー
フジテレビの中野利幸プロデューサー

 奈々と大器は子供が大好きですが、妊活に対しては微妙な温度差があることも描いています。

奈々「(クリニックの)予約取るから、大ちゃんも一緒に来てね」
大器「え?俺も?」
奈々「そうだよ。どうせ治療するってなったら、2人とも検査しなきゃならないんだし」
大器「検査!? いやあ、俺は大丈夫でしょう」

 クリニックに2人で行ったものの、精液の検査結果が良かった大器は奈々の前で無邪気に「よしっ!」と言ったり、お酒をやめた奈々の前でおいしそうに酒を飲んだり……。

「生理が来た時のショックとか、妊活を始めた女性には色んな思いがある。女性と男性の受け止め方は違うと思う。男性って、男性側に不妊の理由があるとは思っていない人も多い」

 一方で大器は、生理が来て落ち込む奈々のためにふざけたり、妊活で体操を始めた奈々の隣で何も言わずに一緒に体操を始めたり、いつも明るく奈々に寄り添うパートナーでもあります。

「不妊治療ってちょっとタブー視されているというかデリケートでもあるので、極力前向きな人たちの話にしたいと思っています」
 
五十嵐奈々(深田恭子=写真左)と夫・大器(松山ケンイチ)。ドラマ「隣の家族は青く見える」から
五十嵐奈々(深田恭子=写真左)と夫・大器(松山ケンイチ)。ドラマ「隣の家族は青く見える」から 出典: フジテレビ提供

子供を望まない人も

 奈々が住む家は「コーポラティブハウス」といい、住む人が計画段階から関わり、生活スタイルに合わせた住宅です。同じ敷地には、計4家族が暮らしています。2話では、「子育てが命」の専業主婦の小宮山深雪(真飛聖)と、子供を望まない杉崎ちひろ(高橋メアリージュン)が対立するシーンがありました。

小宮山深雪(真飛聖=写真左)と夫・真一郎(野間口徹)。ドラマ「隣の家族は青く見える」から
小宮山深雪(真飛聖=写真左)と夫・真一郎(野間口徹)。ドラマ「隣の家族は青く見える」から 出典: フジテレビ提供
深雪「(ちひろに対して)お二人ともそろそろ真剣に子作りした方がいいと思うのよね」(中略)「女性はその存在だけで十分に価値があると思ってる。でも、その価値を最大限に使って社会に貢献しないともったいないじゃない」
ちひろ「子供作って、少子化に歯止めをかけることだけが、女性にできる社会貢献じゃないですよね?」

 ちひろを描くことで、あらためて見えたことがあるそうです。

「最初は、色んな妊活をしている人が出てくる企画を考えていましたが、脚本家の中谷まゆみさんには『子供がいらない女性も描きたい』というのがあった。実際、ここに共鳴する人も多くて、僕も改めて気がつく所がありました」
 
「誰が正しいわけでもない。色んな選択があっていいと思います。色んなしがらみや社会的なプレッシャーとかもある中、ここに出てくる人たちが最終的に『自分らしく生きる』とか『自分の幸せ』に気がつけるといいなと思っています」
杉崎ちひろ(高橋メアリージュン=写真左)と川村亮司(平山浩行)。ドラマ「隣の家族は青く見える」から
杉崎ちひろ(高橋メアリージュン=写真左)と川村亮司(平山浩行)。ドラマ「隣の家族は青く見える」から 出典: フジテレビ提供

ゲイをキャラクター化しない

 主人公夫婦と同じ敷地に住むもう1組のカップルは、広瀬渉(眞島秀和)と青木朔(北村匠海)。渉は、家に転がりこんできた恋人の朔を、近隣住民においっ子だと紹介します。渉はゲイであることを隠していて、職場で上司に今後のキャリアについて結婚や子供のことも考えるように言われても、深雪にお見合いを勧められても、はぐらかします。

広瀬渉(眞島秀和=写真左)と青木朔(北村匠海)。ドラマ「隣の家族は青く見える」から
広瀬渉(眞島秀和=写真左)と青木朔(北村匠海)。ドラマ「隣の家族は青く見える」から 出典: フジテレビ提供

 渉と朔の描き方にもこだわったと言います。バラエティー番組などではゲイを「女性的」なキャラクターとして扱うことも多いですが、中野さんは「遠いファンタジー」にはしたくなかったと言い、キャラクター化しないように気を配ったと言います。

「隠したいと思っている渉と、隠さなくていいと思っている朔君を描くことで、偏らないようにしたい。みんながセクシュアリティーをオープンにできるわけではない。人は色んなものを抱えているから。真摯(しんし)に描きたいと思っています」
広瀬渉(眞島秀和=写真右)と青木朔(北村匠海)。ドラマ「隣の家族は青く見える」から
広瀬渉(眞島秀和=写真右)と青木朔(北村匠海)。ドラマ「隣の家族は青く見える」から 出典: フジテレビ提供
「僕は『隣の家族は青く見える』というタイトルにこだわりました。全て直接の知り合いを参考にしているので、『こんな人いないよな……』という人は登場させていません。登場人物のどこかに感情移入して、自分や隣の人たちのことと思って見てもらえたら」

 第3話は2月1日放送です。

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